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クライマックス
完全試合達成
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2点をリードしたスカイウォーカーズは、エース中邑の力投もあって、レッズ打線を封じ込める。
完投は逃したものの7回を投げ、4安打2四球無失点、12奪三振という内容でマウンドを降りた。
8回には東雲、9回はジェイクが3人で締め、中邑は12勝をマーク。
ジェイクはこれで37セーブとリーグトップ。
スカイウォーカーズが完封リレーで勝利を飾ったその裏で、マーリンズ天海はレボリューションズ相手に8回までパーフェクトピッチングを続けている。
山口県下関市のISHINフィールドは異様な雰囲気に包まれていた。
天海の投球内容はここまで無安打無四球、9奪三振とレボリューションズ打線を抑える。
最速162kmのバレットに147kmのスプリットと138kmのスライダー、時折103kmのスローカーブを交え、文句の付けようの無いカンペキなピッチング。
バックも天海を援護して盛り立てる。
3番村上がランナー一掃のスリーベースヒットで2点を先制すると、主砲の羽田が第30号ツーランで2点を追加。
その羽田は守備でも、4回に三塁線の痛烈なライナーを、横っ飛びでキャッチするファインプレー。
天海は今まで見せたこと無い表情をして、羽田を労う。
生まれ変わった新生天海はバックの信頼を得て、躍動感溢れるピッチングを披露。
「天海、絶対に完全試合達成しろよ!」
「守備は任せろ!お前はバッターだけに集中するんだ」
「おおきに…でもな、今のオレにとって完全試合なんかより、こうやって皆と優勝目指して勝つ事が一番大事なんや。
個人記録なんか、関係あらへん。
チームの勝利が最優先や」
殊勝な天海の言葉に、ナインは何としてでも完全試合を達成しようと気合いを入れる。
そして最終回。
レボリューションズは下位打線だが、代打攻勢で何としてでも完全試合を阻止しようと試みる。
しかし、今日の天海は絶好調で9回を投げても球威が衰えず。
最後のバッターで代打の切り札、山下をツーナッシングから161kmのバレットで見逃し三振。
この瞬間、史上11人目の完全試合を達成。
球場は興奮の坩堝に包まれ、天海は渾身のガッツポーズで高々と右手を上げた。
キャッチャー川上が喜び勇んでマウンドに駆け寄り、天海に抱きつく。
それと同時に、野手全員がまるで優勝したかの様な喜びの表情でマウンドに向かう。
ベンチからも控えの選手が飛び出し、一斉にグラウンドへ駆け寄る。
歓喜の輪が広がり、その中心で天海は喜びを噛み締める。
今まで傍若無人に振る舞い、孤独のエースとして誰にも頼らず奮闘していた頃とは違い、チームメイトに囲まれ喜びを分かち合う事がこんなにも尊いものだと知り、自然と涙が溢れた。
「天海っ、お前スゲーよ!」
キャプテンでもある羽田が、我が事の様に狂喜乱舞する。
「おおきに!それもこれも、皆のお陰や!ホンマにありがとう!」
「やったーっ!完全試合だ!」
「バンザーイ、バンザーイ!」
「この勢いで絶対に優勝しよう!」
「よし、天海を胴上げしよう!」
羽田の一声でナインが天海の身体を抱え、ポーンと上に上げた。
「ワーッショイ、ワーッショイ!」
天海の身体が何度も宙に舞う。
「ハハッ、こんな事してもろたん初めてや!」
天海は10回宙に舞った。
胴上げの後、天海は帽子を取りナインに深々と頭を下げた。
「ホンマにありがとう!いくら感謝しても足りないぐらい、ええ思いさせてもらいました!
このご恩は絶対に忘れへん!いつか皆に恩返しするさかい、待っとってや!」
「天海…」
「いいんだよ、そんな事は。今までの事は水に流して、優勝を目指そう!」
「そうそう!この先優勝する為には、お前の力が必要なんだし」
羽田は天海の足の間に頭を入れ、一気に立ち上がる。
「ワッワッ、ちょっ…止めえて」
羽田が肩車をして、三塁側ベンチ前へと歩く。
「ほら、ファンの声援に応えるんだ」
「あ…あぁ」
羽田に促され、スタンドで声援を送るファンに手を上げて応える。
【天海ぃー、スゲーぞ!】
【やっぱりお前はナンバーワンピッチャーだ!】
【絶対に優勝しろよ!】
「ありがとう!ホンマ、おおきに!」
両手を上げ、笑顔で礼を述べた。
今までで一番幸せで最高な瞬間だ。
その後、ヒーローインタビューで天海は感極まり、涙声でファンやナインに感謝の言葉を口にする。
「…今日は…ホンマに嬉しいです…
スタンドで…声援を送ってくれた…ファンの方々…そして…こんな自分を励ましてくれた野手の…野手の皆…
ありがとうございました!
マーリンズは絶対に優勝しますさかい、これからも応援よろしくお願いいたします!
今日はホントにありがとうございました!」
試合は終わったが、未だ帰らぬ観客が拍手を送る。
再度頭を下げ、グラウンドを一周して回った。
【天海ぃ!】
【これからも応援するから、優勝しろよ!】
【次も勝てよ!】
「ありがとう!」
手を振って応える。
天海にとって、生涯忘れる事の出来ない素晴らしい日になった。
完投は逃したものの7回を投げ、4安打2四球無失点、12奪三振という内容でマウンドを降りた。
8回には東雲、9回はジェイクが3人で締め、中邑は12勝をマーク。
ジェイクはこれで37セーブとリーグトップ。
スカイウォーカーズが完封リレーで勝利を飾ったその裏で、マーリンズ天海はレボリューションズ相手に8回までパーフェクトピッチングを続けている。
山口県下関市のISHINフィールドは異様な雰囲気に包まれていた。
天海の投球内容はここまで無安打無四球、9奪三振とレボリューションズ打線を抑える。
最速162kmのバレットに147kmのスプリットと138kmのスライダー、時折103kmのスローカーブを交え、文句の付けようの無いカンペキなピッチング。
バックも天海を援護して盛り立てる。
3番村上がランナー一掃のスリーベースヒットで2点を先制すると、主砲の羽田が第30号ツーランで2点を追加。
その羽田は守備でも、4回に三塁線の痛烈なライナーを、横っ飛びでキャッチするファインプレー。
天海は今まで見せたこと無い表情をして、羽田を労う。
生まれ変わった新生天海はバックの信頼を得て、躍動感溢れるピッチングを披露。
「天海、絶対に完全試合達成しろよ!」
「守備は任せろ!お前はバッターだけに集中するんだ」
「おおきに…でもな、今のオレにとって完全試合なんかより、こうやって皆と優勝目指して勝つ事が一番大事なんや。
個人記録なんか、関係あらへん。
チームの勝利が最優先や」
殊勝な天海の言葉に、ナインは何としてでも完全試合を達成しようと気合いを入れる。
そして最終回。
レボリューションズは下位打線だが、代打攻勢で何としてでも完全試合を阻止しようと試みる。
しかし、今日の天海は絶好調で9回を投げても球威が衰えず。
最後のバッターで代打の切り札、山下をツーナッシングから161kmのバレットで見逃し三振。
この瞬間、史上11人目の完全試合を達成。
球場は興奮の坩堝に包まれ、天海は渾身のガッツポーズで高々と右手を上げた。
キャッチャー川上が喜び勇んでマウンドに駆け寄り、天海に抱きつく。
それと同時に、野手全員がまるで優勝したかの様な喜びの表情でマウンドに向かう。
ベンチからも控えの選手が飛び出し、一斉にグラウンドへ駆け寄る。
歓喜の輪が広がり、その中心で天海は喜びを噛み締める。
今まで傍若無人に振る舞い、孤独のエースとして誰にも頼らず奮闘していた頃とは違い、チームメイトに囲まれ喜びを分かち合う事がこんなにも尊いものだと知り、自然と涙が溢れた。
「天海っ、お前スゲーよ!」
キャプテンでもある羽田が、我が事の様に狂喜乱舞する。
「おおきに!それもこれも、皆のお陰や!ホンマにありがとう!」
「やったーっ!完全試合だ!」
「バンザーイ、バンザーイ!」
「この勢いで絶対に優勝しよう!」
「よし、天海を胴上げしよう!」
羽田の一声でナインが天海の身体を抱え、ポーンと上に上げた。
「ワーッショイ、ワーッショイ!」
天海の身体が何度も宙に舞う。
「ハハッ、こんな事してもろたん初めてや!」
天海は10回宙に舞った。
胴上げの後、天海は帽子を取りナインに深々と頭を下げた。
「ホンマにありがとう!いくら感謝しても足りないぐらい、ええ思いさせてもらいました!
このご恩は絶対に忘れへん!いつか皆に恩返しするさかい、待っとってや!」
「天海…」
「いいんだよ、そんな事は。今までの事は水に流して、優勝を目指そう!」
「そうそう!この先優勝する為には、お前の力が必要なんだし」
羽田は天海の足の間に頭を入れ、一気に立ち上がる。
「ワッワッ、ちょっ…止めえて」
羽田が肩車をして、三塁側ベンチ前へと歩く。
「ほら、ファンの声援に応えるんだ」
「あ…あぁ」
羽田に促され、スタンドで声援を送るファンに手を上げて応える。
【天海ぃー、スゲーぞ!】
【やっぱりお前はナンバーワンピッチャーだ!】
【絶対に優勝しろよ!】
「ありがとう!ホンマ、おおきに!」
両手を上げ、笑顔で礼を述べた。
今までで一番幸せで最高な瞬間だ。
その後、ヒーローインタビューで天海は感極まり、涙声でファンやナインに感謝の言葉を口にする。
「…今日は…ホンマに嬉しいです…
スタンドで…声援を送ってくれた…ファンの方々…そして…こんな自分を励ましてくれた野手の…野手の皆…
ありがとうございました!
マーリンズは絶対に優勝しますさかい、これからも応援よろしくお願いいたします!
今日はホントにありがとうございました!」
試合は終わったが、未だ帰らぬ観客が拍手を送る。
再度頭を下げ、グラウンドを一周して回った。
【天海ぃ!】
【これからも応援するから、優勝しろよ!】
【次も勝てよ!】
「ありがとう!」
手を振って応える。
天海にとって、生涯忘れる事の出来ない素晴らしい日になった。
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