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キャンプイン
チーム改革
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果たして櫻井が考案したスタイルでスカイウォーカーズはペナント奪回出来るのだろうか。
不安材料はかなりある。
野手では森高、石川の二遊間に鬼束の外野守備。
攻撃面では、森高の4番にジョーンズ、財前の8番9番コンビが期待通りの活躍をするか。
投手では、先発陣の駒不足に新守護神降谷が活躍出来るかどうか。
何もムリに変えなくてもいいものを、と思うのだろうが、櫻井は将来的な事を考え、このような大幅な改革を考案した。
そんな中、ドラフト2位の滝沢がまるでベテラン正捕手並みのキャッチングを披露する。
即戦力のキャッチャーというだけあって、フレーミング、スローイングの速さ、送球の正確さは正捕手の保坂と同様、それ以上の上手さだ。
問題はリードとバッティングだが、キャッチャーとしての素質は十分。
(彼はこのままの調子で行けば開幕一軍も夢じゃないかも)
櫻井は期待をよせる。
一方、ドラフト1位の冴島もブルペンで投げ込みをする。
保坂が球を受けるが、ボールのキレはイマイチだ。
「おい、どうした?ボールが来てないぞ!キンチョーしてるのか?」
保坂が檄を飛ばす。
「いえ、そんな事は無いです!」
冴島は何度も首を傾げる。
思った通りに投げられないのか、それともまだ調整中なのか、冴島は困惑する。
「なぁ、真咲…冴島のフォーム、少し改造した方がいいんじゃないか?」
チーフピッチングコーチの高峰が隣の真咲に聞く。
「アレじゃないすか、上半身と下半身の動きが上手くいってないんですよ」
「やっぱりそうか…上半身に頼り過ぎな投げ方をしてる様に見えるんだよな」
「少し矯正する必要があるかもしんないっすね」
早速フォームの矯正に取り掛かった。
ドラフト1位の冴島よりも、4位指名で入団した神楽のピッチングに注目が集まる。
神楽は昨年までマイナーリーグ、2Aのワシントン・イーグルスでプレーしていた。
大学を中退して単身渡米。
メジャーに昇格する事を夢見ていたが、スカイウォーカーズの駐在スカウトが素質を見抜き、ドラフト4位で指名した。
160km/h近い速球とナチュラルに変化する【真っスラ】、そして落差の大きいフォークで三振を獲るピッチングが持ち味だ。
課題は制球難で荒削りだが、磨けば光る逸材とあって、高峰は下でじっくり育てたいつもりだ。
再びグラウンドに戻すと、現役を引退して今年から打撃コーチ専任となる畑中が、ジョーンズにトスバッティングをしている。
スイングをする度に汗が飛び散る。
「ヘイ、どうしたジョーンズ!ヘッドが下がってるぞ!」
「ハイ、ガンバリマス…」
たどたどしい日本語で返事をする。
「いいか、ジョーンズ!お前に期待するのはホームランだ!Don't worry about strikeouts. Go for a home run!(三振なんか気にせず、ホームランを狙え!)」
「Okay, coach!(オーケー、コーチ!)」
櫻井はジョーンズに当てるだけのバッティングをせずに、持ち味でもある長打を打つよう伝えた。
いくら三振しても、一発があるのは魅力だ。
小さくまとまるよりも、長所を生かす事が大事だと。
「いよ~、やってるねぇ!」
脳天気な声がグラウンドに響く。
「あ、GM!」
GMに就任した榊がスーツ姿でグラウンドに現れた。
「ムヒョヒョヒョヒョヒョ!初日だけあって、活気があっていいぬーーーん!」
横にはオーナーが。
視察に来たのだろう。
「榊さん、オーナー、わざわざ起こしいただいてありがとうございます!」
櫻井が帽子を取って挨拶をする。
「あぁ、あちきの事は気にしなくていいから、頑張ってくれだぬーーん!」
「オーナーさぁ、せっかくキャンプ地に来たんだから、何か差し入れ持ってくりゃいいのに」
「にゃんと!これはウッカリしていたぬ!選手がハードな練習に耐えるよう、肉でも用意しておこうかぬ!」
「いえ、オーナー…そんな気を使わないでください」
「いいんだよ、ヒロト!オーナー、ついでに酒も用意してくれよ」
図々しいGMだ。
「にゃるほど、明日への活力源という事かぬ。早速用意するよう、手配するぬーーーん!」
その日の夕方、宿舎に大量の肉と酒が届いた。
不安材料はかなりある。
野手では森高、石川の二遊間に鬼束の外野守備。
攻撃面では、森高の4番にジョーンズ、財前の8番9番コンビが期待通りの活躍をするか。
投手では、先発陣の駒不足に新守護神降谷が活躍出来るかどうか。
何もムリに変えなくてもいいものを、と思うのだろうが、櫻井は将来的な事を考え、このような大幅な改革を考案した。
そんな中、ドラフト2位の滝沢がまるでベテラン正捕手並みのキャッチングを披露する。
即戦力のキャッチャーというだけあって、フレーミング、スローイングの速さ、送球の正確さは正捕手の保坂と同様、それ以上の上手さだ。
問題はリードとバッティングだが、キャッチャーとしての素質は十分。
(彼はこのままの調子で行けば開幕一軍も夢じゃないかも)
櫻井は期待をよせる。
一方、ドラフト1位の冴島もブルペンで投げ込みをする。
保坂が球を受けるが、ボールのキレはイマイチだ。
「おい、どうした?ボールが来てないぞ!キンチョーしてるのか?」
保坂が檄を飛ばす。
「いえ、そんな事は無いです!」
冴島は何度も首を傾げる。
思った通りに投げられないのか、それともまだ調整中なのか、冴島は困惑する。
「なぁ、真咲…冴島のフォーム、少し改造した方がいいんじゃないか?」
チーフピッチングコーチの高峰が隣の真咲に聞く。
「アレじゃないすか、上半身と下半身の動きが上手くいってないんですよ」
「やっぱりそうか…上半身に頼り過ぎな投げ方をしてる様に見えるんだよな」
「少し矯正する必要があるかもしんないっすね」
早速フォームの矯正に取り掛かった。
ドラフト1位の冴島よりも、4位指名で入団した神楽のピッチングに注目が集まる。
神楽は昨年までマイナーリーグ、2Aのワシントン・イーグルスでプレーしていた。
大学を中退して単身渡米。
メジャーに昇格する事を夢見ていたが、スカイウォーカーズの駐在スカウトが素質を見抜き、ドラフト4位で指名した。
160km/h近い速球とナチュラルに変化する【真っスラ】、そして落差の大きいフォークで三振を獲るピッチングが持ち味だ。
課題は制球難で荒削りだが、磨けば光る逸材とあって、高峰は下でじっくり育てたいつもりだ。
再びグラウンドに戻すと、現役を引退して今年から打撃コーチ専任となる畑中が、ジョーンズにトスバッティングをしている。
スイングをする度に汗が飛び散る。
「ヘイ、どうしたジョーンズ!ヘッドが下がってるぞ!」
「ハイ、ガンバリマス…」
たどたどしい日本語で返事をする。
「いいか、ジョーンズ!お前に期待するのはホームランだ!Don't worry about strikeouts. Go for a home run!(三振なんか気にせず、ホームランを狙え!)」
「Okay, coach!(オーケー、コーチ!)」
櫻井はジョーンズに当てるだけのバッティングをせずに、持ち味でもある長打を打つよう伝えた。
いくら三振しても、一発があるのは魅力だ。
小さくまとまるよりも、長所を生かす事が大事だと。
「いよ~、やってるねぇ!」
脳天気な声がグラウンドに響く。
「あ、GM!」
GMに就任した榊がスーツ姿でグラウンドに現れた。
「ムヒョヒョヒョヒョヒョ!初日だけあって、活気があっていいぬーーーん!」
横にはオーナーが。
視察に来たのだろう。
「榊さん、オーナー、わざわざ起こしいただいてありがとうございます!」
櫻井が帽子を取って挨拶をする。
「あぁ、あちきの事は気にしなくていいから、頑張ってくれだぬーーん!」
「オーナーさぁ、せっかくキャンプ地に来たんだから、何か差し入れ持ってくりゃいいのに」
「にゃんと!これはウッカリしていたぬ!選手がハードな練習に耐えるよう、肉でも用意しておこうかぬ!」
「いえ、オーナー…そんな気を使わないでください」
「いいんだよ、ヒロト!オーナー、ついでに酒も用意してくれよ」
図々しいGMだ。
「にゃるほど、明日への活力源という事かぬ。早速用意するよう、手配するぬーーーん!」
その日の夕方、宿舎に大量の肉と酒が届いた。
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