UWP(Under World Prowrestling)

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デビュー前の新人

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試合後、東郷から二つの封筒を渡された。

どちらも分厚い封筒だ。


「コーチ、これはもしかして?」


「そうです。今日のファイトマネーと、神宮寺さんからの特別ボーナスです」


早速、中を開けて確認した。


「ゲッ…」


絶句するしかなかった。


帯になってる百万円の束が5つ。


もう一つの封筒には、百万円の束が3つ入っていた。



「こ、これ…偽札じゃないですよ…ね?」


「当たり前でしょう!正真正銘の札束です」


「め、目眩が…」


頭がクラクラしてきた。


「何はともあれ、こうしてファイトマネーを手にする事が出来ました。
どうです、UWPのリングは?
これからも勝ち続けると、この何倍ものファイトマネーが手に入りますよ」



「…という事は、その金で家をプレゼントするのも夢じゃない…」


「勿論です。一軒家どころか、豪邸を何軒も建てる事だって可能です」


夢を見てるみたいだ。



「そうですよね…こんな事でイチイチ驚いてちゃ、身体がもたないっすよね。
それに、もっと大金を手に入れるには、これからも勝ち続けなきゃならないし」


「その通りです。次の試合は来月です…それまでに、より一層練習に励むんです、いいですね?」


「ハイ…」


この日は道場に着くと、そのまま眠りについた。





翌日、今道は昼過ぎに起きた。


「痛っ…」


身体のあちこちが痛い。


「そうか、試合でのダメージで」


人一倍回復力の早い今道だが、それでもダメージは残る。



「ようやく起きましたね」


ガチャっとドアが開き、ワゴンにいつものメニューを乗せて東郷が入ってきた。


「あ、コーチ。昨日はありがとうございました」


「そんな事より、早く着替えて食事を済ませてください」


塩ゆでしただけのパスタ、鶏の胸肉とブロッコリー、10数個のゆで卵と2Lのプロテイン。


どんな日でも、どんな時間でも、今道のメニューはこれだ。







「コーチ、次の相手はどんな選手ですか?」


食事を終え、今道は次の対戦相手が誰なのか聞いてみた。



「次の相手は一応プロレスラー、それもまだデビューすらしていない練習生です」


「エェ!デビューしてない練習生って…プロレスラーじゃないのでは」


しかも練習生が第二戦の相手とは。



「練習生といっても、デビュー前に解雇された選手ですから、プロレスラーと呼ぶには些か疑問が生じますが」


「解雇って…クビですか?」


「そうです」


デビュー前なので、資料にはプロフィールと経歴のみ記載されていた。



山田 慶太(やまだけいた)

21歳


身長184cm

体重99kg


前プロレスリング VERSUS


一年前、VERSUSの入団テストに合格。

格闘技経験等は無く、持ち前の身体能力と人一倍の闘争心で頭角を現す。


類まれなプロレスセンスを持つ期待の新人として高評価だったが、先輩レスラー数人をスパーリングで病院送り。

その後も街で反社会的勢力の連中相手とトラブルに発展。

そのうち3名を骨折、脱臼、数針を縫う大怪我を負わせ、警察沙汰になり、VERSUSは山田を解雇。


普段は練習熱心で真面目な青年だが、怒りのスイッチが入ると、相手を完膚なきまでに叩きのめす。







「病院送りって、ヤバくないですか?」


しかも、タチの悪い連中を相手に大喧嘩とは。



「あくまでも正当防衛だと主張しましたが、あまりにも相手の怪我が重傷の為、過剰防衛となったみたいですが、相手が反社の連中という事もあって、書類送検で済みましたが」


「先輩レスラー数人をスパーリングで病院送りってのも…」


新人が先輩レスラーを病院送りにするなんて、前代未聞だ。



「とにかく、次の相手は彼です。
用心してどうすればいいか?
対策を練っておいてください」


どんな相手なのか、非常に気になる。
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