4 / 62
UWPとは
どっちが勝者か
しおりを挟む
ゴングと同時にフェニックスが飛び出す。
ソロコフ目掛けスピーディーなドロップキックを放つ。
だがソロコフは冷静にガードを固め手で払い落とす。
奇襲のつもりで仕掛けたのだろうが、そんな飛び技は通用しないとばかりに。
着地に失敗したフェニックスの背後からチョークスリーパーを仕掛ける。
あわや秒殺か、と観客はどよめくがフェニックスはくるりと回転して脱出。
再びスタンドの状態になった。
パンチのテクニックが優れるソロコフがラッシュをかける。
ジャブ、ストレート、フック、ボディと巧みなコンビネーションで攻め立てる。
フェニックスはガードをするも、ガードの隙間からパンチを浴びせる。
そこへ左のフックが顔面を捉えた。
一瞬フェニックスの膝がガクッと落ちた。
場内は更に沸く。
チャンスとばかりに回転を上げ、ローキックとのコンビネーションでフェニックスをコーナーに追い込む。
すると、フェニックスがソロコフを足をキャッチし、素早い回転でドラゴンスクリューを見舞う。
膝が捻られ、もんどりうって倒れる。
ウォーーーという歓声の中、フェニックスはソロコフに覆いかぶさり、スリーパーホールドを仕掛ける。
だが、寝技には長けてるソロコフが上手く防御して極まらない。
膠着状態となり、レフリーがストップをかけ、再びスタンドに。
ソロコフが片足タックルを仕掛けた。
フェニックスは片足を取られたまま、ソロコフの首を掴んでDDTを見舞う。
受けたことの無い技を脳天に食らい、ソロコフは怯んだが、直ぐ様立ち上がり効いてないとアピール。
すると、フェニックスがノーモーションから左のラリアットを炸裂。
ガードをしたが、あまりの威力にソロコフは吹っ飛ばされた。
「ひょっとして、勝てるかもしれない…」
「いけぇ~っ、フェニックス!」
【フェニックス!フェニックス!】
場内割れんばかりのフェニックスコールに変わった。
プロレスラーが総合の試合でプロレス技で勝つ。
プロレスファンなら一度は夢見た事だ。
その夢が現実になる。
誰もがそう思った。
だが、ここでフェニックスは動きが鈍くなった。
組み付いたはいいが、スタミナ切れなのか、先程の速い動きは見れなくなった。
「どうした、フェニックス!」
「あと少しで勝てるぞ!」
「何やってんだ、早く仕留めろ!」
フェニックスの動きにファンはヤキモキする。
息を吹き返したソロコフがクリンチの状態からボディへ左右のパンチを連打する。
ガードの甘いフェニックスの脇腹を容赦なく叩き続ける。
フェニックスが両膝をついた。
ここが最大のチャンス、とばかりにマウントポジションを取り、パウンドの連打を浴びせる。
何発か顔面にヒット。
「あぁ…ヤバイ」
「終わったか…」
やっぱりプロレスラーは総合格闘家には勝てないか…そう思った。
だが、フェニックスは持ち前のパワーでソロコフの身体をひっくり返した。
「スゲ~っ!!」
「何てパワーだ!」
「これがプロレスラーの凄さだぜ!」
再び会場はフェニックスコールで溢れ返る。
フェニックスは声援に応えるべく、うつ伏せになったソロコフの背に跨りキャメルクラッチを極める。
ソロコフは両腕でガードをし、頭を伏せている。
すると、今度はエルボーで後頭部に攻撃を与えた。
あまりにも強烈なエルボー。
レフリーが試合をストップさせるかどうか迷っている。
すると、フェニックスは立ち上がりソロコフに対して立ってこいと促す。
この予想外の展開に場内からブーイングが起きた。
「何やってんだよ!」
「あのままエルボー連打すりゃ、レフリーが試合止めてただろう!」
「カッコつけてプロレス技で勝負してんじゃねぇぞ!」
不可解な行動にファンは苛立ちを隠せない。
ソロコフが立ち上がり、左のジャブから必殺のロシアンフックを炸裂させた。
ものの見事にフェニックスの顔面にヒット。
フェニックスが崩れ落ちると、追い打ちとばかりに左右のパウンドを浴びせる。
フェニックスは動かない。
ここでレフリーがソロコフを止め、ゴングを要請。
1R4分26秒、レフリーストップでソロコフの勝利。
会場からは、あぁ~あ…というため息に包まれた。
ゴングと同時にソロコフが崩れ落ちる。
膝へのドラゴンスクリューに加え、後頭部へのエルボーでかなりのダメージを負っている。
リングドクターが駆け付け、担架を持ってきてくれと叫ぶ。
方やフェニックスはというと、ゴングが鳴った瞬間、すくっと立ち上がり、何事も無かったかのように、リングを降り、誰の肩も借りずに控え室へと去っていった。
この光景にファンは
「何じゃ、この試合は?」
「勝った方が倒れて、負けた方がサッサと帰っていったって…どうなってんだ?」
「まさか、八百長じゃねぇの?」
すると、場内から割れんばかりの八百長コールが巻き起こり、リングに向けて罵声が飛び交う。
収集のつかない状態となり、今にも暴動が起こりそうな雰囲気だ。
危険を察知した主催者は優勝セレモニーを急遽取り止め、ソロコフは担架に運ばれ救急車に乗って病院へと向かった。
一方、控え室に戻ったフェニックスは窮屈そうだったマスクを脱ぐと、鏡に映った素顔を見る。
「痛ってぇ…大したケガはないけど、口元を隠すしかないか」
鼻と口から血を流し、上唇は腫れ上がっている。
着替えを済ませ、上着のポケットに入っていたマスクで口元を隠した。
「ヨシ、これで大丈夫」
そう言うと、会場を出てタクシーに乗り込んだ。
するとスマホに着信が。
「はい、モシモシ」
【今道クン、試合はどうでした?】
「あぁ、負けましたよ」
【フフッ、そうでしょうね】
「だって、コーチが勝つな、負けてこいって言うもんだから」
【勝ってはいけないんです、アナタは】
声の主はUWPの専属コーチ、東郷仁だった。
それにしても、ワザと負けろとはどういう事か。
ソロコフ目掛けスピーディーなドロップキックを放つ。
だがソロコフは冷静にガードを固め手で払い落とす。
奇襲のつもりで仕掛けたのだろうが、そんな飛び技は通用しないとばかりに。
着地に失敗したフェニックスの背後からチョークスリーパーを仕掛ける。
あわや秒殺か、と観客はどよめくがフェニックスはくるりと回転して脱出。
再びスタンドの状態になった。
パンチのテクニックが優れるソロコフがラッシュをかける。
ジャブ、ストレート、フック、ボディと巧みなコンビネーションで攻め立てる。
フェニックスはガードをするも、ガードの隙間からパンチを浴びせる。
そこへ左のフックが顔面を捉えた。
一瞬フェニックスの膝がガクッと落ちた。
場内は更に沸く。
チャンスとばかりに回転を上げ、ローキックとのコンビネーションでフェニックスをコーナーに追い込む。
すると、フェニックスがソロコフを足をキャッチし、素早い回転でドラゴンスクリューを見舞う。
膝が捻られ、もんどりうって倒れる。
ウォーーーという歓声の中、フェニックスはソロコフに覆いかぶさり、スリーパーホールドを仕掛ける。
だが、寝技には長けてるソロコフが上手く防御して極まらない。
膠着状態となり、レフリーがストップをかけ、再びスタンドに。
ソロコフが片足タックルを仕掛けた。
フェニックスは片足を取られたまま、ソロコフの首を掴んでDDTを見舞う。
受けたことの無い技を脳天に食らい、ソロコフは怯んだが、直ぐ様立ち上がり効いてないとアピール。
すると、フェニックスがノーモーションから左のラリアットを炸裂。
ガードをしたが、あまりの威力にソロコフは吹っ飛ばされた。
「ひょっとして、勝てるかもしれない…」
「いけぇ~っ、フェニックス!」
【フェニックス!フェニックス!】
場内割れんばかりのフェニックスコールに変わった。
プロレスラーが総合の試合でプロレス技で勝つ。
プロレスファンなら一度は夢見た事だ。
その夢が現実になる。
誰もがそう思った。
だが、ここでフェニックスは動きが鈍くなった。
組み付いたはいいが、スタミナ切れなのか、先程の速い動きは見れなくなった。
「どうした、フェニックス!」
「あと少しで勝てるぞ!」
「何やってんだ、早く仕留めろ!」
フェニックスの動きにファンはヤキモキする。
息を吹き返したソロコフがクリンチの状態からボディへ左右のパンチを連打する。
ガードの甘いフェニックスの脇腹を容赦なく叩き続ける。
フェニックスが両膝をついた。
ここが最大のチャンス、とばかりにマウントポジションを取り、パウンドの連打を浴びせる。
何発か顔面にヒット。
「あぁ…ヤバイ」
「終わったか…」
やっぱりプロレスラーは総合格闘家には勝てないか…そう思った。
だが、フェニックスは持ち前のパワーでソロコフの身体をひっくり返した。
「スゲ~っ!!」
「何てパワーだ!」
「これがプロレスラーの凄さだぜ!」
再び会場はフェニックスコールで溢れ返る。
フェニックスは声援に応えるべく、うつ伏せになったソロコフの背に跨りキャメルクラッチを極める。
ソロコフは両腕でガードをし、頭を伏せている。
すると、今度はエルボーで後頭部に攻撃を与えた。
あまりにも強烈なエルボー。
レフリーが試合をストップさせるかどうか迷っている。
すると、フェニックスは立ち上がりソロコフに対して立ってこいと促す。
この予想外の展開に場内からブーイングが起きた。
「何やってんだよ!」
「あのままエルボー連打すりゃ、レフリーが試合止めてただろう!」
「カッコつけてプロレス技で勝負してんじゃねぇぞ!」
不可解な行動にファンは苛立ちを隠せない。
ソロコフが立ち上がり、左のジャブから必殺のロシアンフックを炸裂させた。
ものの見事にフェニックスの顔面にヒット。
フェニックスが崩れ落ちると、追い打ちとばかりに左右のパウンドを浴びせる。
フェニックスは動かない。
ここでレフリーがソロコフを止め、ゴングを要請。
1R4分26秒、レフリーストップでソロコフの勝利。
会場からは、あぁ~あ…というため息に包まれた。
ゴングと同時にソロコフが崩れ落ちる。
膝へのドラゴンスクリューに加え、後頭部へのエルボーでかなりのダメージを負っている。
リングドクターが駆け付け、担架を持ってきてくれと叫ぶ。
方やフェニックスはというと、ゴングが鳴った瞬間、すくっと立ち上がり、何事も無かったかのように、リングを降り、誰の肩も借りずに控え室へと去っていった。
この光景にファンは
「何じゃ、この試合は?」
「勝った方が倒れて、負けた方がサッサと帰っていったって…どうなってんだ?」
「まさか、八百長じゃねぇの?」
すると、場内から割れんばかりの八百長コールが巻き起こり、リングに向けて罵声が飛び交う。
収集のつかない状態となり、今にも暴動が起こりそうな雰囲気だ。
危険を察知した主催者は優勝セレモニーを急遽取り止め、ソロコフは担架に運ばれ救急車に乗って病院へと向かった。
一方、控え室に戻ったフェニックスは窮屈そうだったマスクを脱ぐと、鏡に映った素顔を見る。
「痛ってぇ…大したケガはないけど、口元を隠すしかないか」
鼻と口から血を流し、上唇は腫れ上がっている。
着替えを済ませ、上着のポケットに入っていたマスクで口元を隠した。
「ヨシ、これで大丈夫」
そう言うと、会場を出てタクシーに乗り込んだ。
するとスマホに着信が。
「はい、モシモシ」
【今道クン、試合はどうでした?】
「あぁ、負けましたよ」
【フフッ、そうでしょうね】
「だって、コーチが勝つな、負けてこいって言うもんだから」
【勝ってはいけないんです、アナタは】
声の主はUWPの専属コーチ、東郷仁だった。
それにしても、ワザと負けろとはどういう事か。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる