Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

sky-high

文字の大きさ
上 下
87 / 125
後半戦

緊急事態

しおりを挟む
「あれはワザとでは無いでしょう。
見る限りだと、手元が滑ったせいでああいう結果になっただけで、避けきれなかった翔田くんも悪いと思いますよ」


スカイウォーカーズ櫻井ヘッドコーチ談。


「どうだろ…迂闊な事は言えないけど、天海ってキングダムに相当恨みがあるんじゃないの?
しかも、翔田を潰せばキングダムなんて戦力ガタ落ちでしょ?
んー、見たけどああいう風にしてぶつけたとか…
でも、どうかな…どっちともとれるんだよね。
あ、悪いけど匿名にしておいてくれる?」

球団関係者A氏。


「ボクもピッチャーだけど、あれは完全なすっぽ抜けだと思います。
あれで天海選手を責めるのはどうかと思うんですが」


ニックス立花投手。


「ありゃワザととちゃうか?
アイツ、そういうところ根に持つタイプやし、ホントにやりそうやから。
それにしても、翔田は気の毒やな。
あれじゃ、キングダム優勝戦線から脱落するやろな。
浅野監督もかなりキレてるやん?
いっその事、永久追放したらええねん。
確かにアイツとは元チームメイトやったけど、全く言う事聞かへんし、他の選手からも嫌われてるし…」

ドルフィンズ矢幡捕手。


「ちょっと…その件についてノーコメントで。
見ましたけど、ちょっと分からないですね…



レッズ与謝野投手。


「これ、どうなんかな?…シロでもクロでもない、グレーゾーンやないか。
ただ言えるのは、あの監督が指示したとは思えんな。
鈴木監督は非情な采配振るけど、ああいう事をしろと指示する事は有り得ないわな。
となると、…憶測でモノは言えんが、怪しいなぁとは思うで」


ブラックス矢澤捕手。


「どっちだっていい!それより、バーチーの文句はオレに言え!」


ヤンキース守山監督。


「故意に当てたとしたら、打ちどころが悪くなって命を落としかねないですし…
多分ですけど、彼は狙ったんじゃないのかな…
証拠は無いけど、やったと思いますよ」

ヤンキース外崎捕手。


天海の件は波紋を呼んだ。


故意だという者もいれば、あれは手が滑ったという者もいる。


ただ、相手がキングダムの翔田という事で様々な憶測が飛び交っている。


浅野監督の怒りは収まらない。

「優勝争いをしている最中にあんな事故が起こった。
あれはアクシデントではなく、最初から狙って投げたに違いない。
翔田を潰せば、ウチの戦力は大幅にダウンする事ぐらい分かっているハズ。
その事を見越してああいう事をしたとしか思えない」


あくまでもあのデッドボールは狙って投げたと主張する。




「あぁ、見たよテレビで。どうって…シロかクロって事でしょ?
あの投げ方だと、ビミョーなんだよねぇ。
狙った投げ方だと言われれば、そう見えるし、そうじゃない、と言われればそう思えるし。
本人が一番よく分かってるんじゃない?
まぁ仮にワザとだとしても、ワザとじゃないって言うだろうね」


試合前、榊は報道陣にこの様なコメントを残した。


「もし、ウチのピッチャーが天海にやられたら?そりゃ、オレが許さないよ!
パワーボムどころの話じゃないね。
二度と投げられないように腕をへし折るね!」


「へし折るんすか…」


「ったりめーじゃん!そのぐらいの事されて当然だろ」


(ホントにやりかねないからな、この人は)


一方、秋田のマーリンズフィールドでは鈴木監督にコメントを求めようと、大勢の記者が待ち構えていた。


グラウンドに姿を現すと、たくさんの報道陣に囲まれた。


「鈴木監督、天海選手の件についてお聞かせ願います!」


「監督!あれは故意だったのですか?」


「翔田は今シーズンほぼ絶望らしいけど、これで優勝争いの1チームが脱落したも同然ですが、これは監督が命令したのですか?」



その質問に対して鈴木監督は

「私にも分からない。何故、あんな事になったのか。
確かにキングダムというチームは、翔田が抜けるとガタッと戦力が落ちる。 
だからといって、故意にぶつけてケガを追わせるなんてバカなマネはしない。
そんな事をしたら、野球じゃなくなってしまう。
私が言えるのはそんな事ぐらいだ」

鈴木監督も何故こうなったのか、サッパリ分からないと言う。


そのキングダムは翔田を欠いたメンバーで戦いを余儀なくされた。


その結果通り、キングダムはマーリンズに3-1で敗れてしまう。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド

まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。 事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。 一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。 その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。 そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。 ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。 そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。 第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。 表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。

処理中です...