Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

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優勝争い

無安打

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天海の快投は続く。

2回の表、4番鬼束、5番毒島、6番中山を全球バレットで三球三振。


3回の表、7番保坂、8番片山、9番筧をこれまた三球三振。


4回の表、トップのラファエル、2番唐澤、3番結城を全てバレットで三球三振。


ここまで投げた球数は36球、全てストライクをとっている。


一方マーリンズの攻撃陣は、スカイウォーカーズ先発の片山に僅か1安打のみ。


5回の表、スカイウォーカーズは4番鬼束からの攻撃。


初回からエンジン全開で160前後のストレートを投げているが、球威は衰えず。

マウンド上の天海は、早くもツーストライクと追い込んだ。

攻撃の糸口が見つからず、バレットを打ち崩す策も無い。


(どうやって打てばいいんだ…)

鬼束は焦る。

前の打席と同じ、三球三振で終わってしまうのか。


「いくら考えてもムダや…オマエらは、バット持って突っ立ってるだけで終わりや!」


天海が三球目を投じた。


唸りを上げたボールは、鬼束の動体視力を持ってしても、捕える事は出来ない。

「ストライクアウト!」


一打席目と同じく、三球三振で倒れた。


「…速すぎて見えない」


少しは目が慣れているだろうと思って打席に立ったが、慣れるどころか一向に球筋が見えない。


ベンチではまだ2回だと言うのに、暗く沈んだ雰囲気が漂う。


「どうやったら打てるんだよ」


「どうやってって…そりゃ、バントとかで揺さぶりかけるとかで」


「あの球どうやってバントするんだよ!」


「いや、攻略法は必ずあるハズだ」


「でも、どうやって?今だって、鬼束さんが三球三振なんですよ」


選手達が弱気になってる。


「終盤疲れが見えたところを打ち崩す作戦にしてみるとか」


「何言ってんだよ!このままだと、アイツは81球で完全試合達成しちまうだろ!」


それだけは避けたい。

全て三球三振、81球で完全試合を達成されたら…


「んなワケ無いだろ!」


「でも、あの調子じゃ…」


ネガティブな事ばかり口にする。


「ストライクアウト!」


その間、5番毒島が三球三振で倒れ早くもツーアウトとなった。


「んー、こりゃやべぇな…」

榊は渋い表情をしている。

「おい、ヒロト。もし、お前ならどうやって打つ?」


隣の櫻井に聞いてみた。


「ボクですか?…これはそう簡単に打ち崩すなんて事は出来ないですが、どうかな…
うーん…一か八か、ヤマを張ってストレートならタイミングをとって、速いスイングで打ち返す…」


レジェンドと呼ばれる櫻井でさえも、天海のバレットを攻略するのは難しい。


「タイミングか…速くて見えないという先入観でお手上げだったけど、タイミングを図ってスイングすれば、当てる事は出来る」


「ストレートにヤマを張って、タイミングをとる。可能性は低いけど、ただ突っ立っているだけよりはマシだ」


唐澤は短くバットを持って天海のバレットをイメージした。


「うん、これなら何とか当てる事は出来るはず」


果たしてそれが上手くいくのだろうか。


「ストライクアウト!」


6番中山も呆気なく三球三振でスリーアウトとなった。


「よし、皆!あの球に食らいついて、何とか攻略の糸口を探そう!その為には、相手に1点もやらない守りをするんだ!」

【ハイっ!】


結城の声で、ナインはグラブを手に勢いよくベンチから出た。



4回の裏、マーリンズの攻撃は2番佐竹からという、好打順からだ。
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