Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

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中盤

完勝

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 萩原は畑中にホームランを打たれたが、8番保坂をショートゴロに打ち取り2回の表は1点に抑えた。


2回の裏、ニックスの攻撃は4番指名打者のマドロックから。


昨年途中まで鬼束と3番4番のコンビでホームランを量産した左の長距離砲。

来日5年目で毎年の様に30本100打点をマークする。


今年も既に18本のホームランを打っているので要注意だ。


そのマドロックの前に立ちはだかるのはスカイウォーカーズの先発真咲。


打のエックスファクターが畑中なら、投のエックスファクターはこの真咲だ。


何せ、予測不可能なピッチングでバッターを牛耳る。


未知の部分がまだまだありそうだ。


その初球はドロンとした91kmのスローカーブ。


タイミングが合わず、マドロックのバットが空を切る。


「ストライク!」



「フフフっ、こんな緩い球は滅多にお目にかかれないだろ」


マドロックは苛立つ。


続いて二球目を投げた。


「…っ!」


今度は一転してストレート。


ズバーンとアウトコースに決まり、早くもツーストライク。


緩急のピッチングにマドロックは翻弄される。


追い込んだ真咲。


ゆったりとしたモーションから三球目を投げた。


今度はインコースやや低目へ。


マドロックがバットを出すが、ボールはその下を通過。


「ストライクアウト!」


落差のあるフォークでまたもや三球三振。



「shit!(クソっ!)」


マドロックは膝でバットを真っ二つに折った。


真咲の奪三振ショーは更に続く。



5番のレフト佐々木をツーナッシングからの五球目をスローカーブで三振。


6番のセンターフォスターを110km台の鋭いカーブで見逃し三振に抑えた。


これで初回から六連続三振に打ち取る。


3回の表、スカイウォーカーズの攻撃は9番の梁屋から。


フルカウントまで粘り、六球目のフォークをよく見てフォアボールで出塁。


続く1番筧の二球目に梁屋は走った。


キャッチャーが二塁に送球するが、梁屋のスライディングが一歩早くセーフ。


ノーアウト、ランナー二塁の場面で筧は四球目のスライダーを打った。


これがセンター前に弾き返し、二塁ランナーの梁屋は一気にホームへ。


スカイウォーカーズが更に1点を追加。


尚もノーアウト、ランナー一塁の場面で2番唐澤。


唐澤は初球のストレートをタイミングドンピシャでバットを出した。


打球はライトへ一直線。


弾丸ライナーでライトスタンド最前列に飛び込む、第13号ツーランで更に2点追加。


ここで萩原はノックアウト。


2番手に左の中継ぎ小池がマウンドに上がった。


小池は初球、二球目をカーブでカウントを取り、三球目はスライダーで勝負したが、結城はバットを一閃。


打球は左中間を深々と破るツーベースヒットで、更にチャンスは続く。


そして主砲鬼束の登場。


場内は物凄いブーイングに包まれる。


ここでニックスは左の小池から右の小林に交代。


小林は鋭いスライダーとシンカーでツーストライクまで追い込むが、鬼束も粘る。


フルカウントからの七球目、甘口入ったシンカーを捕え、打球はレフトスタンドに入った。


鬼束の18号スリーランでこの回6点を奪い、勝負あり。


投げては真咲が3安打無四球13奪三振という、素晴らしいピッチングでスカイウォーカーズが8-0で勝利。


真咲は5勝目をマークし、防御率を2.76とした。





その頃、東京キングダムを解雇された天海昴はニックスフィールドの一塁側スタンドで試合を観戦していた。


「あれ?まさか、天海じゃないか?」


観客の一人が気づいた。


「あ、ホントだ!天海だ!」

「何でこんな所にいるんだ?」


「まさか、ニックスに入るんじゃ?」


「それは無いだろ!あんな問題児入れたって、どうせチームの和を乱すし、また追放されるだろ」



天海はその声に反応せず、ただグランドを眺めていた。



「スカイウォーカーズ…オレが今投げるとしたら、ここかもう一つしかない…か」


意味深な言葉を残し、天海は球場を後にした。





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