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天海の逆襲
まさかのマーリンズ入団
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「キミは…何故、そうやって口汚く罵るんだ?」
結城が問い掛ける。
「チサトさん!ここでキレたらヤバいっすよ」
中山が仲裁に入った。
中山に続けと他の選手達も後を追う。
「大丈夫だカズト。こんな事でいちいち怒っても仕方ないだろう」
結城の表情は穏やかなままだ。
「チサトさん、こんなヤツの言う事なんか真に受けなくていいすよ!」
「大丈夫だって、カズト。ここはボクに任せてくれ」
中山を手で制すとバックネット裏の天海と向き合った。
「天海くん、彼に謝るんだ」
本塁上でエキサイトしている那須川を指した。
那須川は何やら大声で喚いている。
それを坂本が必死で抑える。
「アホか!何で謝らなあかんのや?オレは客やで。それとも何か、他の客はヤジ飛ばしてもオレだけヤジ飛ばしたらアカンのか?」
不敵な笑みを浮かべている。
「キミの言う事も一理ある。だが、言っていいことと悪いことがある。そんな事も分からないのか、キミは」
諭すような口調で話すが、天海は前の席にドカッと足を乗せてふんぞり返っている。
「コノヤロー、ふざけた態度しやがって!」
「鬼束くん、ここはボクに任せてもらえないか」
やんわりと鬼束を制す。
「しかし、あんな態度を取られたら…」
「いいから…ボクなら大丈夫」
「ギャハハハハハ!オマエらコントか!ホンマに笑かしてくれるわ」
小馬鹿にした態度を取っている。
「フッ、そうだね…ホントにおかしいよね」
「そやろ?その調子でもっと笑かしてくれや」
すると、結城はハハハハと笑った。
「何や、そんなにおかしいのか自分のやった事が」
「いや、そうではなく…天海くん、キミはもしかしたら構ってちゃんなのかな?だから、こうやって我々に対してそんな事を言うんじゃないのかな?」
「な…何やて!」
「構ってちゃんだって…」
「ククク、構ってちゃん…」
「プッ…ワハハハハ!」
ナインが一斉に笑いだした。
「や、やかましいわっ!誰が構ってちゃんや!」
天海の顔が紅潮する。
「天海くん、ホントは野球やりたいんだろ?だったら、そんな所でふんぞり返ってないで、今すぐコミッショナーに頭を下げればいいじゃないか」
「ハッ、オレが頭を下げる?アホか、そないな事せんでも、次の就職先は決まっとるんじゃ」
「就職先って、お前みたいなヤツが社会人としてやっていけるワケが無いだろ」
「野球の次は何やるんだ、どうせすぐにクビになるだろ」
「今度はマジメに働けよな!まぁ、ムリだろうけど」
【ダーッハハハハハハ!】
天海をおちょくる。
「アホか!今度の就職先はここじゃ!」
スカイウォーカーズのキャップを取ると後ろにポーンと放り投げ、新たなキャップを被った。
「そのキャップはマーリンズじゃないか!」
「お前、マーリンズと契約したのかよ?」
「ウソだろ!」
次々と驚きの声を上げる。
「まぁ、正式な発表は明日にでも出ると思うが、そんなワケで交流会明けからイジメてやるから覚悟せぃ!」
天海は東北マーリンズと契約を結んだ。
どうやら水面下で交渉を続けていたらしい。
「何だぁ、今度はマーリンズかよ?またクビになるんじゃねぇのか」
「よく入団出来ましたね」
ベンチ前で榊と櫻井は一部始終を見ていた。
「そうか、今度はマーリンズに入るのか。ならば、こんな所で試合を観てないで、少しは練習したらどうなんだい?」
「練習ぅ?アホか!オレみたいな天才は、オマエらと違って練習しなくてもいいんじゃ!」
「おい、天海!今度こそ打たれたら土下座しろよ!」
「そうだ、この土下座サギが!」
「やかましいわ、ボケ!オレが復帰するまでせいぜい野球ごっこしてろや!」
捨て台詞を残し、天海は席を立った。
「フフフ、交流会明けが楽しみだ」
結城はバッターボックスへ戻った。
「さぁ、皆!試合を再開しよう!」
結城の声でナインはベンチへ戻った。
交流会明けは東北マーリンズとの三連戦がスタートする。
そこで天海は登板するだろう。
結城が問い掛ける。
「チサトさん!ここでキレたらヤバいっすよ」
中山が仲裁に入った。
中山に続けと他の選手達も後を追う。
「大丈夫だカズト。こんな事でいちいち怒っても仕方ないだろう」
結城の表情は穏やかなままだ。
「チサトさん、こんなヤツの言う事なんか真に受けなくていいすよ!」
「大丈夫だって、カズト。ここはボクに任せてくれ」
中山を手で制すとバックネット裏の天海と向き合った。
「天海くん、彼に謝るんだ」
本塁上でエキサイトしている那須川を指した。
那須川は何やら大声で喚いている。
それを坂本が必死で抑える。
「アホか!何で謝らなあかんのや?オレは客やで。それとも何か、他の客はヤジ飛ばしてもオレだけヤジ飛ばしたらアカンのか?」
不敵な笑みを浮かべている。
「キミの言う事も一理ある。だが、言っていいことと悪いことがある。そんな事も分からないのか、キミは」
諭すような口調で話すが、天海は前の席にドカッと足を乗せてふんぞり返っている。
「コノヤロー、ふざけた態度しやがって!」
「鬼束くん、ここはボクに任せてもらえないか」
やんわりと鬼束を制す。
「しかし、あんな態度を取られたら…」
「いいから…ボクなら大丈夫」
「ギャハハハハハ!オマエらコントか!ホンマに笑かしてくれるわ」
小馬鹿にした態度を取っている。
「フッ、そうだね…ホントにおかしいよね」
「そやろ?その調子でもっと笑かしてくれや」
すると、結城はハハハハと笑った。
「何や、そんなにおかしいのか自分のやった事が」
「いや、そうではなく…天海くん、キミはもしかしたら構ってちゃんなのかな?だから、こうやって我々に対してそんな事を言うんじゃないのかな?」
「な…何やて!」
「構ってちゃんだって…」
「ククク、構ってちゃん…」
「プッ…ワハハハハ!」
ナインが一斉に笑いだした。
「や、やかましいわっ!誰が構ってちゃんや!」
天海の顔が紅潮する。
「天海くん、ホントは野球やりたいんだろ?だったら、そんな所でふんぞり返ってないで、今すぐコミッショナーに頭を下げればいいじゃないか」
「ハッ、オレが頭を下げる?アホか、そないな事せんでも、次の就職先は決まっとるんじゃ」
「就職先って、お前みたいなヤツが社会人としてやっていけるワケが無いだろ」
「野球の次は何やるんだ、どうせすぐにクビになるだろ」
「今度はマジメに働けよな!まぁ、ムリだろうけど」
【ダーッハハハハハハ!】
天海をおちょくる。
「アホか!今度の就職先はここじゃ!」
スカイウォーカーズのキャップを取ると後ろにポーンと放り投げ、新たなキャップを被った。
「そのキャップはマーリンズじゃないか!」
「お前、マーリンズと契約したのかよ?」
「ウソだろ!」
次々と驚きの声を上げる。
「まぁ、正式な発表は明日にでも出ると思うが、そんなワケで交流会明けからイジメてやるから覚悟せぃ!」
天海は東北マーリンズと契約を結んだ。
どうやら水面下で交渉を続けていたらしい。
「何だぁ、今度はマーリンズかよ?またクビになるんじゃねぇのか」
「よく入団出来ましたね」
ベンチ前で榊と櫻井は一部始終を見ていた。
「そうか、今度はマーリンズに入るのか。ならば、こんな所で試合を観てないで、少しは練習したらどうなんだい?」
「練習ぅ?アホか!オレみたいな天才は、オマエらと違って練習しなくてもいいんじゃ!」
「おい、天海!今度こそ打たれたら土下座しろよ!」
「そうだ、この土下座サギが!」
「やかましいわ、ボケ!オレが復帰するまでせいぜい野球ごっこしてろや!」
捨て台詞を残し、天海は席を立った。
「フフフ、交流会明けが楽しみだ」
結城はバッターボックスへ戻った。
「さぁ、皆!試合を再開しよう!」
結城の声でナインはベンチへ戻った。
交流会明けは東北マーリンズとの三連戦がスタートする。
そこで天海は登板するだろう。
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