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近所に格闘技のジムがあるのを思い出した。
改めてそのジムをよく見ると【キックボクシング 柔術 レスリング】と書いてある。
所謂、総合格闘技のジムだった。
中では選手と思われる二人がオープンフィンガーグローブを手に、スパーリングを行っていた。
パンチ、キック、寝技。
(これだ!)
結城少年は家に帰ると親を説得した。
ジムに行きたいと。
勿論、親は猛反発。
しかし、結城少年は何度も頼み込む。
さすがに折れて、結城少年は総合格闘技ジムに通う事となった。
まだ中学に上がったばかりという事で、インストラクターは基礎体力を重点においたトレーニングを指導する。
一日でも早く格闘技をマスターしたい彼は、メキメキと力を付ける。
やがて打撃技の練習をするようになる。
飲み込みの早い結城少年はあっという間に打撃をマスターする。
寝技は別に覚えなくていい、パンチとキックさえ覚えてしまえばそこら辺の連中なんて、ソッコーで勝てる。
そもそも、ケンカに寝技なんて必要無いだろうと。
打撃を覚えると、スパーリングで実戦感覚を養った。
最初のうちは防御が不安定でパンチやキックをもらい、ダウンする。
ヘッドギアやプロテクターで身を覆っているが、それでもダメージは残る。
結城少年は考えた。
彼は頭の回転が速い。その回転の速さが今日のバッティングにも表れている。
結城少年が辿り着いた答えは【相手の攻撃を読む】事だった。
中学に上がったばかりの少年が思いつくには、かなり高度な答えだったが、彼は他の選手がスパーリングをしている際、食い入るように見つめ、メモをとった。
この選手は右のフックが、強烈だから要注意。
この選手はローキックが得意だから脚に警戒、と言った感じで相手の動きを読んだ。
この作戦が功を奏し、スパーリングでは大人でも苦戦する程の卓越した技術で相手を圧倒する。
(よし、こんなもんでいいだろ)
ある程度打撃を身につけると、彼はジムを辞めてしまった。
元々ケンカに勝つ為の手段に過ぎず、これ以上ジムに在籍すると試合に出ろと言われてしまうので、見切りをつけてしまった。
ジムを辞めた後は実戦と称して、そこら辺にいるヤンキーとケンカするべく、街中を彷徨いた。
いかにもケンカしそうな雰囲気のヤツを見つけ、わざと目付きを悪くして歩く。
外見がおぼっちゃんのような顔立ちをしている為、ヤンキーはナメてかかる。
(よし、コイツをケンカデビューの相手にしよう)
頭の中でどうやって倒すかシュミレーションした。
「おい!何ガン飛ばしてるんじゃ、コラぁ!」
引っかかった!
「別に…ガン飛ばしてるのはソッチだろ!」
「テメー、いい度胸してんな!ボッコボコにしてやんよ」
「やれるもんなら、やってみな!」
相手をおちょくる。そうすると、相手はキレて殴りかかってくるだろうと読んだ。
案の定、ヤンキーから仕掛けた。
だが、ジムの練習生に比べればスローなパンチで大した事ない。
結城少年は流れるようなパンチとキックのコンビネーションで、一方的に打ちのめした。
「勝った…ィヤッター!勝ったぞ、勝った!」
恍惚の表情を浮かべ、暴力で制した自分の攻撃性が解き放たれた。
ここから彼のケンカがエスカレートする。
時には数人、時には上級生と言った具合に、相手からケンカを売られるように仕向け、誘いに乗った相手を叩きのめす。
何度もケンカを繰り返したある日、金を取られたヤンキー数名と出くわす。
(コイツらだ!)
早くボコボコにしたくてウズウズしている。
結城少年は途端に悪い目付きをした。
勿論、それに気づいたヤンキーが絡んでくる。
「おい!今、コッチにガン飛ばしたろ!」
「だったら、どうだって言うんだ」
「あれ、コイツこの前オレたちがボコボコにしたヤツだろ?」
一人が思い出した。
「何だ、あの時のダサボーかよ!」
ヤンキー達はニヤニヤしている。
「お前らなんか、一人で十分だ!掛かってこいよ、おい!」
「テメー…殺してやる!」
バキッ!ドカッ!グシャッ!
あっという間に全員をボコボコにした。
今度はヤンキー達が路上でうずくまっている。
結城少年は一人ずつのポケットを漁り、サイフを取り出した。
「あっ!オレのサイフ…」
「うるせえんだよ!」
ドゴッ!
更に蹴りを見舞う。
「うげぇ!」
鳩尾を蹴られ、のたうち回る。
全員のサイフから中身を抜き取り、空になったサイフを放り投げる。
(よし!やっと目的を達成出来た!)
積年の恨みをはらすがごとく、結城少年は喜びに打ち震えていた。
「ようやく!ようやく、アイツらを倒したぞ!」
結城少年のケンカ道は始まったばかりだ。
改めてそのジムをよく見ると【キックボクシング 柔術 レスリング】と書いてある。
所謂、総合格闘技のジムだった。
中では選手と思われる二人がオープンフィンガーグローブを手に、スパーリングを行っていた。
パンチ、キック、寝技。
(これだ!)
結城少年は家に帰ると親を説得した。
ジムに行きたいと。
勿論、親は猛反発。
しかし、結城少年は何度も頼み込む。
さすがに折れて、結城少年は総合格闘技ジムに通う事となった。
まだ中学に上がったばかりという事で、インストラクターは基礎体力を重点においたトレーニングを指導する。
一日でも早く格闘技をマスターしたい彼は、メキメキと力を付ける。
やがて打撃技の練習をするようになる。
飲み込みの早い結城少年はあっという間に打撃をマスターする。
寝技は別に覚えなくていい、パンチとキックさえ覚えてしまえばそこら辺の連中なんて、ソッコーで勝てる。
そもそも、ケンカに寝技なんて必要無いだろうと。
打撃を覚えると、スパーリングで実戦感覚を養った。
最初のうちは防御が不安定でパンチやキックをもらい、ダウンする。
ヘッドギアやプロテクターで身を覆っているが、それでもダメージは残る。
結城少年は考えた。
彼は頭の回転が速い。その回転の速さが今日のバッティングにも表れている。
結城少年が辿り着いた答えは【相手の攻撃を読む】事だった。
中学に上がったばかりの少年が思いつくには、かなり高度な答えだったが、彼は他の選手がスパーリングをしている際、食い入るように見つめ、メモをとった。
この選手は右のフックが、強烈だから要注意。
この選手はローキックが得意だから脚に警戒、と言った感じで相手の動きを読んだ。
この作戦が功を奏し、スパーリングでは大人でも苦戦する程の卓越した技術で相手を圧倒する。
(よし、こんなもんでいいだろ)
ある程度打撃を身につけると、彼はジムを辞めてしまった。
元々ケンカに勝つ為の手段に過ぎず、これ以上ジムに在籍すると試合に出ろと言われてしまうので、見切りをつけてしまった。
ジムを辞めた後は実戦と称して、そこら辺にいるヤンキーとケンカするべく、街中を彷徨いた。
いかにもケンカしそうな雰囲気のヤツを見つけ、わざと目付きを悪くして歩く。
外見がおぼっちゃんのような顔立ちをしている為、ヤンキーはナメてかかる。
(よし、コイツをケンカデビューの相手にしよう)
頭の中でどうやって倒すかシュミレーションした。
「おい!何ガン飛ばしてるんじゃ、コラぁ!」
引っかかった!
「別に…ガン飛ばしてるのはソッチだろ!」
「テメー、いい度胸してんな!ボッコボコにしてやんよ」
「やれるもんなら、やってみな!」
相手をおちょくる。そうすると、相手はキレて殴りかかってくるだろうと読んだ。
案の定、ヤンキーから仕掛けた。
だが、ジムの練習生に比べればスローなパンチで大した事ない。
結城少年は流れるようなパンチとキックのコンビネーションで、一方的に打ちのめした。
「勝った…ィヤッター!勝ったぞ、勝った!」
恍惚の表情を浮かべ、暴力で制した自分の攻撃性が解き放たれた。
ここから彼のケンカがエスカレートする。
時には数人、時には上級生と言った具合に、相手からケンカを売られるように仕向け、誘いに乗った相手を叩きのめす。
何度もケンカを繰り返したある日、金を取られたヤンキー数名と出くわす。
(コイツらだ!)
早くボコボコにしたくてウズウズしている。
結城少年は途端に悪い目付きをした。
勿論、それに気づいたヤンキーが絡んでくる。
「おい!今、コッチにガン飛ばしたろ!」
「だったら、どうだって言うんだ」
「あれ、コイツこの前オレたちがボコボコにしたヤツだろ?」
一人が思い出した。
「何だ、あの時のダサボーかよ!」
ヤンキー達はニヤニヤしている。
「お前らなんか、一人で十分だ!掛かってこいよ、おい!」
「テメー…殺してやる!」
バキッ!ドカッ!グシャッ!
あっという間に全員をボコボコにした。
今度はヤンキー達が路上でうずくまっている。
結城少年は一人ずつのポケットを漁り、サイフを取り出した。
「あっ!オレのサイフ…」
「うるせえんだよ!」
ドゴッ!
更に蹴りを見舞う。
「うげぇ!」
鳩尾を蹴られ、のたうち回る。
全員のサイフから中身を抜き取り、空になったサイフを放り投げる。
(よし!やっと目的を達成出来た!)
積年の恨みをはらすがごとく、結城少年は喜びに打ち震えていた。
「ようやく!ようやく、アイツらを倒したぞ!」
結城少年のケンカ道は始まったばかりだ。
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