Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

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後半戦

左キラー一軍へ

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一方、スカイウォーカーズは愛媛ブラックスとの三連戦を控えて翌日四国へ移動する。


後半戦が始まる前、榊は二人のルーキーを一軍に昇格させた。

一人は去年ドラフト二位で指名した石川雅明。

高校から社会人野球で活躍。

背番号8 右投右打の22才。


187cm83kgという、メジャー並の大型遊撃手として期待が持てる。



俊足を生かした守備範囲は広く肩も強いが、送球に難がある。

石川の持ち味は柔軟で強靭なリストを武器に、打球を遠くへ飛ばす長打力に優れている。

ゆくゆくは右の長距離砲として育てる方針だ。

ショートには筧という名手がレギュラーを確保しているが、榊は石川をショート以外にセカンドやサードの守備固めとして起用しながら様子を見るつもりだ。



もう一人は左のアンダースロー、寶井秀人。


榊が一番期待しているルーキーで、二軍監督の中田が試合で使えそうだと判断し、榊に推薦した。


修得中だったシュートをマスターし、左バッターの内角へドンドン攻める強気のピッチングで、榊は左キラーとして起用する方針だ。


代わりに二軍へ降格したのは、控え野手の永井と中継ぎ投手の髙田。


永井は外野手にコンバートして間もない為、下で守備を経験させる目的で、髙田は練習中に右ふくらはぎの肉離れを起こし、治療の為に登録抹消となった。



一軍に合流した二人は緊張の面持ちで合同練習に参加した。


「スゲーな、あれがプロの守備か…」


筧の軽快な守備を見て感嘆の声を上げる。


寶井は、ブルペンで一軍のピッチャーが投げる球を目の当たりにして驚きの声を上げている。


「球の回転がスゴい!」


果たして一軍でやっていけるだろうか…

不安な気持ちになった。





翌日、スカイウォーカーズは愛媛に向かった。

ブラックスの本拠地グランドアベニューフィールドに着くと、軽めの調整を行った。

「おい、ルーキー。緊張してっか?」

「畑中さん、それじゃ余計に緊張しますよ。初の一軍だからって、失敗を恐れずにガンガンやってくれ」

畑中と結城はルーキー二人に声を掛けた。


「は、はい」


「わかりました…」


とは言え、初の一軍という事で緊張するなと言う方がムリだ。


二軍とは違い、何から何まで違う。

特に環境は二軍とは比べ物にならない程だ。


客席の少ない閑散とした地方球場でプレーするのと、超満員のスタジアムで一流選手に囲まれてプレーをするのでは天と地の差だ。


「おい、左キラー!」


榊が寶井を呼んだ。


「はい」

「キンチョーしてっか、ん?」


「はぁ…」


174cm73kgと小柄で一見するとハーフの様な顔立。

父親が日本人で母親が日本人とロシア人のハーフとの事でクォーターになる。


「明日の試合、状況次第では投げてもらうから、良いピッチングしろよ!」


「はいっ!」


明日出番があるかも…

そう思うと身震いした。




その翌日、ペナントレース後半戦がスタートした。


スカイウォーカーズの先発は現在7勝4敗、防御率3.87の北乃。

対するブラックスは4勝8敗、防御率は5.37の前田。


スタメンでは、スカイウォーカーズがトップのラファエルに代わってライトに来栖が、レフト中山に代わって畑中が出場する。


打順は
1ショート筧
2センター唐澤
3ファースト結城
4セカンド鬼束
5サード毒島
6レフト畑中
7キャッチャー保坂
8ピッチャー北乃
9ライト来栖

ブラックスの打順は


1センター城戸 
2ショート柴崎
3レフト足達
4サード風間
5ファーストウェルズ
6セカンド相川
7キャッチャー谷澤
8ライト高田
9ピッチャー前田


最下位とは言え、攻撃力は12球団でもトップクラスでチーム打率は2割台後半で要注意だ。



一方、秋田ではマーリンズ対キングダムの試合が始まろうとしている。


キングダムの先発はエース翔田。

マーリンズの先発は一軍昇格した天海。


160km対決とあって、マーリンズフィールドは5万人の超満員に膨れ上がった。






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