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優勝するためには
再びキレる
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空気の読めないヤツ…
まさか、そんなヤツがピッチャーだったとは。
「あの…何で怒られるのか分かんないんですけど、とりあえずすいません」
三度帽子を取って頭を下げた。
「テメー、わざとやってんのか!」
唐澤はマウンドに向かおうとするが、それを結城が制した。
「落ち着け、唐澤くん!」
「結城さん、見たでしょ!アイツ、ナメてんすよオレの事!」
「よく見るんだ、彼は決してナメてるワケじゃない」
マウンドでは猪木が唐澤にビビってたじろいでいる。
「だからと言って、何度もタイムかけてあんな事されたら、誰だってイラッとしますよ!」
「いいから落ち着くんだ!」
結城は懸命に落ち着かせようとするが、唐澤は一向に収まりがつかない様子だ。
マウンド上ではマシンガンズの内野陣が集まり、猪木を囲うようにガードした。
「猪木!お前、トイレ行くならもっと前に行っとけ!」
「2度もタイムかけやがって、ケガかと思ったじゃねえか!」
「お前は緊張感無さ過ぎだぞ!」
猪木はナインに責められた。
「えっ…だってトイレ行きたかったし、それにさっきは無性に喉が乾いたから」
「だから、そんなもんは終わってからするもんなんだよ!」
「お前、ホントに空気読めないなぁ」
やっぱり、空気の読めないヤツだった。
「はぁ…以後気をつけます」
猪木自身は何で怒られているのか、皆目見当がつかない。
空気が読めないというか、あまりにもマイペース過ぎる性格故に何かしらトラブルに巻き込まれる。
一方バッターボックスでは、唐澤がいまだにカッカしてる。
「これが落ち着けと言われて、落ち着くワケないでしょ!」
唐澤も案外しつこい。
「唐澤くん!相手はああやって反省してるんだ、ここは見逃してやろう!」
それにしても、二人は兄弟かと見間違える程似ている。
唐澤と結城は身長も体重もほぼ同じ。
体型も差ほど変わらず。
おまけにユニフォームの着こなしも膝上までソックスを上げるオールドスタイル。
顔立ちも中性的で美少年という表現がピッタリだ。
強いて挙げるならば、唐澤の方が結城に比べると少し目がつり上がっている。
その兄弟みたいな二人がずっと揉めている。
「…おい、いい加減にしろよ」
結城の声のトーンが変わった。
「あ…ヤバい、チサトさんキレたかも」
中山が素早くベンチから飛び出した。
「チサトさん!この辺で勘弁してやって下さい!」
必死で結城をなだめた。
「おい、トーマ!お前も謝れ、ほら!チサトさん、ホントすいません!」
「カズト…オメーは引っ込んでろ!」
結城は鬼の形相で中山を突き飛ばした。
「あぁ~、ダメだこりゃ…おおーい、皆来てくれ!チサトさん抑えてくれよ~っ!」
一人じゃとても押さえきれない為、助けを求めた。
「結城さん、落ち着いて!」
「結城さん、戻りましょう!」
「おい、トーマ!お前も押さえろ!」
いつの間にか、唐澤までもが結城を必死でなだめている。
「結城さん、自分が悪かったです!ですから、落ち着いてください!」
もう、メチャクチャだ。
「ハッハッハッハ!こりゃあおもしれーな!結城がキレたら、誰も手がつけられないとは」
「笑い事じゃないですよ、監督!」
しまいには、トーマスまでもが結城を止めに入った。
「Hey,Yuki!Calm down!(おい、結城!落ち着け!)」
トーマスの怪力で何とか結城を押さえつけた。
「…まただ…ボクとした事が、また怒りで我を忘れてしまうとは…」
正気にかえった結城は酷く落ち込んだ。
こんな調子で試合が再開したが、唐澤も結城も心ここに在らずで、呆気なく凡退して1回の裏は無得点で終了した。
まさか、そんなヤツがピッチャーだったとは。
「あの…何で怒られるのか分かんないんですけど、とりあえずすいません」
三度帽子を取って頭を下げた。
「テメー、わざとやってんのか!」
唐澤はマウンドに向かおうとするが、それを結城が制した。
「落ち着け、唐澤くん!」
「結城さん、見たでしょ!アイツ、ナメてんすよオレの事!」
「よく見るんだ、彼は決してナメてるワケじゃない」
マウンドでは猪木が唐澤にビビってたじろいでいる。
「だからと言って、何度もタイムかけてあんな事されたら、誰だってイラッとしますよ!」
「いいから落ち着くんだ!」
結城は懸命に落ち着かせようとするが、唐澤は一向に収まりがつかない様子だ。
マウンド上ではマシンガンズの内野陣が集まり、猪木を囲うようにガードした。
「猪木!お前、トイレ行くならもっと前に行っとけ!」
「2度もタイムかけやがって、ケガかと思ったじゃねえか!」
「お前は緊張感無さ過ぎだぞ!」
猪木はナインに責められた。
「えっ…だってトイレ行きたかったし、それにさっきは無性に喉が乾いたから」
「だから、そんなもんは終わってからするもんなんだよ!」
「お前、ホントに空気読めないなぁ」
やっぱり、空気の読めないヤツだった。
「はぁ…以後気をつけます」
猪木自身は何で怒られているのか、皆目見当がつかない。
空気が読めないというか、あまりにもマイペース過ぎる性格故に何かしらトラブルに巻き込まれる。
一方バッターボックスでは、唐澤がいまだにカッカしてる。
「これが落ち着けと言われて、落ち着くワケないでしょ!」
唐澤も案外しつこい。
「唐澤くん!相手はああやって反省してるんだ、ここは見逃してやろう!」
それにしても、二人は兄弟かと見間違える程似ている。
唐澤と結城は身長も体重もほぼ同じ。
体型も差ほど変わらず。
おまけにユニフォームの着こなしも膝上までソックスを上げるオールドスタイル。
顔立ちも中性的で美少年という表現がピッタリだ。
強いて挙げるならば、唐澤の方が結城に比べると少し目がつり上がっている。
その兄弟みたいな二人がずっと揉めている。
「…おい、いい加減にしろよ」
結城の声のトーンが変わった。
「あ…ヤバい、チサトさんキレたかも」
中山が素早くベンチから飛び出した。
「チサトさん!この辺で勘弁してやって下さい!」
必死で結城をなだめた。
「おい、トーマ!お前も謝れ、ほら!チサトさん、ホントすいません!」
「カズト…オメーは引っ込んでろ!」
結城は鬼の形相で中山を突き飛ばした。
「あぁ~、ダメだこりゃ…おおーい、皆来てくれ!チサトさん抑えてくれよ~っ!」
一人じゃとても押さえきれない為、助けを求めた。
「結城さん、落ち着いて!」
「結城さん、戻りましょう!」
「おい、トーマ!お前も押さえろ!」
いつの間にか、唐澤までもが結城を必死でなだめている。
「結城さん、自分が悪かったです!ですから、落ち着いてください!」
もう、メチャクチャだ。
「ハッハッハッハ!こりゃあおもしれーな!結城がキレたら、誰も手がつけられないとは」
「笑い事じゃないですよ、監督!」
しまいには、トーマスまでもが結城を止めに入った。
「Hey,Yuki!Calm down!(おい、結城!落ち着け!)」
トーマスの怪力で何とか結城を押さえつけた。
「…まただ…ボクとした事が、また怒りで我を忘れてしまうとは…」
正気にかえった結城は酷く落ち込んだ。
こんな調子で試合が再開したが、唐澤も結城も心ここに在らずで、呆気なく凡退して1回の裏は無得点で終了した。
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