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シーズン終盤
屈辱の3連敗
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財前の予想は当たってしまった。
結城は中澤と4回対戦して、無安打2三振という結果だった。
試合は1番高野、2番白石という上位打線の活躍で1対4で敗れ、順位が入れ替わった。
マーリンズが2位に浮上、スカイウォーカーズは3位に転落。
「イヤな予感は的中したか…」
今日の敗因は結城のノーヒットと、上位打線特に白石を抑えきれなかった事だ。
高野は3打数3安打、1四球、1個の盗塁を決めている。
それに対して、白石は4打数3安打、1ホームラン3打点と打たれまくった。
「何なんだ、アイツは?仙道、羽田のクリーンナップが騒がれてるが、その前を打つアイツの方が厄介な存在じゃねぇか」
「白石 拓海(しらいしたくみ)…こんな選手が何故ドラフト下位で指名されたのか」
白石はドラフト5位でマーリンズに指名された。
まさかここまで大化けするとは、櫻井も予想外だった。
「プロ4年目で去年までファームだった選手が、途中から一軍に上がって、凄まじい勢いで打ちまくってるんだから、マーリンズもいい掘り出し物をしたよな」
「打つだけではないですよ、守備も華麗でグラブ捌きもサマになってますし、走塁だって一級品…マーリンズは向こう10年ショートが安泰でしょうね」
白石は7回に保坂のヒット性の当たりを逆シングルでキャッチすると、素早くジャンピングスローでアウトにするファインプレーを見せた。
ジャンプしながら身体を捻っての送球だと、山なりのボールになりがちだが、白石は強肩で矢のようなボールを投げ、楽々アウトにした。
「まるでメジャーの内野手ばりの送球だったな…
あぁ~、この先マーリンズとの試合はアイツに苦戦するのかよ!」
「確かに脅威な存在だけど…必ず弱点はあるハズです。
人間のやる事ですから、弱点が無いワケではない」
現役時代、天才と謳われた櫻井でさえ弱点はあった。
弱点の無い選手など存在しないというが持論だ。
ちなみに櫻井の弱点はインコース低めの落ちる球だった。
「弱点ったって、今のアイツはスゲー勢いあるぞ?弱点なんてあるのか?」
「勢いがあっても、弱点はカバー出来ませんよ。
まだペナントは続きますし、その間になんとか弱点を見つけますよ」
と言ったものの、櫻井でさえも白石の弱点を見つけるのは至難の業だ。
どこを投げても打たれてしまいそうな雰囲気、天性のスラッガーというオーラを身に纏っている白石は、結城や鬼束、唐澤といった名だたるスラッガーすら霞んでしまう程だ。
(あれで経験を積めば、翔田という絶対的スーパースターすら凌駕する程の存在になる…何とか手を打たなきゃ)
櫻井の内心は穏やかではなかった。
そして2戦目、この日はスカイウォーカーズが桐生、マーリンズは中継ぎで左のサイドスロー、稲本が先発。
昨日は財前を歩かせ、結城と勝負をする作戦が成功したマーリンズは、レフトにアトキンスではなく、ローテーション3番手の技巧派、右の山本をスタメンに起用。
山本をレフトに起用した理由は、稲本は唐澤に対して23打数2安打と押さえ込んでおり、唐澤の打席のみ稲本がマウンドに上がり、それ以外はレフトを守る。
この作戦が功を奏し、唐澤は稲本に4打数無安打と全く良いところが無かった。
ならばオレが、とナインは奮起するが、山本のコースを丁寧につくピッチングの前に凡退を繰り返す。
反対にマーリンズは3回に高野のライトオーバーのスリーベースヒットでチャンスを作ると、続く2番白石は桐生のナックルカーブを上手く右中間へ運び、タイムリーツーベースヒットで先制。
6回には先頭の白石がセンター前ヒットで出塁すると、3番仙道の打席で2盗に成功。
ペースを乱された桐生は決め球のスラッターが高めに浮き、仙道をこれを逃さずライトスタンドへ第18号ツーランで2点を追加。
その後は小刻みな継投策でスカイウォーカーズ打線を封じ、0対3の完封リレーでマーリンズが連勝。
そして3戦目。
この日はスカイウォーカーズが降谷、マーリンズは満を持してエース天海が先発。
天海が投げるとあって、この日は正攻法でスカイウォーカーズを封じる。
初回からエンジン全開の天海は160km/hを超えるバレットと90km/h台のスローカーブを駆使して奪三振の山を築く。
マーリンズは4回に5番張がライト線を破るツーベースヒットで塁に出ると、続く6番のアトキンスは降谷のツーシームを捕え、センターバックスクリーンへ第24号ツーランで先制。
スカイウォーカーズも7回に財前が天海のバレットをレフトフェンス直撃のツーベースヒットでチャンスを広げるが、4番結城、5番毒島が連続三振に倒れ無得点に終わる。
結局、天海は9回を投げ、被安打3、無四球、13奪三振の完封で13勝目をマーク。
これでマーリンズとのゲーム差は2.5に広がった。
これ以上負けは許されないスカイウォーカーズ。
明日は移動日で試合は無いが、マーリンズは本拠地マーリンズフィールドで99ersとの首位攻防戦を行う。
結城は中澤と4回対戦して、無安打2三振という結果だった。
試合は1番高野、2番白石という上位打線の活躍で1対4で敗れ、順位が入れ替わった。
マーリンズが2位に浮上、スカイウォーカーズは3位に転落。
「イヤな予感は的中したか…」
今日の敗因は結城のノーヒットと、上位打線特に白石を抑えきれなかった事だ。
高野は3打数3安打、1四球、1個の盗塁を決めている。
それに対して、白石は4打数3安打、1ホームラン3打点と打たれまくった。
「何なんだ、アイツは?仙道、羽田のクリーンナップが騒がれてるが、その前を打つアイツの方が厄介な存在じゃねぇか」
「白石 拓海(しらいしたくみ)…こんな選手が何故ドラフト下位で指名されたのか」
白石はドラフト5位でマーリンズに指名された。
まさかここまで大化けするとは、櫻井も予想外だった。
「プロ4年目で去年までファームだった選手が、途中から一軍に上がって、凄まじい勢いで打ちまくってるんだから、マーリンズもいい掘り出し物をしたよな」
「打つだけではないですよ、守備も華麗でグラブ捌きもサマになってますし、走塁だって一級品…マーリンズは向こう10年ショートが安泰でしょうね」
白石は7回に保坂のヒット性の当たりを逆シングルでキャッチすると、素早くジャンピングスローでアウトにするファインプレーを見せた。
ジャンプしながら身体を捻っての送球だと、山なりのボールになりがちだが、白石は強肩で矢のようなボールを投げ、楽々アウトにした。
「まるでメジャーの内野手ばりの送球だったな…
あぁ~、この先マーリンズとの試合はアイツに苦戦するのかよ!」
「確かに脅威な存在だけど…必ず弱点はあるハズです。
人間のやる事ですから、弱点が無いワケではない」
現役時代、天才と謳われた櫻井でさえ弱点はあった。
弱点の無い選手など存在しないというが持論だ。
ちなみに櫻井の弱点はインコース低めの落ちる球だった。
「弱点ったって、今のアイツはスゲー勢いあるぞ?弱点なんてあるのか?」
「勢いがあっても、弱点はカバー出来ませんよ。
まだペナントは続きますし、その間になんとか弱点を見つけますよ」
と言ったものの、櫻井でさえも白石の弱点を見つけるのは至難の業だ。
どこを投げても打たれてしまいそうな雰囲気、天性のスラッガーというオーラを身に纏っている白石は、結城や鬼束、唐澤といった名だたるスラッガーすら霞んでしまう程だ。
(あれで経験を積めば、翔田という絶対的スーパースターすら凌駕する程の存在になる…何とか手を打たなきゃ)
櫻井の内心は穏やかではなかった。
そして2戦目、この日はスカイウォーカーズが桐生、マーリンズは中継ぎで左のサイドスロー、稲本が先発。
昨日は財前を歩かせ、結城と勝負をする作戦が成功したマーリンズは、レフトにアトキンスではなく、ローテーション3番手の技巧派、右の山本をスタメンに起用。
山本をレフトに起用した理由は、稲本は唐澤に対して23打数2安打と押さえ込んでおり、唐澤の打席のみ稲本がマウンドに上がり、それ以外はレフトを守る。
この作戦が功を奏し、唐澤は稲本に4打数無安打と全く良いところが無かった。
ならばオレが、とナインは奮起するが、山本のコースを丁寧につくピッチングの前に凡退を繰り返す。
反対にマーリンズは3回に高野のライトオーバーのスリーベースヒットでチャンスを作ると、続く2番白石は桐生のナックルカーブを上手く右中間へ運び、タイムリーツーベースヒットで先制。
6回には先頭の白石がセンター前ヒットで出塁すると、3番仙道の打席で2盗に成功。
ペースを乱された桐生は決め球のスラッターが高めに浮き、仙道をこれを逃さずライトスタンドへ第18号ツーランで2点を追加。
その後は小刻みな継投策でスカイウォーカーズ打線を封じ、0対3の完封リレーでマーリンズが連勝。
そして3戦目。
この日はスカイウォーカーズが降谷、マーリンズは満を持してエース天海が先発。
天海が投げるとあって、この日は正攻法でスカイウォーカーズを封じる。
初回からエンジン全開の天海は160km/hを超えるバレットと90km/h台のスローカーブを駆使して奪三振の山を築く。
マーリンズは4回に5番張がライト線を破るツーベースヒットで塁に出ると、続く6番のアトキンスは降谷のツーシームを捕え、センターバックスクリーンへ第24号ツーランで先制。
スカイウォーカーズも7回に財前が天海のバレットをレフトフェンス直撃のツーベースヒットでチャンスを広げるが、4番結城、5番毒島が連続三振に倒れ無得点に終わる。
結局、天海は9回を投げ、被安打3、無四球、13奪三振の完封で13勝目をマーク。
これでマーリンズとのゲーム差は2.5に広がった。
これ以上負けは許されないスカイウォーカーズ。
明日は移動日で試合は無いが、マーリンズは本拠地マーリンズフィールドで99ersとの首位攻防戦を行う。
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