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中盤
古巣対決
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スカイウォーカーズはホームでの連戦の後、信州へ移動した。
今日から長野ニックスとの連戦をスタートさせる。
本拠地ニックスフィールドは5万人の大観衆で、異様な雰囲気に包まれた。
それもそのはず、鬼束がスカイウォーカーズにトレードした経緯もあって、観客はややエキサイトしている。
スカイウォーカーズの先発は真咲、ニックスは昨年二桁勝利を挙げた右の萩原。
スカイウォーカーズのスタメンは
1筧
2唐澤
3結城
4鬼束
5毒島
6中山
7畑中
8保坂
9梁屋
対するニックスのオーダーは
1吉田
2坂口
3武藤
4マドロック
5佐々木
6フォスター
7深沢
8相田
9津川
「スゲー歓声だな…」
「歓声というか、ブーイングがほとんどですよ」
試合前からブーイングが飛ぶ。
しかし、当の鬼塚はのほほんとしている。
普段はおっとりしてマイペースな性格だが、打席に入ると豹変する。
「あらら、スゴいヤジだな」
他人事の様に言うと、ベンチの奥に引っ込んだ。
午後6時、主審の手が上がりプレイボール。
1番筧がバッターボックスに入る。
マウンド上には先発の萩原。
140km後半のストレートとスライダー、落差のあるフォークで三振を獲るのが持ち味だ。
その初球は低目に決まるストレート。
「ストライク!」
145kmと表示。
筧はいつものように初球は様子を見る。
二球目はインコースに食い込むスライダー。
「ボール!」
これは僅かに外れた。
サインに頷き三球目を投げた。
ストレートにバットを合わせた。
カシュッ、とバットをかすめ、打球はファールゾーンへ。
四球目、今度は低目へ。
筧は見送る。
「ボール」
カウントはツーナッシング。
五球目、アウトコースへ投げた。
筧はタイミング良くバットを合わせる。
しかし、ボールは手前で鋭く落ち、バットの下に当たった。
ボテボテのピッチャーゴロで萩原が一塁へ送球。
まずはワンナウト。
【2番 センター唐澤 背番号1】
唐澤がネクストバッターズサークルから打席に向かう。
バットを構え、非常にリラックスした状態で立つ。
その初球は高目に外れるボール球。
「ボール」
ピクリとも動かない。
二球目はインコース低目へスライダー。
唐澤はこれをカットする。
「ファール!」
三塁側スタンドに飛び込んだ。
(決め球はフォークしかない)
三球目は外角にストレート。
「ストライク!」
ワンボール、ツーストライクと追い込まれた。
ここで決めるか、それとも一球外すか。
四球目を投げた。
唐澤は構えを解いた。
「ボール!」
高目のボール球で外した。
唐澤は分かっていたのだろう。
五球目を投げた。
低目だがゾーンに入ってる。
「フォークだ!」
唐澤は低目の球をすくい上げた。
しかし、打球は右に切れてファール。
(あのフォークを打つとは)
萩原のフォークは落差が大きい。
(フォークを当てても、投げるのはコレしかない!)
六球目を投げた。
またもや低目へ。
唐澤は先程と同じようにすくい上げるようにバットを出した。
だが、今度は更に落差の大きいフォーク。
打ち損じた球はフラフラとライトに上がり、定位置でキャッチ。
これでツーアウト。
「随分と落差のあるフォークだね」
「ええ、落差を投げ分けてるのかもしれません」
「厄介な球だな…」
ネクストバッターズサークルから結城が登場する。
【3番ファースト結城 背番号23】
穏やかな表情で打席に入ると唐澤同様、リラックスした状態でバットを構える。
力みは全く感じられない。
すると、キャッチャーの津川が立ち上がる。
「敬遠かよ?」
「まだ初回だというのに」
これにはスカイウォーカーズベンチも首を傾げる。
「…」
結城は動かずバットを構えている。
「ボール、フォア!」
そっとバットを置き、一塁へ歩いた。
「いきなり敬遠でオレとの勝負か」
【4番セカンド鬼束 背番号5】
鬼束がコールされると、球場内から凄まじいブーイングが。
【Boo!】
【Boo!】
【鬼束!テメーなんか、三振しちまえ!】
【ニックス出た事を後悔させてやる!】
そのブーイングを浴びながら鬼束は打席に立つ。
鬼束にスイッチが入った。
目付きが鋭く、威圧感溢れる雰囲気を身に纏う。
代名詞の神主打法で微動だにしない。
ブーイングの声がどんどん大きくなる。
鬼束は眉一つ動かない。集中している証拠だろう。
その鬼束に対し初球は148kmのストレート。
「ストライク!」
真ん中やや高めにズバッと決まる。
鬼束はピクリとも動かない。
二球目は外角へスライダー。
これも見送り、コースは僅かに外れた。
「ボール!」
異様な雰囲気の中、三球目を投げた。
同時に結城が走った。
すぐ様、津川が二塁へ送球するが結城はタッチを掻い潜り、スライディングをした。
「セーフ!」
これで結城は28個目の盗塁を成功。今年の結城は積極的に走る。
カウントはワンボール、ツーストライク。
四球目はフォークを投げた。
「フッ!」
鬼束がバットを振るが、打球は三塁線に切れてファール。
五球目を投げた。
今度は低目へ。
鬼束がバットを合わせた。
だが、ボールは嘲笑うかのようにフッとバットの下を通過した。
「ストライクアウト!」
決め球のフォークで空振りの三振。
鬼束が三振したとあって、球場内は物凄い歓声に包まれた。
【ざまあみろ!】
【お前なんか、ニックスじゃなきゃいい成績を挙げられないんだよ!】
【やったぜ、三振だ!】
「気にする事はないよ、鬼束くん」
結城が気遣う。
「大丈夫です。こういうのには慣れてますから」
グラブを取ると守備についた。
1回の表、スカイウォーカーズは無得点で終了した。
今日から長野ニックスとの連戦をスタートさせる。
本拠地ニックスフィールドは5万人の大観衆で、異様な雰囲気に包まれた。
それもそのはず、鬼束がスカイウォーカーズにトレードした経緯もあって、観客はややエキサイトしている。
スカイウォーカーズの先発は真咲、ニックスは昨年二桁勝利を挙げた右の萩原。
スカイウォーカーズのスタメンは
1筧
2唐澤
3結城
4鬼束
5毒島
6中山
7畑中
8保坂
9梁屋
対するニックスのオーダーは
1吉田
2坂口
3武藤
4マドロック
5佐々木
6フォスター
7深沢
8相田
9津川
「スゲー歓声だな…」
「歓声というか、ブーイングがほとんどですよ」
試合前からブーイングが飛ぶ。
しかし、当の鬼塚はのほほんとしている。
普段はおっとりしてマイペースな性格だが、打席に入ると豹変する。
「あらら、スゴいヤジだな」
他人事の様に言うと、ベンチの奥に引っ込んだ。
午後6時、主審の手が上がりプレイボール。
1番筧がバッターボックスに入る。
マウンド上には先発の萩原。
140km後半のストレートとスライダー、落差のあるフォークで三振を獲るのが持ち味だ。
その初球は低目に決まるストレート。
「ストライク!」
145kmと表示。
筧はいつものように初球は様子を見る。
二球目はインコースに食い込むスライダー。
「ボール!」
これは僅かに外れた。
サインに頷き三球目を投げた。
ストレートにバットを合わせた。
カシュッ、とバットをかすめ、打球はファールゾーンへ。
四球目、今度は低目へ。
筧は見送る。
「ボール」
カウントはツーナッシング。
五球目、アウトコースへ投げた。
筧はタイミング良くバットを合わせる。
しかし、ボールは手前で鋭く落ち、バットの下に当たった。
ボテボテのピッチャーゴロで萩原が一塁へ送球。
まずはワンナウト。
【2番 センター唐澤 背番号1】
唐澤がネクストバッターズサークルから打席に向かう。
バットを構え、非常にリラックスした状態で立つ。
その初球は高目に外れるボール球。
「ボール」
ピクリとも動かない。
二球目はインコース低目へスライダー。
唐澤はこれをカットする。
「ファール!」
三塁側スタンドに飛び込んだ。
(決め球はフォークしかない)
三球目は外角にストレート。
「ストライク!」
ワンボール、ツーストライクと追い込まれた。
ここで決めるか、それとも一球外すか。
四球目を投げた。
唐澤は構えを解いた。
「ボール!」
高目のボール球で外した。
唐澤は分かっていたのだろう。
五球目を投げた。
低目だがゾーンに入ってる。
「フォークだ!」
唐澤は低目の球をすくい上げた。
しかし、打球は右に切れてファール。
(あのフォークを打つとは)
萩原のフォークは落差が大きい。
(フォークを当てても、投げるのはコレしかない!)
六球目を投げた。
またもや低目へ。
唐澤は先程と同じようにすくい上げるようにバットを出した。
だが、今度は更に落差の大きいフォーク。
打ち損じた球はフラフラとライトに上がり、定位置でキャッチ。
これでツーアウト。
「随分と落差のあるフォークだね」
「ええ、落差を投げ分けてるのかもしれません」
「厄介な球だな…」
ネクストバッターズサークルから結城が登場する。
【3番ファースト結城 背番号23】
穏やかな表情で打席に入ると唐澤同様、リラックスした状態でバットを構える。
力みは全く感じられない。
すると、キャッチャーの津川が立ち上がる。
「敬遠かよ?」
「まだ初回だというのに」
これにはスカイウォーカーズベンチも首を傾げる。
「…」
結城は動かずバットを構えている。
「ボール、フォア!」
そっとバットを置き、一塁へ歩いた。
「いきなり敬遠でオレとの勝負か」
【4番セカンド鬼束 背番号5】
鬼束がコールされると、球場内から凄まじいブーイングが。
【Boo!】
【Boo!】
【鬼束!テメーなんか、三振しちまえ!】
【ニックス出た事を後悔させてやる!】
そのブーイングを浴びながら鬼束は打席に立つ。
鬼束にスイッチが入った。
目付きが鋭く、威圧感溢れる雰囲気を身に纏う。
代名詞の神主打法で微動だにしない。
ブーイングの声がどんどん大きくなる。
鬼束は眉一つ動かない。集中している証拠だろう。
その鬼束に対し初球は148kmのストレート。
「ストライク!」
真ん中やや高めにズバッと決まる。
鬼束はピクリとも動かない。
二球目は外角へスライダー。
これも見送り、コースは僅かに外れた。
「ボール!」
異様な雰囲気の中、三球目を投げた。
同時に結城が走った。
すぐ様、津川が二塁へ送球するが結城はタッチを掻い潜り、スライディングをした。
「セーフ!」
これで結城は28個目の盗塁を成功。今年の結城は積極的に走る。
カウントはワンボール、ツーストライク。
四球目はフォークを投げた。
「フッ!」
鬼束がバットを振るが、打球は三塁線に切れてファール。
五球目を投げた。
今度は低目へ。
鬼束がバットを合わせた。
だが、ボールは嘲笑うかのようにフッとバットの下を通過した。
「ストライクアウト!」
決め球のフォークで空振りの三振。
鬼束が三振したとあって、球場内は物凄い歓声に包まれた。
【ざまあみろ!】
【お前なんか、ニックスじゃなきゃいい成績を挙げられないんだよ!】
【やったぜ、三振だ!】
「気にする事はないよ、鬼束くん」
結城が気遣う。
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