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何がなんでも優勝
屁理屈野郎
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「来栖悠介 プロ三年目。社会人野球からドラフト三位で入団。
右投げ左打ちで、背番号55おぉー、何かすごそうなヤツじゃん!」
「経歴は立派なんですけどね」
「何々…非常に頑固で試合に出場するにも、確固たる理由が無いと試合に出ないと主張する、自分勝手な性格。
打力や守備、走塁に関しては一軍クラスだが、協調性ゼロ…か。試合出るのに、キチンと理由を話せばいいって事なのか」
何だか、物凄い面倒臭いタイプだ。
「二軍の首脳陣も手を焼いてるみたいですよ」
「ふーん…後で中ちゃんに連絡して直接聞いてみるかな」
「中田監督も相当困ってるみたいですから」
「なる程ねぇ…」
その夜、榊は二軍監督の中田に電話を入れた。
「もしもし、中ちゃん?オレオレ、どうそっちは?」
【は?どちらさん?】
「オレだよ、オレ!分かんねぇのかよ!」
【オレと言われても…どちらさんです?】
「何ふざけてんだよ!オレだってば!」
榊はスマホを忘れ、球団スタッフのスマホを借りて電話していた。
【誰なんだ、一体!ふざけてんのか、全く!】
そう言うと、電話を切ってしまった。
「何だ、あのヤロー!いつもならフツーに出てくるのに、ったく…あ!そうだった、このスマホ球団スタッフのやつだった」
ホントに大丈夫なんだろうか…
再度電話をかけた。
【はい】
「悪い、悪い!中ちゃん、オレだよ榊!」
【何だ、お前かよ!知らない番号だったから、誰かと思ったじゃないか!】
「いやー、スマホ忘れちゃってさぁ!そうそう、中ちゃんに聞きたい事があって電話したんだよ」
【何だ、聞きたい事って?】
「下にさぁ、来栖とか言うヤツいるじゃん?」
【…アイツかよ】
「ん、どうした?」
声のトーンが下がった。
【冗談じゃねえよ、あのヤローは!試合に出るって言うのに「何で、自分を使うんですか?その理由を明確に教えてください」とか言うんだぜ!】
「ならば、こういう理由でお前を使うんだって言えばいいじゃん」
【それならコッチだって苦労しないよ】
一癖も二癖もありそうな選手らしい。
「じゃあ、何だって言うんだよ?」
【この試合、お前は外野で使う。だからスタメンで起用するんだって言ったら、何て言ってたと思う?】
「さぁ…」
【「もっと具体的に言ってください!そんな曖昧な理由じゃ試合に出たくありません!」だとよ!ホントに、ぶっ飛ばしてやろうかと思ったよ】
「ぶっ飛ばしちゃえよ、そんな生意気なヤツ!」
【今そんな事したら大問題だよ!】
「しかしまぁ、屁理屈というかなんと言うか…」
相当な捻くれ者らしい。
【もう、ホント嫌になるよ】
「で、肝心の実力はどうなの?」
【あぁ、それは間違いなくレギュラークラスの実力だよ。それさえ無ければ、どこのチームに行っても即レギュラーになれるよ】
実力は一軍クラスだが、問題はそのひねくれた性格だ。
「中ちゃんさぁ、ソイツ一軍に上げたいんだよね」
【はぁ?何言ってんだ、お前!あんな屁理屈ヤローを一軍に上げたってロクなこと無いぞ!】
「んー、そうなんだけどさぁ…実力はレギュラークラスならば、一軍で使ってみようかと思ってるんだよね」
大丈夫なのだろうか。
【知らねぇぞ、オレは。後になって、後悔するなよ】
「大丈夫、大丈夫。イザとなったら、パワーボムかますから」
【だから、そういうのがダメなんだっつーの!】
心配だ…
かくして、来栖は一軍に昇格する事となった。
早速、ドルフィンズとの一戦からベンチ入りした。
「はぁ…これが一軍の雰囲気か…なる程ね」
「お、もしかして今日一軍に上がってきたヤツか?」
畑中が話しかけてきた。
「はぁ、来栖です」
帽子を取って頭を下げた。
「おぅ、こちらこそヨロシク!まぁ、気楽にやってくれよ」
「気楽ですか…」
「そうそう!肩の力を抜いて楽にしてくれたまえ!初っ端から、そんなガチガチだといいプレイが出来ないぞ」
「いや、これはいつも通りでそんなに固くはなってないですけど」
「おお、そうか!とにかく、キミはスカイウォーカーズのスーパーサブとして一軍にいるんだから、期待してるよっ!」
すると、来栖の表情が一変した。
「スーパーサブって、なんですか?」
「ん?何って、今言った通りの事だが」
「そうじゃなくて、何でスーパーサブなんですか?」
「あぁ、ほらウチは層が厚いだろ?レギュラーを獲るのは、今のところ難しいかもしれないが、イザという時、守備固めや代走で出るって事だ」
「そうじゃなくて、もっと明確な理由を聞きたいんです」
「め、明確な理由?」
何だか面倒くさそうなヤツだ。
「そうです!人を動かすには、それなりの理由がある筈です!もっと、自分に理解出来るような明確な理由を言ってもらわないと、納得出来ません!」
「はぁ?何言ってんだ、お前?」
「自分は正論を言ってるだけです!いいですか、指示するからには、キチンと理路整然とした説明が必要なんです!」
「お前…相当、面倒臭いヤツだな」
「ほら!すぐそうやって、面倒臭いの一言で片付ける!自分は正当な主張をしているだけです!それなのに、二言目には面倒臭い!自分は理由を聞きたいだけです!」
こりゃまた、かなり面倒臭いキャラだ。
右投げ左打ちで、背番号55おぉー、何かすごそうなヤツじゃん!」
「経歴は立派なんですけどね」
「何々…非常に頑固で試合に出場するにも、確固たる理由が無いと試合に出ないと主張する、自分勝手な性格。
打力や守備、走塁に関しては一軍クラスだが、協調性ゼロ…か。試合出るのに、キチンと理由を話せばいいって事なのか」
何だか、物凄い面倒臭いタイプだ。
「二軍の首脳陣も手を焼いてるみたいですよ」
「ふーん…後で中ちゃんに連絡して直接聞いてみるかな」
「中田監督も相当困ってるみたいですから」
「なる程ねぇ…」
その夜、榊は二軍監督の中田に電話を入れた。
「もしもし、中ちゃん?オレオレ、どうそっちは?」
【は?どちらさん?】
「オレだよ、オレ!分かんねぇのかよ!」
【オレと言われても…どちらさんです?】
「何ふざけてんだよ!オレだってば!」
榊はスマホを忘れ、球団スタッフのスマホを借りて電話していた。
【誰なんだ、一体!ふざけてんのか、全く!】
そう言うと、電話を切ってしまった。
「何だ、あのヤロー!いつもならフツーに出てくるのに、ったく…あ!そうだった、このスマホ球団スタッフのやつだった」
ホントに大丈夫なんだろうか…
再度電話をかけた。
【はい】
「悪い、悪い!中ちゃん、オレだよ榊!」
【何だ、お前かよ!知らない番号だったから、誰かと思ったじゃないか!】
「いやー、スマホ忘れちゃってさぁ!そうそう、中ちゃんに聞きたい事があって電話したんだよ」
【何だ、聞きたい事って?】
「下にさぁ、来栖とか言うヤツいるじゃん?」
【…アイツかよ】
「ん、どうした?」
声のトーンが下がった。
【冗談じゃねえよ、あのヤローは!試合に出るって言うのに「何で、自分を使うんですか?その理由を明確に教えてください」とか言うんだぜ!】
「ならば、こういう理由でお前を使うんだって言えばいいじゃん」
【それならコッチだって苦労しないよ】
一癖も二癖もありそうな選手らしい。
「じゃあ、何だって言うんだよ?」
【この試合、お前は外野で使う。だからスタメンで起用するんだって言ったら、何て言ってたと思う?】
「さぁ…」
【「もっと具体的に言ってください!そんな曖昧な理由じゃ試合に出たくありません!」だとよ!ホントに、ぶっ飛ばしてやろうかと思ったよ】
「ぶっ飛ばしちゃえよ、そんな生意気なヤツ!」
【今そんな事したら大問題だよ!】
「しかしまぁ、屁理屈というかなんと言うか…」
相当な捻くれ者らしい。
【もう、ホント嫌になるよ】
「で、肝心の実力はどうなの?」
【あぁ、それは間違いなくレギュラークラスの実力だよ。それさえ無ければ、どこのチームに行っても即レギュラーになれるよ】
実力は一軍クラスだが、問題はそのひねくれた性格だ。
「中ちゃんさぁ、ソイツ一軍に上げたいんだよね」
【はぁ?何言ってんだ、お前!あんな屁理屈ヤローを一軍に上げたってロクなこと無いぞ!】
「んー、そうなんだけどさぁ…実力はレギュラークラスならば、一軍で使ってみようかと思ってるんだよね」
大丈夫なのだろうか。
【知らねぇぞ、オレは。後になって、後悔するなよ】
「大丈夫、大丈夫。イザとなったら、パワーボムかますから」
【だから、そういうのがダメなんだっつーの!】
心配だ…
かくして、来栖は一軍に昇格する事となった。
早速、ドルフィンズとの一戦からベンチ入りした。
「はぁ…これが一軍の雰囲気か…なる程ね」
「お、もしかして今日一軍に上がってきたヤツか?」
畑中が話しかけてきた。
「はぁ、来栖です」
帽子を取って頭を下げた。
「おぅ、こちらこそヨロシク!まぁ、気楽にやってくれよ」
「気楽ですか…」
「そうそう!肩の力を抜いて楽にしてくれたまえ!初っ端から、そんなガチガチだといいプレイが出来ないぞ」
「いや、これはいつも通りでそんなに固くはなってないですけど」
「おお、そうか!とにかく、キミはスカイウォーカーズのスーパーサブとして一軍にいるんだから、期待してるよっ!」
すると、来栖の表情が一変した。
「スーパーサブって、なんですか?」
「ん?何って、今言った通りの事だが」
「そうじゃなくて、何でスーパーサブなんですか?」
「あぁ、ほらウチは層が厚いだろ?レギュラーを獲るのは、今のところ難しいかもしれないが、イザという時、守備固めや代走で出るって事だ」
「そうじゃなくて、もっと明確な理由を聞きたいんです」
「め、明確な理由?」
何だか面倒くさそうなヤツだ。
「そうです!人を動かすには、それなりの理由がある筈です!もっと、自分に理解出来るような明確な理由を言ってもらわないと、納得出来ません!」
「はぁ?何言ってんだ、お前?」
「自分は正論を言ってるだけです!いいですか、指示するからには、キチンと理路整然とした説明が必要なんです!」
「お前…相当、面倒臭いヤツだな」
「ほら!すぐそうやって、面倒臭いの一言で片付ける!自分は正当な主張をしているだけです!それなのに、二言目には面倒臭い!自分は理由を聞きたいだけです!」
こりゃまた、かなり面倒臭いキャラだ。
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