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チャンピオンへの道
道場破り
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プロレスの裏技。
それは、とても試合で使えるようなものではなく、相手を倒す為ならどんな方法でも厭わないという、反則攻撃のオンパレードだ。
反則と言っても、凶器を用いた攻撃ではなく、目潰し、鼻の穴や口の中に手を突っ込む、はたまた、肛門の中にも指を突っ込んでの形勢逆転から、関節を極めるといった、卑怯極まりない手口と言っても過言では無い。
今道は神宮寺からその裏技をレクチャーされた。
「いくら何でも…そこまでえげつない事しなくても…」
「バカヤローっ!プロレスラーが総合格闘家なんかに舐められてたまるか!
プロレスラーの怖さを存分に知らしめるには、この裏技が一番なんだよ!」
「コレって…試合で使ったりするんですか?」
あまりの酷さに今道はドン引きする。
「レスラー仲間には使わねえよ。
たまに使う時もあるかも知れんが、使ってもせいぜい道場でのスパーリングぐらいかな」
神宮寺もこの裏技を道場で多用したという。
「プロレスって、殺し合いなんですか?」
「殺し合いか…ある意味、殺し合いかもしれないな。
裏技は部外者にやるもんなんだよ」
「部外者?」
部外者とは、プロレスラー以外の格闘家。
つまり、柔道や空手、ボクサーやキックボクサーといった他の格闘技選手の事を指す。
「大変だったぜ、あの当時は」
神宮寺は当時を思い出す。
WWAの創始者、カイザー大和はプロレスこそ最強というテーマを掲げ、柔道家や空手家、プロボクサーやレスリング選手、キックボクサーといった格闘家をリングに上げ、現在の総合格闘技の原点ともいえる、異種格闘技戦を行った。
この闘いで、カイザー大和及び、WWAは飛躍的な知名度を上げ、一躍国内最大のメジャー団体に成長した。
だが、この発言によって、腕に覚えのある猛者達が連日のように道場へ押し掛け、カイザー大和と対戦させろと迫ってきた。
当然、カイザー大和が相手にするハズも無く、門前払いをするのだが、それでは腕っぷしに自慢のある男達は納得しない。
道場のコーチを務めた松岡 忠(まつおかただし)は、プロレスラーの強さをその身体に覚えさせるつもりで、当時新人だった神宮寺をはじめとする、若手レスラーが相手をするはめに。
新人とは言え、プロレスラーが腕試しに来た格闘技経験者に負けるワケにはいかない。
松岡が「やれ!」と命令すると、神宮寺達は腕自慢の連中を組み伏せ、あっという間に関節を極め、プロレスラーの強さを証明してみせた。
その際に使用したのが裏技だった。
負けるワケにはいかない。
その為ならば、どんな手を使ってでも相手に勝たなきゃならなかった。
「道場破りって、ホントにあったんですね…」
「大変だったぜ、あの時は。
そのお陰で、プロレスラーの強さを分かってもらえたとは思うんだけどな」
もし、負けたらどうなっていたのだろう。
「イロイロとヤバいっすね、プロレスラーって」
「あたりめぇだろ、プロレスラーってのは、いい意味でヤバくなきゃなんないんだよ」
いい意味とは、どんな意味なんだろう。
「まぁ…それはともかく、今度の試合は何がなんでも勝ってもらわにゃならんワケだ」
「それで、裏技ですか?」
「大和は素手で顔面パンチするようなヤツだぞ?
それに対抗するには、裏技しかないだろ」
神宮寺の言うことも一理ある。
それ相当の対応をしなければ、頑丈を誇る今道と言えど、大和の情け容赦無い攻撃の前に為す術なく惨敗してしまう。
「そうですよね。何がなんでも勝たなきゃならないワケですし」
「当然だ!オマエはこれからも勝ち続けなきゃならないんだ。
その為には、多少のラフファイトも辞さない覚悟が必要だと思え!」
その後はスパーと称した裏技の実験台となった。
当然、今道は断末魔の様な絶叫が鳴り響いたのは言うまでもない。
それは、とても試合で使えるようなものではなく、相手を倒す為ならどんな方法でも厭わないという、反則攻撃のオンパレードだ。
反則と言っても、凶器を用いた攻撃ではなく、目潰し、鼻の穴や口の中に手を突っ込む、はたまた、肛門の中にも指を突っ込んでの形勢逆転から、関節を極めるといった、卑怯極まりない手口と言っても過言では無い。
今道は神宮寺からその裏技をレクチャーされた。
「いくら何でも…そこまでえげつない事しなくても…」
「バカヤローっ!プロレスラーが総合格闘家なんかに舐められてたまるか!
プロレスラーの怖さを存分に知らしめるには、この裏技が一番なんだよ!」
「コレって…試合で使ったりするんですか?」
あまりの酷さに今道はドン引きする。
「レスラー仲間には使わねえよ。
たまに使う時もあるかも知れんが、使ってもせいぜい道場でのスパーリングぐらいかな」
神宮寺もこの裏技を道場で多用したという。
「プロレスって、殺し合いなんですか?」
「殺し合いか…ある意味、殺し合いかもしれないな。
裏技は部外者にやるもんなんだよ」
「部外者?」
部外者とは、プロレスラー以外の格闘家。
つまり、柔道や空手、ボクサーやキックボクサーといった他の格闘技選手の事を指す。
「大変だったぜ、あの当時は」
神宮寺は当時を思い出す。
WWAの創始者、カイザー大和はプロレスこそ最強というテーマを掲げ、柔道家や空手家、プロボクサーやレスリング選手、キックボクサーといった格闘家をリングに上げ、現在の総合格闘技の原点ともいえる、異種格闘技戦を行った。
この闘いで、カイザー大和及び、WWAは飛躍的な知名度を上げ、一躍国内最大のメジャー団体に成長した。
だが、この発言によって、腕に覚えのある猛者達が連日のように道場へ押し掛け、カイザー大和と対戦させろと迫ってきた。
当然、カイザー大和が相手にするハズも無く、門前払いをするのだが、それでは腕っぷしに自慢のある男達は納得しない。
道場のコーチを務めた松岡 忠(まつおかただし)は、プロレスラーの強さをその身体に覚えさせるつもりで、当時新人だった神宮寺をはじめとする、若手レスラーが相手をするはめに。
新人とは言え、プロレスラーが腕試しに来た格闘技経験者に負けるワケにはいかない。
松岡が「やれ!」と命令すると、神宮寺達は腕自慢の連中を組み伏せ、あっという間に関節を極め、プロレスラーの強さを証明してみせた。
その際に使用したのが裏技だった。
負けるワケにはいかない。
その為ならば、どんな手を使ってでも相手に勝たなきゃならなかった。
「道場破りって、ホントにあったんですね…」
「大変だったぜ、あの時は。
そのお陰で、プロレスラーの強さを分かってもらえたとは思うんだけどな」
もし、負けたらどうなっていたのだろう。
「イロイロとヤバいっすね、プロレスラーって」
「あたりめぇだろ、プロレスラーってのは、いい意味でヤバくなきゃなんないんだよ」
いい意味とは、どんな意味なんだろう。
「まぁ…それはともかく、今度の試合は何がなんでも勝ってもらわにゃならんワケだ」
「それで、裏技ですか?」
「大和は素手で顔面パンチするようなヤツだぞ?
それに対抗するには、裏技しかないだろ」
神宮寺の言うことも一理ある。
それ相当の対応をしなければ、頑丈を誇る今道と言えど、大和の情け容赦無い攻撃の前に為す術なく惨敗してしまう。
「そうですよね。何がなんでも勝たなきゃならないワケですし」
「当然だ!オマエはこれからも勝ち続けなきゃならないんだ。
その為には、多少のラフファイトも辞さない覚悟が必要だと思え!」
その後はスパーと称した裏技の実験台となった。
当然、今道は断末魔の様な絶叫が鳴り響いたのは言うまでもない。
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