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天海の逆襲
交流戦最終戦
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ここで松浦コーチについて少し説明しておこう。
松浦は静岡ピストルズの優勝時のメンバーで、外野の一角を担っていた。
センター櫻井、ライトトーマス、レフト松浦の外野は鉄壁の守備を誇った。
現役時代は主に5番を打ち、優勝時には打率276 ホームラン26 打点93の成績でベストナインとゴールデングラブ賞を獲得。
打撃タイトルは入団6年目に打率336で首位打者を獲得。
3割を越えたのはその年だけだが、30本100打点を3度マーク。
ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞4回という、リーグを代表する外野手としてピストルズ一筋でプレイした。
引退後はスカイウォーカーズの二軍打撃コーチに就任。
その後は解説者を経て、今年から一軍の外野守備走塁コーチに就任した。
榊が投げる時はよく打っていたせいか、現役時代から榊に可愛がられていた。
松浦も現役時代と変わらず、榊を恭サマと呼び慕っている。
そんな松浦が一番注目している選手は控えの永井慶彦(ながいよしひこ)
入団3年目21才の若手で元々ショートのポジションだったが、送球に難ありで外野にコンバートされた。
現役時代の松浦と同じ右投左打で、120mの強肩に加え一塁到達まで4.07秒というスピードを誇る身体能力の持ち主。
主に代走としての出場が多いが、守備範囲はやや狭く選球眼もイマイチな為レギュラーを掴むには程遠い。
その永井を何とか一軍に定着させようと松浦はマンツーマンで指導している。
「ヨシヒコ!お前は打球判断が良くないから、守備範囲が狭いんだ。打球が飛んできたら何処に落下するかそれを把握しなきゃならないんだ、分かるな?」
「はい」
「よし、じゃあもう一丁いくぞ!」
「はい!」
ノッカーを務め、フライを打ち上げる。
まだ外野手にコンバートされて日が浅いが、永井は懸命にボールを追いかける。
スカイウォーカーズは札幌ウォーリアーズとの二連戦を連勝した後、沖縄へ舞台を移し琉球マシンガンズとの二連戦で交流戦を終える。
去年まで最下位だったマシンガンズは現在アポロリーグ2位で、インターカンファレンスは4位と健闘している。
那覇市のシーサードームには超満員の観客で埋め尽くされた。
まるでマシンガンズの勢いを象徴するかの様だ。
スターティングラインナップは
スカイウォーカーズ
1ラファエル RF
2唐澤 CF
3結城 1B
4鬼束 2B
5中山 LF
6畑中 DH
7毒島 C
8来栖 3B
9筧 SS
P中邑
マシンガンズ
1照屋 SS
2下平 2B
3比嘉 3B
4ボーン DH
5オニール1B
6吉原 LF
7田野倉 CF
8平良 C
9村上 RF
P 喜屋武
スカイウォーカーズはキャッチャーを保坂から毒島に変えてサードを来栖に。
保坂はベンチスタートとなった。
【1番ライト ラファエル背番号9】
ラファエルがバッティンググローブを直して打席に入る。
マウンド上はアンダースローの喜屋武。
今シーズンは5勝3敗 防御率は3.76
昨年はマシンガンズの唯一の二桁勝利を挙げてエース的な存在だったが、今年は先発ローテーションの三番手という立場。
「プレイボール!」
午後6時、主審の手が上がり試合開始。
今どきの選手にしては珍しくワインドアップから第一球を投げた。
ズバーン、とインコース高目にストレートが決まる。
「ストライク!」
アンダースロー独特の下から浮き上がるストレートで先ずはワンストライク。
134kmと決して速くないが、地面スレスレからホップするような球の軌道は打ちづらい。
メジャーにはアンダースローのピッチャーがいないので、ラファエルにとっては初めての経験だ。
「It's hard to hit because the ball is coming up.(浮球が浮き上がってくるようで打ちにくいな)」
打席を外し、素振りをしてから再びバットを構えた。
喜屋武がサインに頷き二球目を投げた。
一旦浮き上がり、インコースへググッと曲がった。
「ボール!」
スライダーが僅かに外れた。
早いテンポで三球目を投げた。
真ん中やや低目の緩い球。
ラファエルはこれにバットを合わせた。
「…!」
しかし、ボールはおじぎする様に沈んで曲がった。
打球はショート真正面のゴロ。
照屋が一塁へ送球。
「アウト!」
喜屋武得意のシンカーでラファエルを打ち取った。
松浦は静岡ピストルズの優勝時のメンバーで、外野の一角を担っていた。
センター櫻井、ライトトーマス、レフト松浦の外野は鉄壁の守備を誇った。
現役時代は主に5番を打ち、優勝時には打率276 ホームラン26 打点93の成績でベストナインとゴールデングラブ賞を獲得。
打撃タイトルは入団6年目に打率336で首位打者を獲得。
3割を越えたのはその年だけだが、30本100打点を3度マーク。
ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞4回という、リーグを代表する外野手としてピストルズ一筋でプレイした。
引退後はスカイウォーカーズの二軍打撃コーチに就任。
その後は解説者を経て、今年から一軍の外野守備走塁コーチに就任した。
榊が投げる時はよく打っていたせいか、現役時代から榊に可愛がられていた。
松浦も現役時代と変わらず、榊を恭サマと呼び慕っている。
そんな松浦が一番注目している選手は控えの永井慶彦(ながいよしひこ)
入団3年目21才の若手で元々ショートのポジションだったが、送球に難ありで外野にコンバートされた。
現役時代の松浦と同じ右投左打で、120mの強肩に加え一塁到達まで4.07秒というスピードを誇る身体能力の持ち主。
主に代走としての出場が多いが、守備範囲はやや狭く選球眼もイマイチな為レギュラーを掴むには程遠い。
その永井を何とか一軍に定着させようと松浦はマンツーマンで指導している。
「ヨシヒコ!お前は打球判断が良くないから、守備範囲が狭いんだ。打球が飛んできたら何処に落下するかそれを把握しなきゃならないんだ、分かるな?」
「はい」
「よし、じゃあもう一丁いくぞ!」
「はい!」
ノッカーを務め、フライを打ち上げる。
まだ外野手にコンバートされて日が浅いが、永井は懸命にボールを追いかける。
スカイウォーカーズは札幌ウォーリアーズとの二連戦を連勝した後、沖縄へ舞台を移し琉球マシンガンズとの二連戦で交流戦を終える。
去年まで最下位だったマシンガンズは現在アポロリーグ2位で、インターカンファレンスは4位と健闘している。
那覇市のシーサードームには超満員の観客で埋め尽くされた。
まるでマシンガンズの勢いを象徴するかの様だ。
スターティングラインナップは
スカイウォーカーズ
1ラファエル RF
2唐澤 CF
3結城 1B
4鬼束 2B
5中山 LF
6畑中 DH
7毒島 C
8来栖 3B
9筧 SS
P中邑
マシンガンズ
1照屋 SS
2下平 2B
3比嘉 3B
4ボーン DH
5オニール1B
6吉原 LF
7田野倉 CF
8平良 C
9村上 RF
P 喜屋武
スカイウォーカーズはキャッチャーを保坂から毒島に変えてサードを来栖に。
保坂はベンチスタートとなった。
【1番ライト ラファエル背番号9】
ラファエルがバッティンググローブを直して打席に入る。
マウンド上はアンダースローの喜屋武。
今シーズンは5勝3敗 防御率は3.76
昨年はマシンガンズの唯一の二桁勝利を挙げてエース的な存在だったが、今年は先発ローテーションの三番手という立場。
「プレイボール!」
午後6時、主審の手が上がり試合開始。
今どきの選手にしては珍しくワインドアップから第一球を投げた。
ズバーン、とインコース高目にストレートが決まる。
「ストライク!」
アンダースロー独特の下から浮き上がるストレートで先ずはワンストライク。
134kmと決して速くないが、地面スレスレからホップするような球の軌道は打ちづらい。
メジャーにはアンダースローのピッチャーがいないので、ラファエルにとっては初めての経験だ。
「It's hard to hit because the ball is coming up.(浮球が浮き上がってくるようで打ちにくいな)」
打席を外し、素振りをしてから再びバットを構えた。
喜屋武がサインに頷き二球目を投げた。
一旦浮き上がり、インコースへググッと曲がった。
「ボール!」
スライダーが僅かに外れた。
早いテンポで三球目を投げた。
真ん中やや低目の緩い球。
ラファエルはこれにバットを合わせた。
「…!」
しかし、ボールはおじぎする様に沈んで曲がった。
打球はショート真正面のゴロ。
照屋が一塁へ送球。
「アウト!」
喜屋武得意のシンカーでラファエルを打ち取った。
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