Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

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デッドヒート

GMと監督とヘッドコーチと

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試合は0-1でマーリンズが勝利した。

スカイウォーカーズも終盤に粘りを見せたが、中澤-仁科の継投策に決定打を与える事が出来ず。


この1敗でスカイウォーカーズが首位から陥落。

マーリンズが首位に躍り出た。

とは言え、ゲーム差は0.5

逆転の可能性は十分ある。



翌日はスカイウォーカーズの先発は北乃。

マーリンズはローテーション三番手の石井。


試合は3回の裏、4番鬼束の第30号ソロで先制。

続く5番毒島も33号ソロと二者連続アーチで追加点を奪う。


対するマーリンズも、5回の表にトップの高野がツーベースヒットで出塁すると、2番佐竹のライト前ヒットで1点を返す。


スカイウォーカーズは7回の裏、2番唐澤のレフト前ヒットで出塁すると、3番結城が二番手ピッチャー中西のスライダーをレフトスタンドに運ぶ20号ツーランでダメ押し。

先発北乃は9回まで投げきり、被安打5 失点1 8奪三振で6勝目をマーク。

この試合でスカイウォーカーズが再び首位に立つ。


1勝1敗で迎えた三戦目、スカイウォーカーズは目下ハーラートップの14勝を挙げている真咲。

マーリンズは前回完全試合を達成した天海。


しかしこの日は午後から降り出した雨が止まず、やむ無く中止を発表。



「ったくよ~、この球場も屋根付けろってんだよ」


一向に止む気配がない雨を恨めしそうに見る。


いつもの監督室で榊とGMの高梨、ヘッドコーチの櫻井が窓の外を眺める。


「屋根付きと言いますが、それなりの費用が掛かりますし、おいそれと出せる金額じゃ無いですから」


「屋根が付いてない球場はウチだけじゃないですし、こればっかりは仕方ないですよ」


そこはオーナーの決断に任せるしかない。


「あのバカオーナー、ケチケチしないで金出しゃいいんだよ!高梨、オーナーに来年からは屋根付きにしろって言えよ」


「無茶ですよ!いくらなんでも来年はムリですって!」


相変わらず無茶苦茶な事を言う。


「まあまあ、監督。選手達には恵の雨ですよ。この時期、連戦の疲れがピークに達する頃ですし、いい休日になるはずですよ」


「まぁ、ヒロトがそう言うなら」


最近は二言目には【ヒロトがそう言うなら】と櫻井に言いくるめられてしまう。


それだけ櫻井に全幅の信頼を寄せているという事だろう。


「明日からはキングダムとの連戦ですけど、移動が無い分楽ですよ」


明日からは東京ボールパークでキングダムとの三連戦がスタートする。


「確かに同じ東京だから楽と言えば楽なんだが、キングダムは翔田が復帰しただろ?オレはマーリンズよりも、キングダムの方が恐いと思うんだよな」


翔田が復帰したキングダムは、怒涛の快進撃で2位マーリンズとのゲーム差は1.5

首位スカイウォーカーズとは2.0ゲーム差で、三つ巴の戦いとなる。


「確かに翔田の復活は我々にとっては脅威ですが、翔田はケガの影響で先発は難しく抑えで投げてます。
総合的に見て、キングダムよりもマーリンズの方が手強いですよ」


高梨は天海が改心して、より一層チームワークが良くなったマーリンズを警戒する。


「そうですね…ボクもキングダムよりマーリンズの方が厄介です」


「そうかぁ~?オレはキングダムの方を警戒するんだがなぁ」


「キングダムは翔田攻略法があるじゃないですか」


櫻井はシーズン当初から翔田を分析した。


「そうだ、ヒロト。翔田の攻略法を見つけたというが、抑えの場面でもそれが通用するのか?」


「大丈夫ですよ、高梨さん。間違いなく彼を打ち崩す事が出来ます」

櫻井は自信満々だ。


「どんな完璧な投手でも弱点はある…か。
人間のやる事だから、必ず穴がある…
この三連戦で翔田は必ず出てくるだろう。
その時、試してみようか」


榊の表情が変わる。

まるで現役時代を彷彿させるような、鬼気迫る表情だ。


「榊さん、今回はマジですね」


「何か、勝負師という顔してますよ」



すると、榊は突然立ち上がる。


「ど、どうしたんですか?」


「…いや、この数日間禁煙してたんだけど…やっぱ、タバコ止められないんだよ~っ!
オレ、タバコ買ってくる!」


ダッシュで部屋を出て、近くのコンビニまでタバコを買いに行った。


「な…タバコ吸いたいだけだったの?」


「あの調子じゃ、禁煙は無理そうですね」


二人とも呆れた表情をしている。



明日から始まるキングダムとの連戦で、翔田攻略法が披露出来るのだろうか。
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