Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

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優勝への道のり

球の威力

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マシンガンズのトップバッターはショートの照屋。


先発の片山はここまで4勝3敗 防御率は3.14 

昨年の最多勝にしてはやや物足りない成績だ。


「プレイボール!」


高らかに主審の声で試合が始まった。

片山の第一球はアウトコースへ142kmのツーシーム。

「ストライク!」


昨年から制球力が良くなり、勝ち星が増えた。

今年は高峰ピッチングコーチの下、下半身を鍛えより柔軟な身体を作り上げた。


そのせいか、球の威力が増している。


続いて二球目はインサイドへ対角線に放つストレート。


「ストライク!」


クロスファイヤーボールでツーストライクと追い込んだ。


片山がサインに頷き三球目を投げた。


「くっ…」


今度はドロンとした縦に割れるカーブ。


タイミングを外された照屋は辛うじてバットに当てたが、ボテボテのピッチャーゴロ。

片山が難なく捌いてまずはワンナウト。



続くは2番セカンド下平。


片山は初球にインコースをえぐるスライダーを投げた。

しかし、これは下平がカットしてファール。


二球目、今度は145kmのストレート。

これは高目に外れてボール。


早いテンポから三球目、腕のしなりがとても絵になる。

今度は縦のカーブ。


腕の振りが良い為、ストレートと見分けがつかない。


下平も辛うじてバットに当てたが、ショートゴロ。


筧がキャッチして一塁へ送球。


これでツーアウト。




「さぁて、登場するぞ」


「要注意人物ですね」


昨日全打点を叩きだし、マシンガンズを勝利に導いた比嘉がバッターボックスに入る。


打席のやや後ろに立ち、バットを相手に向けるフォーム。

ビルドアップした上半身に丸太ん棒のような太い腕。


180cmとそれ程高くは無いが、筋肉の塊の様な身体はとても頑丈そうだ。


「コイツにはどう攻めればよいのやら」


片山がロージンを手にする。


「強気に攻めるしかないでしょう」


「そうだな、攻めて攻めて攻めまくるのみ!」


ベンチの声に応える事が出来るか。


その初球は真っ向勝負のストレート。


バシーンという音が響き、ミットに収まる。


「ストライク!」


電光掲示板のスコアボードには147kmと表示された。


「球の威力がありそうなストレートですね」


「イイネイイネ、どんどん攻めろ!」


ニヤッと笑って戦況を見つめる。


二球目は懐をえぐるようなスライダー。


「ボール!」

これは僅かに外れた。


「インコースを突いてるな」


「内、内、外という感じで攻め込むつもりかもしれない」


三球目を投げた。


今度はツーシームをアウトローへ。


比嘉はバットを出すが、右に切れてファール。


しなやかな腕の振りから四球目を投げた。


スピードの乗ったインローのストレート。


「奮っ!」


(ゲッ、マジか)


比嘉は気合いもろとも、強引に振り抜いた。


打球はライトへ。


ライト梁屋がバックする。


「行く筈が無い…絶対にスタンドへは入らない…」


呪文のようにマウンド上で何度も唱えた。


その呪文が効いたのか、打球はフェンス手前で失速。


梁屋がフェンスギリギリでキャッチしてアウト。


「ホー…良かった良かった」


片山は胸を撫で下ろす。


スピードガンは149kmをマークした。


「球の威力が勝ったのでしょうね」


「ただ速いだけじゃないからな。重心を低くして投げてる分、威力が増したんだろ」


どのスポーツでも下半身が重要になる。


1回の表、マシンガンズは三者凡退で攻撃を終了した。
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