Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

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天海の逆襲

まさかのマーリンズ入団

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「キミは…何故、そうやって口汚く罵るんだ?」


結城が問い掛ける。


「チサトさん!ここでキレたらヤバいっすよ」


中山が仲裁に入った。


中山に続けと他の選手達も後を追う。


「大丈夫だカズト。こんな事でいちいち怒っても仕方ないだろう」


結城の表情は穏やかなままだ。


「チサトさん、こんなヤツの言う事なんか真に受けなくていいすよ!」


「大丈夫だって、カズト。ここはボクに任せてくれ」


中山を手で制すとバックネット裏の天海と向き合った。


「天海くん、彼に謝るんだ」


本塁上でエキサイトしている那須川を指した。


那須川は何やら大声で喚いている。


それを坂本が必死で抑える。


「アホか!何で謝らなあかんのや?オレは客やで。それとも何か、他の客はヤジ飛ばしてもオレだけヤジ飛ばしたらアカンのか?」


不敵な笑みを浮かべている。


「キミの言う事も一理ある。だが、言っていいことと悪いことがある。そんな事も分からないのか、キミは」


諭すような口調で話すが、天海は前の席にドカッと足を乗せてふんぞり返っている。


「コノヤロー、ふざけた態度しやがって!」


「鬼束くん、ここはボクに任せてもらえないか」


やんわりと鬼束を制す。


「しかし、あんな態度を取られたら…」


「いいから…ボクなら大丈夫」



「ギャハハハハハ!オマエらコントか!ホンマに笑かしてくれるわ」


小馬鹿にした態度を取っている。


「フッ、そうだね…ホントにおかしいよね」


「そやろ?その調子でもっと笑かしてくれや」


すると、結城はハハハハと笑った。


「何や、そんなにおかしいのか自分のやった事が」


「いや、そうではなく…天海くん、キミはもしかしたら構ってちゃんなのかな?だから、こうやって我々に対してそんな事を言うんじゃないのかな?」


「な…何やて!」


「構ってちゃんだって…」


「ククク、構ってちゃん…」


「プッ…ワハハハハ!」


ナインが一斉に笑いだした。


「や、やかましいわっ!誰が構ってちゃんや!」

天海の顔が紅潮する。


「天海くん、ホントは野球やりたいんだろ?だったら、そんな所でふんぞり返ってないで、今すぐコミッショナーに頭を下げればいいじゃないか」


「ハッ、オレが頭を下げる?アホか、そないな事せんでも、次の就職先は決まっとるんじゃ」


「就職先って、お前みたいなヤツが社会人としてやっていけるワケが無いだろ」


「野球の次は何やるんだ、どうせすぐにクビになるだろ」


「今度はマジメに働けよな!まぁ、ムリだろうけど」


【ダーッハハハハハハ!】


天海をおちょくる。



「アホか!今度の就職先はここじゃ!」


スカイウォーカーズのキャップを取ると後ろにポーンと放り投げ、新たなキャップを被った。


「そのキャップはマーリンズじゃないか!」


「お前、マーリンズと契約したのかよ?」


「ウソだろ!」


次々と驚きの声を上げる。


「まぁ、正式な発表は明日にでも出ると思うが、そんなワケで交流会明けからイジメてやるから覚悟せぃ!」


天海は東北マーリンズと契約を結んだ。

どうやら水面下で交渉を続けていたらしい。




「何だぁ、今度はマーリンズかよ?またクビになるんじゃねぇのか」


「よく入団出来ましたね」


ベンチ前で榊と櫻井は一部始終を見ていた。



「そうか、今度はマーリンズに入るのか。ならば、こんな所で試合を観てないで、少しは練習したらどうなんだい?」


「練習ぅ?アホか!オレみたいな天才は、オマエらと違って練習しなくてもいいんじゃ!」


「おい、天海!今度こそ打たれたら土下座しろよ!」


「そうだ、この土下座サギが!」



「やかましいわ、ボケ!オレが復帰するまでせいぜい野球ごっこしてろや!」


捨て台詞を残し、天海は席を立った。


「フフフ、交流会明けが楽しみだ」

結城はバッターボックスへ戻った。


「さぁ、皆!試合を再開しよう!」


結城の声でナインはベンチへ戻った。


交流会明けは東北マーリンズとの三連戦がスタートする。

そこで天海は登板するだろう。

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