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優勝するためには
柔軟なバッティング
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1点を先制されたスカイウォーカーズ。
続くは4番ライト ボーン。
2m近い長身に100kgを越える躯体。
見るからにパワーヒッターという感じだが、ボーンはメジャーでは中距離ヒッターの部類に入る。
「マイケル・ボーン。右投左打、シカゴ・ハンターズでは主に3番を打つ。メジャー2年目に打率3割、25本、100打点を記録。
選球眼が良く、4割近い出塁率を挙げる。
強肩でバズーカと呼ばれる送球は160kmを越える。
スゴいですね、このバッターは」
「日本の野球にも対応出来てるしな」
櫻井のノートには、ネプチューンリーグの選手だけではなく、アポロリーグの選手の詳細まで記録している。
「どことなく、ゴリラを彷彿させる構えだな」
ゴリラとは、トーマスの事だ。
榊は現役時代からトーマスの事をゴリラと呼んでいる。
トーマスはゴリラと呼ばれるのがイヤで、榊とよくケンカしていた。
「あぁ、確かにトーマスさんみたいな体型だし、タイプ的にも似てるかもしれませんね」
トーマスもメジャーではパワーヒッターというより、アベレージヒッターと呼ばれていた。
「It's a perfect batting form.(スキの無い構えだな)」
メジャーにありがちなクセのあるフォームでは無く、あくまでも自然体でバットを構える。
トーマスの言う通り、ボーンに死角は無いのか。
(これだけリーチが長いと内角を捌くのは難しいんじゃないか?)
保坂はインコースにミットを構えた。
中邑の初球はインコース低目のストレート。
「ボール」
僅かに外れた。
二球目もインコースへツーシーム。
「ストライク!」
(バットを出さないところを見ると、外狙いなのか?)
保坂はインコース攻めのリードをした。
三球目はインコースに鋭く曲がるスライダー。
しかし、ボーンはこれをカット。
「ファール!」
バックネットに打球が飛ぶ。
四球目、インハイにストレート。
ボーンは悠然と見送る。
「ボール!」
カウントはツーナッシング。
保坂がサインを出す。
中邑は頷いて五球目を投げた。
今度は真ん中からインコース低目に変化する、縦のカーブ。
(よし、打ち取った!)
しかし、ボーンはギリギリまで引き付け、腕を畳み鋭く振り抜いた。
「ヤバい!」
打球はレフトへ。
レフト中山が懸命に追うが、レフト線ギリギリにポトリと落ちた。
ボーンは巨体を揺らせながら一塁を蹴って二塁へ。
中山がクッションボールを捕ったが、ボーンは二塁でストップ。
「監督…見ましたか、あのバッティング」
「おぉ、見た見た。ツーベースヒットだろ」
「違いますよ、あのバッティングフォームですよ」
「フォーム?」
榊にそんな専門的な事を聞かれても解る筈が無い。
「switched from a two-strike to compact batting(ツーストライクからコンパクトなバッティングに切り替えやがった」
トーマスの指摘通り、ボーンはツーストライクに追い込まれると、ノーステップでコンパクトなスイングをする。
ただ振り回すだけじゃなく、確実性を兼ね備えた厄介なバッターだ。
「4番というバッティングでは無いですが、ランナーがいた時は要注意ですね」
「て事は、その前の比嘉を抑えればいいというワケか」
「ボーンというバッターだけなら、それ程怖く無いんですが、3番に比嘉がいる。
これは手強いでしょう」
「だから、マシンガンズは2位になってるというワケか」
「そうです」
榊は考えた。
「じゃあ、あの黒人歩かせて5番で勝負すりゃいいじゃん」
「うーん…一塁が空いてればそれも出来ますけど」
考えても、所詮こんな事しか思い浮かばない。
ツーアウトから連打を浴びたが、中邑は5番吉原をファーストライナーで抑え、スリーアウトチェンジ。
初回で早くも1点を失ったスカイウォーカーズは今日も敗けてしまうのか。
続くは4番ライト ボーン。
2m近い長身に100kgを越える躯体。
見るからにパワーヒッターという感じだが、ボーンはメジャーでは中距離ヒッターの部類に入る。
「マイケル・ボーン。右投左打、シカゴ・ハンターズでは主に3番を打つ。メジャー2年目に打率3割、25本、100打点を記録。
選球眼が良く、4割近い出塁率を挙げる。
強肩でバズーカと呼ばれる送球は160kmを越える。
スゴいですね、このバッターは」
「日本の野球にも対応出来てるしな」
櫻井のノートには、ネプチューンリーグの選手だけではなく、アポロリーグの選手の詳細まで記録している。
「どことなく、ゴリラを彷彿させる構えだな」
ゴリラとは、トーマスの事だ。
榊は現役時代からトーマスの事をゴリラと呼んでいる。
トーマスはゴリラと呼ばれるのがイヤで、榊とよくケンカしていた。
「あぁ、確かにトーマスさんみたいな体型だし、タイプ的にも似てるかもしれませんね」
トーマスもメジャーではパワーヒッターというより、アベレージヒッターと呼ばれていた。
「It's a perfect batting form.(スキの無い構えだな)」
メジャーにありがちなクセのあるフォームでは無く、あくまでも自然体でバットを構える。
トーマスの言う通り、ボーンに死角は無いのか。
(これだけリーチが長いと内角を捌くのは難しいんじゃないか?)
保坂はインコースにミットを構えた。
中邑の初球はインコース低目のストレート。
「ボール」
僅かに外れた。
二球目もインコースへツーシーム。
「ストライク!」
(バットを出さないところを見ると、外狙いなのか?)
保坂はインコース攻めのリードをした。
三球目はインコースに鋭く曲がるスライダー。
しかし、ボーンはこれをカット。
「ファール!」
バックネットに打球が飛ぶ。
四球目、インハイにストレート。
ボーンは悠然と見送る。
「ボール!」
カウントはツーナッシング。
保坂がサインを出す。
中邑は頷いて五球目を投げた。
今度は真ん中からインコース低目に変化する、縦のカーブ。
(よし、打ち取った!)
しかし、ボーンはギリギリまで引き付け、腕を畳み鋭く振り抜いた。
「ヤバい!」
打球はレフトへ。
レフト中山が懸命に追うが、レフト線ギリギリにポトリと落ちた。
ボーンは巨体を揺らせながら一塁を蹴って二塁へ。
中山がクッションボールを捕ったが、ボーンは二塁でストップ。
「監督…見ましたか、あのバッティング」
「おぉ、見た見た。ツーベースヒットだろ」
「違いますよ、あのバッティングフォームですよ」
「フォーム?」
榊にそんな専門的な事を聞かれても解る筈が無い。
「switched from a two-strike to compact batting(ツーストライクからコンパクトなバッティングに切り替えやがった」
トーマスの指摘通り、ボーンはツーストライクに追い込まれると、ノーステップでコンパクトなスイングをする。
ただ振り回すだけじゃなく、確実性を兼ね備えた厄介なバッターだ。
「4番というバッティングでは無いですが、ランナーがいた時は要注意ですね」
「て事は、その前の比嘉を抑えればいいというワケか」
「ボーンというバッターだけなら、それ程怖く無いんですが、3番に比嘉がいる。
これは手強いでしょう」
「だから、マシンガンズは2位になってるというワケか」
「そうです」
榊は考えた。
「じゃあ、あの黒人歩かせて5番で勝負すりゃいいじゃん」
「うーん…一塁が空いてればそれも出来ますけど」
考えても、所詮こんな事しか思い浮かばない。
ツーアウトから連打を浴びたが、中邑は5番吉原をファーストライナーで抑え、スリーアウトチェンジ。
初回で早くも1点を失ったスカイウォーカーズは今日も敗けてしまうのか。
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