Baseball Fighter 主砲の一振り2 後編

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優勝への道のり

努めて明るく

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天海の発言が物議を醸し、ついにはコミッショナーまでもが動いた。

「首脳陣の事だけならまだしも、障害をもつ人達をバカにするような発言は許し難い事だ。

浅野監督は契約を解除したいと言っていたが、我々も同じ気持ちだ」

とコメント。



その後、コミッショナーの下した処分は

【自由契約】

天海は東京キングダムを解雇され、フリーの立場となった。


こんなならず者を拾ってくれるチームなどある筈もない。



解雇された天海は


「こんなチマチマした国でセコい野球なんかやってられるか!
オレはメジャーに行く。

アテは無いけど、オレが投げればウチに来てくれと言ってくれるチームはごまんといる。

オレの事をクビにした浅野!アイツだけは許さん!
いつか必ず報復したる!」


と捲し立て、アメリカに渡ろうとしたが、まだ日本球界に籍があるだけに勝手な行動はとれない。




しかしまぁ、どうやったらこんな弄れた人間が生まれるのやら。




そんな天海の問題発言で揺れるプロ野球は現在交流戦真っ只中。


スカイウォーカーズは初戦から3連敗。



今夜も琉球マシンガンズとの一戦を控える。



「あら~…メジャーに行こうとしたらストップがかかったの?あぁ、まだ籍があるからダメだって?そりゃそうだろ!えっ、ウチ?イヤイヤ、引き取るつもりは無いよ。
あんなのがウチに来ても、せいぜいオレのパシりぐらいしか使えないし。

似てる?そんなにオレの現役時代と似てるって?

いや、確かにオレも色々あったけど、弱いものいじめだけはしなかったぞ、うん。

アイツはダメだね!

仮にウチに来るなら、そうだなぁ…

まずは結城とのタイマンで勝ったら入団させよう!年俸2万で!
ブワハハハハハハ!」


試合前、記者に囲まれ天海の件についてコメントを求められたところ、こんな事を言った。



まぁ、国民を敵に回したような人物を獲るなんてバカな事はしないと思うのだが。



スタメンに変更は無い。

昨日途中交代した結城は3番ファーストで出場する。


その結城は天海の発言にかなりキレてるらしいが、昨日の様な事にならないよう、必死で怒りを押し殺している。



「ゆ、結城さん…今日はいい天気ですね…ははっ」


「う、うん…そうだね。鬼束くん、ボ、ボクの事なら大丈夫。もう、キレるなんてバカな事はしないから…う、うん」


眉間にしわを寄せ、険しい顔をしているが努めて明るく振舞っている。


腫れ物に触る様な感じで、結城の近くには誰もいない。


「Hey, Chisato! I'm sure I'll win today!(へい、チサト!今日は勝つぞ!)」


「あ"?」


振り返りざま、トーマスにメンチを切った。


「ヤバい!チサトさん、目がつり上がってますよ!」


咄嗟に中山が駆け寄る。


何かあるとすぐにすっ飛んで来るという事は、高校時代に相当な出来事があったのだろうか。


「えっ、あ…あぁ、いけない!ボクとした事が…
えぇーっと、Mr.トーマス!ウィン、勝利!ビクトリーっ!」


「YEEEEEEEES!チサト、キョウカツ!ガンバッテ!」


「アハッ、サンキューMr.トーマス!」


顔が引きつっている。


「おい、トーマ。今日は絶対に結城さんを怒らすなよ!」


「変な事言わないでくださいよ、鬼束さん!オレだって、キレた結城さんを相手にしたくないですよ」


唐澤は昨日の事で懲りたろう。


スカイウォーカーズの先発は片山、対するマシンガンズの先発は新外国人のドウェイン・ルーガー。


昨シーズンまでメジャーリーグ ロサンゼルス・コルツに所属していた現役メジャーリーガー。


分厚い胸板に太い腕。

いかにもアメリカ人らしい外見。



助っ人ながら開幕投手を任され、1安打完封という離れ業をやってのけた。


7勝1敗、防御率は2.17で奪三振はリーグ最多の107個。

昨日の猪木といい、マシンガンズは三振を獲るピッチャーが多い。


さぁ、間もなくプレイボール。
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