UWP(Under World Prowrestling)

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10年前

メインイベント

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オープニングマッチは、今道の予想通り指宿がギブアップ勝ちを収めた。


メジャーの選手がインディの選手に敗れるとあって、会場は騒然とした。


『何やってんだ、バカヤロー!』


『恥を知れ、恥を!』


『いくら賭けたと思ってんだ、金返せバカヤロー!』


【Boo Boo Boo!】


負けた三浦に対し、容赦なくブーイングを浴びせる。


戦前の予想では、三浦が勝つだろうという見方が大半で、八割方の観客が三浦に賭けていた。


「ちなみにオッズですが、三浦選手が1.96倍に対し、指宿選手は12.8倍。

指宿選手に賭けたお客様は笑いが止まらないでしょうね」


「12.8倍っていうと…1000円賭けたら128000円!スゲー、ボロ儲けだ!」


「ハッハッハッ」


東郷は腹を抱えて笑った。


「何がおかしいんすか?」


「今道クン。ここのお客様は1000円の何万倍もの金額を賭けてるのですよ」


「エェェェェェェェェェェェ!」


「イチイチうるさいですね、あなたは!」


思わず耳を塞いだ。


「じゃあ、1000円の1万倍だと…えーっと、一、十、百、千、万…

百万っ?」


「一千万でしょ!計算も出来ないんですか、あなたは!」


脳筋という言葉がピッタリだ。



「一千万…気が遠くなりそうだ」


ギリギリの生活を送ってきた今道には一千万は天文学的な数字だ。



「しかし、よく指宿選手が勝つと予想しましたね?」


「いやぁ…何か、雰囲気というか…見るからに強そうな感じがしませんか?」


指宿は練習熱心な選手として知られ、勝つために入念な準備をしてきた。


「勝つという強い意志が三浦選手よりも上だったのでしょう」


寝技の展開から一転して打撃の応酬となったが、頑丈な身体を持つ指宿が三浦の蹴りを耐え抜き、鋭角的なエルボーと膝蹴りの連打でダウンさせると、アキレス腱を極めながらの逆方エビ固めでギブアップを奪った。


「フィニッシュのハーフボストンクラブですが…普通は足首を抱える様に持つのですが、指宿選手は足首のポイントを少しズラしてアキレス腱固めの様にして、尚且つ全力で反り上げた危険なフィニッシュホールドです」


通常のプロレスではそこまで力を込めないのだが、ここは地下プロレスだ。


取り決めの無いシュートな闘いを制するには、禁じ手を解禁するしかない。




「こんな試合がまだ続くんですか?」


「当然です。まだ1試合が終わったばかりですよ」


メインを含め、全8試合が行われる。







セミファイナルが終わり、これからメインイベントが始まる。



どの試合も説得力のあるフィニッシュホールドで、インパクトも絶大だ。



「次はメインイベントです」


「確かメインイベントはチャンピオンの防衛戦ですよね?」


本日のメインは、チャンピオン氏家 崇(うじいえたかし)対ランキング1位の馬淵 光太(まぶちこうた)の一戦。


氏家は5度目の防衛戦となる。


「そう言えば、ここって所属選手が一人しかいないって言ってましたよね?」


UWPの所属選手は今道を除いてたった一人しかいない。


「その通りです。所属選手は氏家選手のみです」


UWPはチャンピオンが自動的に所属選手となる。


仮に新王者が誕生した場合、入れ替えで新王者が所属選手となる。

敗れた前王者は一銭もファイトマネーを貰えず、所属から外され一からやり直しとなる。



青コーナーからチャレンジャーの馬淵が姿を現す。


黒のロングタイツにオープンフィンガーグローブを着用している。


「プロレスラーっぽくないですね」


「彼は総合格闘技の選手です」


馬淵は総合格闘技の大会で優秀な成績を挙げている。


「プロレスの試合なのに、総合格闘技の選手と闘うんですか?」


「まぁ、色々ありましてね」


UWPはプロレスラーだけではなく、総合格闘技をはじめとした格闘技の選手が出場する事も少なくない。


UWPは運営が独自の調査によって選手にオファーする。


つまり、チャンピオン以外は他所の選手という事になる。


「どんな試合になるんだろう」


「観ればわかりますよ」


続いて赤コーナーからチャンピオン氏家が登場する。


『チャンピオン、今日も勝てよ!』


『総合格闘技の選手なんて、ソッコーで潰せ!』


『お前に賭けたんだから、絶対に勝てよ!』


氏家の登場で会場は更にボルテージが上がる。


「氏家選手の闘い方をよくご覧なさい」


プロレスラー対総合格闘家。


アンダーグラウンドの世界ではどんな結末になるのか。
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