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ランクイン
奇襲攻撃
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後日、山田の写真と更に詳しいプロフィールが記載された資料が届いた。
写真を見ると、所属していたVERSUSのジャージを着てファイティングポーズをとっている。
外見はその辺の大学生と見間違う程の優男で、とても先輩レスラーや反社の
中を病院送りにしたようには見えない。
しかし、眉間には縦に大きく傷が入っている。
「どうしたんだろ、この傷は」
資料には傷のことも載っている。
幼少時に父親から虐待を受け、その時に負った傷が今も残っているという。
山田が相手を病院送りにしたのは、傷をからかわれたのが原因らしい。
普段は温厚だが、傷の事になると逆上して、相手が誰であろうと徹底的に叩きのめす。
「傷の事を言われるとブチギレすんのか…まぁ、オレはそんな事よりも、ファイトマネーの方が気になるな」
デビュー戦は500万プラス、神宮寺からの特別ボーナス300万で計800万ものファイトマネーをゲットした。
こんな複雑なルールを強いられるんだ、せめてファイトマネーぐらいはこの前の倍は貰わないと割に合わない。
(デビュー前の練習生が相手なんて、今度は楽勝だな)
山田の事は眼中に無かった。
そして試合当日。
前回同様、場所は廃墟と化した病院。
今夜も大富豪達が試合を観戦し、湯水のように金を賭けまくる。
今道は第二試合に出場する。
デビュー戦と同じ、黒のショートタイツにレスリングシューズのコスチュームだ。
今道は赤コーナー、山田は青コーナーから入場。
山田は赤で統一したショートタイツ、二ーパット、レスリングシューズのコスチュームだ。
写真よりも前髪が長い。
おそらく、傷を隠す為に前髪を伸ばしているのだろう。
「ただ今より、第二試合を行います!
この試合はスリーカウントルールを採用します!」
リングアナウンサーによる試合のルールが説明される。
「ほぉ~、これは面白そうだ!」
「つまらない試合にするなよ!」
「しょっぱい試合だったら、タダじゃおかねぇぞ!」
場内からそんな声が飛び交う。
「青コーナー、184cm 99kg!
前プロレスリングVERSUS 山田ぁ~、
慶太ぁ~!」
山田は手を挙げ、笑みを浮かべる。
とてもこれがデビュー戦とは思えない程の落ち着きようだ。
「赤コーナー、195cm 106kg
UWP所属、1戦1勝!
今道ぃ~、陽斗ぉ~っ!」
コールされると今道は客席を見渡す。
神宮寺が観戦に来てるかどうか確認している。
(アレ、今日はいないな)
神宮寺の姿が見えない。
前回と同じ東郷がセコンドについた。
「何をキョロキョロしてるんです?」
「いや、神宮寺さんがいないなぁって」
「神宮寺さんより、目の前の相手に集中しなさい!」
「…ハイ」
レフェリーに促され、リング中央でボディチェックを受ける。
レフェリーが今道のリングシューズをチェックする為、前屈みになる。
その瞬間、山田はレフェリーを馬跳びのようにして飛び越えると、そのままの勢いで今道にエルボーを顔面に叩き込む。
「ウワッ…」
不意打ちを食らった今道はダウンして顔面を抑える。
そこへ山田が助走をつけてスライディングのキックで場外へ吹き飛ばす。
「クソっ、試合前なのに…」
油断した今道は場外に飛ばされ、倒れたままだ。
「何をやってるんです!早く立ちなさい!」
東郷は大声で叫ぶ。
「だってまだ試合前なのに…」
「もう試合は始まってるんです!」
「エッ…」
山田は奇襲攻撃を仕掛け、エプロンから今道目掛けニードロップを敢行。
「ウグァ…」
土手っ腹に膝がめり込む。
レフェリーは即座に試合開始のゴングを要請。
【カァァァァン!】
思わぬ先制攻撃に会場は大歓声に包まれた。
写真を見ると、所属していたVERSUSのジャージを着てファイティングポーズをとっている。
外見はその辺の大学生と見間違う程の優男で、とても先輩レスラーや反社の
中を病院送りにしたようには見えない。
しかし、眉間には縦に大きく傷が入っている。
「どうしたんだろ、この傷は」
資料には傷のことも載っている。
幼少時に父親から虐待を受け、その時に負った傷が今も残っているという。
山田が相手を病院送りにしたのは、傷をからかわれたのが原因らしい。
普段は温厚だが、傷の事になると逆上して、相手が誰であろうと徹底的に叩きのめす。
「傷の事を言われるとブチギレすんのか…まぁ、オレはそんな事よりも、ファイトマネーの方が気になるな」
デビュー戦は500万プラス、神宮寺からの特別ボーナス300万で計800万ものファイトマネーをゲットした。
こんな複雑なルールを強いられるんだ、せめてファイトマネーぐらいはこの前の倍は貰わないと割に合わない。
(デビュー前の練習生が相手なんて、今度は楽勝だな)
山田の事は眼中に無かった。
そして試合当日。
前回同様、場所は廃墟と化した病院。
今夜も大富豪達が試合を観戦し、湯水のように金を賭けまくる。
今道は第二試合に出場する。
デビュー戦と同じ、黒のショートタイツにレスリングシューズのコスチュームだ。
今道は赤コーナー、山田は青コーナーから入場。
山田は赤で統一したショートタイツ、二ーパット、レスリングシューズのコスチュームだ。
写真よりも前髪が長い。
おそらく、傷を隠す為に前髪を伸ばしているのだろう。
「ただ今より、第二試合を行います!
この試合はスリーカウントルールを採用します!」
リングアナウンサーによる試合のルールが説明される。
「ほぉ~、これは面白そうだ!」
「つまらない試合にするなよ!」
「しょっぱい試合だったら、タダじゃおかねぇぞ!」
場内からそんな声が飛び交う。
「青コーナー、184cm 99kg!
前プロレスリングVERSUS 山田ぁ~、
慶太ぁ~!」
山田は手を挙げ、笑みを浮かべる。
とてもこれがデビュー戦とは思えない程の落ち着きようだ。
「赤コーナー、195cm 106kg
UWP所属、1戦1勝!
今道ぃ~、陽斗ぉ~っ!」
コールされると今道は客席を見渡す。
神宮寺が観戦に来てるかどうか確認している。
(アレ、今日はいないな)
神宮寺の姿が見えない。
前回と同じ東郷がセコンドについた。
「何をキョロキョロしてるんです?」
「いや、神宮寺さんがいないなぁって」
「神宮寺さんより、目の前の相手に集中しなさい!」
「…ハイ」
レフェリーに促され、リング中央でボディチェックを受ける。
レフェリーが今道のリングシューズをチェックする為、前屈みになる。
その瞬間、山田はレフェリーを馬跳びのようにして飛び越えると、そのままの勢いで今道にエルボーを顔面に叩き込む。
「ウワッ…」
不意打ちを食らった今道はダウンして顔面を抑える。
そこへ山田が助走をつけてスライディングのキックで場外へ吹き飛ばす。
「クソっ、試合前なのに…」
油断した今道は場外に飛ばされ、倒れたままだ。
「何をやってるんです!早く立ちなさい!」
東郷は大声で叫ぶ。
「だってまだ試合前なのに…」
「もう試合は始まってるんです!」
「エッ…」
山田は奇襲攻撃を仕掛け、エプロンから今道目掛けニードロップを敢行。
「ウグァ…」
土手っ腹に膝がめり込む。
レフェリーは即座に試合開始のゴングを要請。
【カァァァァン!】
思わぬ先制攻撃に会場は大歓声に包まれた。
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