UWP(Under World Prowrestling)

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UWPとは

どっちが勝者か

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ゴングと同時にフェニックスが飛び出す。

ソロコフ目掛けスピーディーなドロップキックを放つ。


だがソロコフは冷静にガードを固め手で払い落とす。


奇襲のつもりで仕掛けたのだろうが、そんな飛び技は通用しないとばかりに。


着地に失敗したフェニックスの背後からチョークスリーパーを仕掛ける。

あわや秒殺か、と観客はどよめくがフェニックスはくるりと回転して脱出。


再びスタンドの状態になった。


パンチのテクニックが優れるソロコフがラッシュをかける。


ジャブ、ストレート、フック、ボディと巧みなコンビネーションで攻め立てる。


フェニックスはガードをするも、ガードの隙間からパンチを浴びせる。


そこへ左のフックが顔面を捉えた。


一瞬フェニックスの膝がガクッと落ちた。


場内は更に沸く。


チャンスとばかりに回転を上げ、ローキックとのコンビネーションでフェニックスをコーナーに追い込む。


すると、フェニックスがソロコフを足をキャッチし、素早い回転でドラゴンスクリューを見舞う。


膝が捻られ、もんどりうって倒れる。


ウォーーーという歓声の中、フェニックスはソロコフに覆いかぶさり、スリーパーホールドを仕掛ける。


だが、寝技には長けてるソロコフが上手く防御して極まらない。


膠着状態となり、レフリーがストップをかけ、再びスタンドに。


ソロコフが片足タックルを仕掛けた。


フェニックスは片足を取られたまま、ソロコフの首を掴んでDDTを見舞う。


受けたことの無い技を脳天に食らい、ソロコフは怯んだが、直ぐ様立ち上がり効いてないとアピール。


すると、フェニックスがノーモーションから左のラリアットを炸裂。


ガードをしたが、あまりの威力にソロコフは吹っ飛ばされた。



「ひょっとして、勝てるかもしれない…」


「いけぇ~っ、フェニックス!」


【フェニックス!フェニックス!】


場内割れんばかりのフェニックスコールに変わった。


プロレスラーが総合の試合でプロレス技で勝つ。


プロレスファンなら一度は夢見た事だ。


その夢が現実になる。


誰もがそう思った。


だが、ここでフェニックスは動きが鈍くなった。


組み付いたはいいが、スタミナ切れなのか、先程の速い動きは見れなくなった。


「どうした、フェニックス!」


「あと少しで勝てるぞ!」


「何やってんだ、早く仕留めろ!」


フェニックスの動きにファンはヤキモキする。


息を吹き返したソロコフがクリンチの状態からボディへ左右のパンチを連打する。


ガードの甘いフェニックスの脇腹を容赦なく叩き続ける。


フェニックスが両膝をついた。


ここが最大のチャンス、とばかりにマウントポジションを取り、パウンドの連打を浴びせる。


何発か顔面にヒット。


「あぁ…ヤバイ」


「終わったか…」


やっぱりプロレスラーは総合格闘家には勝てないか…そう思った。


だが、フェニックスは持ち前のパワーでソロコフの身体をひっくり返した。


「スゲ~っ!!」


「何てパワーだ!」


「これがプロレスラーの凄さだぜ!」


再び会場はフェニックスコールで溢れ返る。


フェニックスは声援に応えるべく、うつ伏せになったソロコフの背に跨りキャメルクラッチを極める。


ソロコフは両腕でガードをし、頭を伏せている。


すると、今度はエルボーで後頭部に攻撃を与えた。


あまりにも強烈なエルボー。


レフリーが試合をストップさせるかどうか迷っている。


すると、フェニックスは立ち上がりソロコフに対して立ってこいと促す。


この予想外の展開に場内からブーイングが起きた。


「何やってんだよ!」


「あのままエルボー連打すりゃ、レフリーが試合止めてただろう!」


「カッコつけてプロレス技で勝負してんじゃねぇぞ!」


不可解な行動にファンは苛立ちを隠せない。


ソロコフが立ち上がり、左のジャブから必殺のロシアンフックを炸裂させた。


ものの見事にフェニックスの顔面にヒット。


フェニックスが崩れ落ちると、追い打ちとばかりに左右のパウンドを浴びせる。


フェニックスは動かない。



ここでレフリーがソロコフを止め、ゴングを要請。


1R4分26秒、レフリーストップでソロコフの勝利。


会場からは、あぁ~あ…というため息に包まれた。


ゴングと同時にソロコフが崩れ落ちる。

膝へのドラゴンスクリューに加え、後頭部へのエルボーでかなりのダメージを負っている。


リングドクターが駆け付け、担架を持ってきてくれと叫ぶ。


方やフェニックスはというと、ゴングが鳴った瞬間、すくっと立ち上がり、何事も無かったかのように、リングを降り、誰の肩も借りずに控え室へと去っていった。


この光景にファンは


「何じゃ、この試合は?」


「勝った方が倒れて、負けた方がサッサと帰っていったって…どうなってんだ?」


「まさか、八百長じゃねぇの?」


すると、場内から割れんばかりの八百長コールが巻き起こり、リングに向けて罵声が飛び交う。


収集のつかない状態となり、今にも暴動が起こりそうな雰囲気だ。


危険を察知した主催者は優勝セレモニーを急遽取り止め、ソロコフは担架に運ばれ救急車に乗って病院へと向かった。



一方、控え室に戻ったフェニックスは窮屈そうだったマスクを脱ぐと、鏡に映った素顔を見る。


「痛ってぇ…大したケガはないけど、口元を隠すしかないか」


鼻と口から血を流し、上唇は腫れ上がっている。


着替えを済ませ、上着のポケットに入っていたマスクで口元を隠した。



「ヨシ、これで大丈夫」


そう言うと、会場を出てタクシーに乗り込んだ。


するとスマホに着信が。


「はい、モシモシ」


【今道クン、試合はどうでした?】


「あぁ、負けましたよ」


【フフッ、そうでしょうね】


「だって、コーチが勝つな、負けてこいって言うもんだから」


【勝ってはいけないんです、アナタは】


声の主はUWPの専属コーチ、東郷仁だった。


それにしても、ワザと負けろとはどういう事か。
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