68 / 125
天海の逆襲
交流戦終了
しおりを挟む ――明弘に抱きしめられ、告白された。もちろん答えは決まっている。私は声が震えないように注意しながら、返事を返した。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
「なんか調子狂うな」
明弘は笑いかけてきた。
「そだね.....わ、私ちょっとトイレに行ってくるね」
そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
そのまま止めていた車に積み込むと、目隠しをし、タイラップで手足を縛った。急いで運転席に乗り込み、車を発進させる。
今回、俺は唯を『九人目』にする事を決めた。理由は特に無いが、透を殺しておいて、唯だけ殺さない訳にはいかないだろう。そして『十人目』は唯の妹を殺すことにした。やはり姉妹は一緒にいないといけない。俺なりの優しさだ。
そして集大成として、『五人目』の為に幼稚園を襲撃する。将来幼稚園の先生になりたかったらしいし、いっぱい子供たちを送ってあげよう。
俺はそこまで考え、首を振った。ダメだ。今は『九人目』の殺害に集中しないと。気合いを入れ直すため、軽く頬を叩いた。そして気絶している唯を見る。
うん。今夜は焼き肉だな。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
「なんか調子狂うな」
明弘は笑いかけてきた。
「そだね.....わ、私ちょっとトイレに行ってくるね」
そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
そのまま止めていた車に積み込むと、目隠しをし、タイラップで手足を縛った。急いで運転席に乗り込み、車を発進させる。
今回、俺は唯を『九人目』にする事を決めた。理由は特に無いが、透を殺しておいて、唯だけ殺さない訳にはいかないだろう。そして『十人目』は唯の妹を殺すことにした。やはり姉妹は一緒にいないといけない。俺なりの優しさだ。
そして集大成として、『五人目』の為に幼稚園を襲撃する。将来幼稚園の先生になりたかったらしいし、いっぱい子供たちを送ってあげよう。
俺はそこまで考え、首を振った。ダメだ。今は『九人目』の殺害に集中しないと。気合いを入れ直すため、軽く頬を叩いた。そして気絶している唯を見る。
うん。今夜は焼き肉だな。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【完結】限界離婚
仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。
「離婚してください」
丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。
丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。
丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。
広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。
出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。
平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。
信じていた家族の形が崩れていく。
倒されたのは誰のせい?
倒れた達磨は再び起き上がる。
丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。
丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。
丸田 京香…66歳。半年前に退職した。
丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。
丸田 鈴奈…33歳。
丸田 勇太…3歳。
丸田 文…82歳。専業主婦。
麗奈…広一が定期的に会っている女。
※7月13日初回完結
※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。
※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。
※7月22日第2章完結。
※カクヨムにも投稿しています。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

【完結済】ラーレの初恋
こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた!
死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし!
けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──?
転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。
他サイトにも掲載しております。

人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる