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成長期
天性のプロレスラー同士
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神宮寺はショーマン派のレスラーを毛嫌いする傾向があるのだが、佐々木だけは認めているようだ。
「アイツは、マスクマンという役割をよく知っていて、それを自分なりに上手く演じていると同時に、イザとなったら、シュートも辞さない。
プロレスラーとしちゃ、サイコーじゃないか!」
とベタ褒めしている。
プロレスラーとして強さは勿論、エンターテインメント性に富んだファイトスタイルが出来るのがポイントらしい。
その佐々木だが、UWPに参戦するとなれば、所属しているグローバルプロレスリングはおろか、全ての団体を【出禁】となる。
『地下プロレスに関わった者は如何なる理由があっても、二度とリングに上がる事を禁ずる』
地下プロレスという、裏社会を連想させる危険な地域に足を踏み入れたら最後、表舞台のリングに上がる事は不可能となっている。
それでも、佐々木はその忠告を無視してUWPに参戦した。
6戦全勝でこれまで得たファイトマネーは優に一億を越えている。
今更、表舞台で微々たるファイトマネーやチャンピオンの称号など、何の意味も無い。
ガチンコで勝敗を決めるプロレスに興味を抱き、水を得た魚のようにイキイキとファイトしている。
そんな佐々木の下にも今道のデータが送られてきた。
「ほぉ~、デビューして僅か三戦でランキング10位かよ。
こりゃ、うかうかしてらんねぇな」
佐々木には秘策がある。
新人の今道には思いもよらない試合展開で精神的な揺さぶりをかけていくつもりだ。
両者共に試合に向けて調整を行う。
今道はいつものように、東郷や神宮寺相手にスパーを行う。
勝つにはどうすればいいのか。
相手は百戦錬磨のプロレスマスター。
今までの相手とはひと味違う。
「こんな試合ばっかなのか」
過去のプロレス雑誌を読み漁るが、佐々木の試合は空中殺法を主体としたファイトスタイルで、あまり参考にはならない。
得意技はフランケンシュタイナー、ムーンサルトプレス、旋回式DDTといったダイナミックな技が多い。
果たしてUWPのリングでこのような技が決まるのか。
「考えてもしょうがないしな…いつも通りやるしかないよな」
あまり深く考えずに、普段と変わらぬ試合をするだけと思った。
そして試合当日。
場所はいつもの廃墟と化した病院の中。
観客の大富豪達は地下の駐車場に通ずる専用の道路を利用して会場入りする。
誰にもバレず、セキュリティも超万全な秘密のルートで来る為、絶対にバレる事は無い。
荒れ果てた敷地内にある建物の中では、賭けに興じた富裕層が試合を観戦している。
「今日のファイトマネーはいくらぐらいになりそうですか?」
既に勝って手にするファイトマネーの事で頭の中はいっぱいだ。
「まだ賭けも成立してないのに、ファイトマネーがいくらかなんて、分かるわけないでしょ」
東郷も大変だ。
何せ、今道のような天然の大男の世話をしている。
「そっか…でも、今日はいくらになるのかな?」
「そんな事より、今日はどうやって闘うつもりですか?」
「何にも考えてませんけど?」
正攻法で挑めば、自ずと結果はついてくるという、全くのノープランだ。
「ノープランですか…とにかく、相手は格上のランカーですから、油断は禁物ですよ」
「わかってますよ」
試合は第七試合だ。
「ただ今より第七試合、ランキング戦を行います!青コーナーより、今道陽斗選手の入場です!」
いつものように、黒のショートタイツにリングシューズというシンプルなコスチュームで今道が花道から姿を現す。
セコンドは同じく東郷が付く。
デビュー三戦でランキング入りしたとあって、会場の人気もうなぎ登りだ。
「待ってたぜ、黄金ルーキー!」
「今日も豪快な勝ちを頼むぞ!」
「イマミチ!イマミチ!」
大声援を受けながらリングイン。
「赤コーナーより、ランキング7位!佐々木聡一選手の入場です!」
赤コーナーの花道から佐々木が登場。
タイガーキッドのオーバーマスクを被り、グリーンとイエローのツートンのロングタイツに青の二ーパット、レガースを着用している。
場内の歓声に応えるように手を挙げ、リングサイドで観客を煽るような仕草をしてから、ロープを飛び越えリングイン。
「第七試合ランキング戦、無制限一本勝負を行います!」
この試合に勝てば、ランキング7位に浮上する。
「アイツは、マスクマンという役割をよく知っていて、それを自分なりに上手く演じていると同時に、イザとなったら、シュートも辞さない。
プロレスラーとしちゃ、サイコーじゃないか!」
とベタ褒めしている。
プロレスラーとして強さは勿論、エンターテインメント性に富んだファイトスタイルが出来るのがポイントらしい。
その佐々木だが、UWPに参戦するとなれば、所属しているグローバルプロレスリングはおろか、全ての団体を【出禁】となる。
『地下プロレスに関わった者は如何なる理由があっても、二度とリングに上がる事を禁ずる』
地下プロレスという、裏社会を連想させる危険な地域に足を踏み入れたら最後、表舞台のリングに上がる事は不可能となっている。
それでも、佐々木はその忠告を無視してUWPに参戦した。
6戦全勝でこれまで得たファイトマネーは優に一億を越えている。
今更、表舞台で微々たるファイトマネーやチャンピオンの称号など、何の意味も無い。
ガチンコで勝敗を決めるプロレスに興味を抱き、水を得た魚のようにイキイキとファイトしている。
そんな佐々木の下にも今道のデータが送られてきた。
「ほぉ~、デビューして僅か三戦でランキング10位かよ。
こりゃ、うかうかしてらんねぇな」
佐々木には秘策がある。
新人の今道には思いもよらない試合展開で精神的な揺さぶりをかけていくつもりだ。
両者共に試合に向けて調整を行う。
今道はいつものように、東郷や神宮寺相手にスパーを行う。
勝つにはどうすればいいのか。
相手は百戦錬磨のプロレスマスター。
今までの相手とはひと味違う。
「こんな試合ばっかなのか」
過去のプロレス雑誌を読み漁るが、佐々木の試合は空中殺法を主体としたファイトスタイルで、あまり参考にはならない。
得意技はフランケンシュタイナー、ムーンサルトプレス、旋回式DDTといったダイナミックな技が多い。
果たしてUWPのリングでこのような技が決まるのか。
「考えてもしょうがないしな…いつも通りやるしかないよな」
あまり深く考えずに、普段と変わらぬ試合をするだけと思った。
そして試合当日。
場所はいつもの廃墟と化した病院の中。
観客の大富豪達は地下の駐車場に通ずる専用の道路を利用して会場入りする。
誰にもバレず、セキュリティも超万全な秘密のルートで来る為、絶対にバレる事は無い。
荒れ果てた敷地内にある建物の中では、賭けに興じた富裕層が試合を観戦している。
「今日のファイトマネーはいくらぐらいになりそうですか?」
既に勝って手にするファイトマネーの事で頭の中はいっぱいだ。
「まだ賭けも成立してないのに、ファイトマネーがいくらかなんて、分かるわけないでしょ」
東郷も大変だ。
何せ、今道のような天然の大男の世話をしている。
「そっか…でも、今日はいくらになるのかな?」
「そんな事より、今日はどうやって闘うつもりですか?」
「何にも考えてませんけど?」
正攻法で挑めば、自ずと結果はついてくるという、全くのノープランだ。
「ノープランですか…とにかく、相手は格上のランカーですから、油断は禁物ですよ」
「わかってますよ」
試合は第七試合だ。
「ただ今より第七試合、ランキング戦を行います!青コーナーより、今道陽斗選手の入場です!」
いつものように、黒のショートタイツにリングシューズというシンプルなコスチュームで今道が花道から姿を現す。
セコンドは同じく東郷が付く。
デビュー三戦でランキング入りしたとあって、会場の人気もうなぎ登りだ。
「待ってたぜ、黄金ルーキー!」
「今日も豪快な勝ちを頼むぞ!」
「イマミチ!イマミチ!」
大声援を受けながらリングイン。
「赤コーナーより、ランキング7位!佐々木聡一選手の入場です!」
赤コーナーの花道から佐々木が登場。
タイガーキッドのオーバーマスクを被り、グリーンとイエローのツートンのロングタイツに青の二ーパット、レガースを着用している。
場内の歓声に応えるように手を挙げ、リングサイドで観客を煽るような仕草をしてから、ロープを飛び越えリングイン。
「第七試合ランキング戦、無制限一本勝負を行います!」
この試合に勝てば、ランキング7位に浮上する。
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