Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

sky-high

文字の大きさ
上 下
50 / 125
新戦力

スプリンターの如く

しおりを挟む
「あの当たりをスリーベースヒットにしてしまうって…」


「どんなに脚の速い選手だって、せいぜいツーベース止まりだろ…それをスリーベースヒットにするなんて」

ベンチではラファエルの走塁を見て感嘆の声上げている。


「何だ、あの速さは…」

チーム1俊足の中山ですら、驚きの声を上げる。


ライトフェンス直撃の当たりを三塁打にしてしまう程の脚力。


ノーアウトランナー三塁という、絶好のチャンス。

打順はトップに返って筧。


「監督…筧くんも脚が速いですが、ラファエルの速さは次元が違いすぎます。
おまけに選球眼も優秀です。ラファエルをトップに置きましょう」


「ちょっと待てよ、ヒロト!まだ1打席しか見てないだろ?それなのに、1番に置くって…もう少し様子を見てみようぜ」



「監督は優勝したくないんですか?ラファエルは下位なんかじゃ勿体無い、トップバッターにするべきです」


櫻井は譲らない。


「だって、お前が筧の方がトップバッターに向いてるって言うから、ワタルを9番にしてトップに変えたじゃん!それなのに、ラファエルが来たからまた9番に戻すっていうのかよ?」


「ボクはチームの事を最優先に考えます。確かに筧くんはトップバッター向きだと言いましたが、筧くん以上のトップバッターがチームに加入したんです。
ラファエルがトップバッターになるのは当然じゃないですか」


「でも、まだ1打席しか見てないのに決めるのが早過ぎないか?」


櫻井がそこまでこだわるのは、何かあるはずだ。


「1打席見れば十分です。あのスイングといい、走塁といい、トップバッターに相応しい逸材です。
監督。優勝する為には、時として非情にならないといけないんです」


真剣な顔で言われると、榊も首を縦に振るしかない。


「じゃあ、お試し期間という事でアイツをトップバッターにするけど、もし結果が出なければ筧をトップに戻すぞ」


「ええ、それは勿論」


櫻井は笑みを浮かべた。




マウンドではヤンキース内野陣が集まる。


「ノーアウト三塁…ここで点を取られたら3点差になってしまう」


「歩かすのかよ?」


「まだ3回だろ。逆転する可能性だってあるだろ」


外崎は冷静に分析する。


「今のチーム状態で逆転なんて出来るか?最善策をとるしかない」


「じゃあ、お前は勝負を避けるというのかよ」


外崎は首を振った。


「筧を歩かせたら、次は唐澤だぞ。勝負するなら、筧と勝負だ」



「外崎、お前の言う通りにするけど、勝算はあるのか?」


ファーストの上田が問い掛ける。


「あくまでも確率の問題だが、唐澤よりも筧の方がアウトを取りやすい。筧を打ち取ったら、唐澤は歩かす。いいな?」


「そこまでお前が言うなら、オレたちはそれに従うしかない」


「よし、先ずはアウト一つを取ろう」


サード若菜の声で内野陣が守備についた。



筧はバットを短く持ち、ややオープンスタンス気味に構える。


(この構えだとインコース狙い…しかも、筧は初球を見送る)


外崎は筧のフォームを観察してサインを出した。


工藤が初球を投げた。


アウトコースボール一個分外れたストレート。


(これは手を出さないだろう…)


だが、筧は右足の位置をベース寄りに変えてバットを出した。



「ウソだろ、あの球を打つのかよ!」


逆らわず左におっつけたスイングで打球はレフトへ。


レフト二宮が定位置よりやや前進の位置で捕球の体勢をしている。


「よし、打ち取った」


三塁ランナーのラファエルは前傾姿勢だ。


「あの当たりでタッチアップなんて有り得ない」


先ずはワンナウト。外崎は打ち取ったと確信する。



しかし、ラファエルは二宮が捕球したと同時に、スタートを切った。


「バカな!」


物凄いスピードで本塁へ駆け抜ける。


「ウソだろっ!」


二宮が慌ててバックホーム。


送球はダイレクトに外崎の構えるミットへ。


ラファエルが低空のヘッドスライディング、外崎は素早く回り込んでタッチした。


「セーフ!」


ラファエルが僅かに早くベースをタッチした。


「スゲーっ!あのフライでタッチアップするとは」


滅多な事では驚かないクールな唐澤ですら、驚きの声を上げた。



「監督…どうです、ラファエルは?」


「アイツの身体には加速装置でも装備されてるのか?」


開いた口が塞がらない。


新外国人ラファエルの驚異的なタッチアップでスカイウォーカーズが3点目をもぎ取った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

人生の全てを捨てた王太子妃

八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。 傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。 だけど本当は・・・ 受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。 ※※※幸せな話とは言い難いです※※※ タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。 ※本編六話+番外編六話の全十二話。 ※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

【完結済】ラーレの初恋

こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた! 死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし! けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──? 転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。 他サイトにも掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

処理中です...