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逆襲のスーパースター
就任
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ここキングダムの本拠地、東京ボールパークでは2位スカイウォーカーズとの東京ダービーマッチを控えるが、その前に球場内では翔田のプレイングマネージャー就任の会見が行われていた。
「翔田選手、いや監督と言った方がいいのか…今日は先発で投げて、尚且つ監督として采配を振るワケですが、久々の一軍復帰でかなりハードな試合だと思うんですが、その辺はどうでしょうか?」
記者の質問に翔田は丁寧に答える。
「えぇ、はい…確かに復帰した初日に先発して、おまけに監督もしなきゃならない。
かなりキツいのは承知ですが、それでも自分はプレイングマネージャーとして試合に挑みます。
今はキングダム発足以来、1番悪い成績ですし、自力優勝はとっくに無くなってしまいましたが、このままでは終われません。
せめて一矢報いる為に、キングダムはシーズン終了まで必死に悪あがきします」
背番号1のスーパースターが口にする言葉ではないが、今のキングダムはなりふり構わず、食らいついていくしかない。
「今まで投手と野手の二刀流をやってきた翔田選手ですが、今日からは投手と監督の二刀流という事ですが、やっぱり二刀流には拘りがあるのでしょうか?」
「はい…自分にとって二刀流は原点でもあり、自分らしさという意味を持っています。
今までは投手と野手を交互に行ってきましたが、選手としては投手のみで、それ以外は監督としてベンチで采配を振るつもりです」
先発以外の時は常時ベンチで采配を振る事となる。
「二刀流を止めるきっかけになったのは、吉川選手の戦術のせいでしょうか?」
「これはもう、あの人がボクを攻略する為に編み出した戦術に限界を感じたのが正直な気持ちです。
でも、これで踏ん切りがつきました。
今ではあの人に感謝しています。
ただ、このままではやられっ放しなので、ここらで仕返しをしなきゃいけないなとは思います」
そんな翔田に別の記者が更に切り込む。
「では、その吉川選手に対して何かコメントがあれば…ここで言える範囲で結構ですので…」
「コメントですか?そうですね…この会見を見てるかどうか分かりませんが、ボクはアナタのお陰で今までの二刀流から卒業する事が出来ました。
でも、今日からはプレイングマネージャーとしての二刀流にチャレンジするので、是非全力で二刀流を阻止してみて下さい。
ボクは決して諦めない!
そして、今度はアナタを完膚なきまでに打ち負かすつもりなので、覚悟しておいて下さい!以上」
今度は翔田が吉川に宣戦布告した。
果たして吉川はこの会見をどう思ったのか。
グラウンドでは、スカイウォーカーズの野手がフリー打撃で快音を連発していた。
「翔田がプレイングマネージャーとはなぁ…
しかも、今日は先発か。
こりゃ、手強いかもな」
榊は警戒する。
「手強いったって、最下位のチームだぞ?
今更翔田が戻ってきたって、チームが必ず勝つとは限らないじゃん」
中田はのほほんとした表情で気にもとめない様子だ。
「今日の翔田くんは要注意ですね…
野手翔田よりも、監督翔田の方が脅威に感じますよ」
「ヒロト、何か良い作戦はないかな?」
櫻井は困惑する。
「いい案って…」
「何でもいいんだよ、例えば翔田を先にぶっ潰せばいいとか」
「そんな事出来るワケ無いじゃないですかっ!!」
「何か、イヤな予感がするんだよなぁ」
「イヤな予感?って、何?」
「んー、何つーか…」
本能的に何かを感じたのだろう。
とは言え、ボキャブラリーの足りない榊には上手く表現出来ない。
「まぁ、とにかく今日の試合は心してかからねえとな」
両チームのスターティングラインナップ。
スカイウォーカーズ
1ライト 唐澤 1
2ショート 筧 24
3センター 財前 10
4ファースト 結城 23
5サード 毒島 6
6セカンド 鬼束 5
7レフト 森高 7
8ピッチャー 真咲 32
9 キャッチャー 保坂 27
今日は遅球王の真咲が先発。
キングダム
1セカンド 湯原 4
2キャッチャー 丸藤 27
3ライト ロドリゲス 44
4センター 稲葉 9
5サード ウィリアムズ 33
6ファースト 坂上 2
7レフト 篠田 8
8ショート 倉澤 6
9ピッチャー 翔田 1
この日から4番は期待の大砲稲葉が座る。
新監督翔田は9番という打順で、バッティングよりもピッチングに専念する事らしい。
東京ボールパークに背番号1が帰ってきた。
たくさんのファンで埋め尽くされた場内は翔田の復帰を心待ちしていた。
【1回の表、スカイウォーカーズの攻撃は1番ライト唐澤。背番号1】
ビジター用のユニフォームを身にまとった唐澤がゆっくりと左打席に入った。
それを迎え撃つ、プレイングマネージャーの翔田。
(何か、今までとは違う雰囲気だな…)
唐澤は打席で違和感を感じる。
「プレイボールっ!!」
主審の手が挙がり、午後6時プレイボールとなった。
ノーワインドアップからゆったりとしたモーションで第1球を投げた。
「…何だ、この球はっ!」
唐澤は手が出ない。
ボールはバシーン!とミットに吸い込まれた。
「ストライクっ!」
初球はインコースに食い込む高速のシンカーだ。
(シンカーなんて、今まで投げた事なかったのに…)
翔田は休養期間に新球をマスターしていた。
「翔田選手、いや監督と言った方がいいのか…今日は先発で投げて、尚且つ監督として采配を振るワケですが、久々の一軍復帰でかなりハードな試合だと思うんですが、その辺はどうでしょうか?」
記者の質問に翔田は丁寧に答える。
「えぇ、はい…確かに復帰した初日に先発して、おまけに監督もしなきゃならない。
かなりキツいのは承知ですが、それでも自分はプレイングマネージャーとして試合に挑みます。
今はキングダム発足以来、1番悪い成績ですし、自力優勝はとっくに無くなってしまいましたが、このままでは終われません。
せめて一矢報いる為に、キングダムはシーズン終了まで必死に悪あがきします」
背番号1のスーパースターが口にする言葉ではないが、今のキングダムはなりふり構わず、食らいついていくしかない。
「今まで投手と野手の二刀流をやってきた翔田選手ですが、今日からは投手と監督の二刀流という事ですが、やっぱり二刀流には拘りがあるのでしょうか?」
「はい…自分にとって二刀流は原点でもあり、自分らしさという意味を持っています。
今までは投手と野手を交互に行ってきましたが、選手としては投手のみで、それ以外は監督としてベンチで采配を振るつもりです」
先発以外の時は常時ベンチで采配を振る事となる。
「二刀流を止めるきっかけになったのは、吉川選手の戦術のせいでしょうか?」
「これはもう、あの人がボクを攻略する為に編み出した戦術に限界を感じたのが正直な気持ちです。
でも、これで踏ん切りがつきました。
今ではあの人に感謝しています。
ただ、このままではやられっ放しなので、ここらで仕返しをしなきゃいけないなとは思います」
そんな翔田に別の記者が更に切り込む。
「では、その吉川選手に対して何かコメントがあれば…ここで言える範囲で結構ですので…」
「コメントですか?そうですね…この会見を見てるかどうか分かりませんが、ボクはアナタのお陰で今までの二刀流から卒業する事が出来ました。
でも、今日からはプレイングマネージャーとしての二刀流にチャレンジするので、是非全力で二刀流を阻止してみて下さい。
ボクは決して諦めない!
そして、今度はアナタを完膚なきまでに打ち負かすつもりなので、覚悟しておいて下さい!以上」
今度は翔田が吉川に宣戦布告した。
果たして吉川はこの会見をどう思ったのか。
グラウンドでは、スカイウォーカーズの野手がフリー打撃で快音を連発していた。
「翔田がプレイングマネージャーとはなぁ…
しかも、今日は先発か。
こりゃ、手強いかもな」
榊は警戒する。
「手強いったって、最下位のチームだぞ?
今更翔田が戻ってきたって、チームが必ず勝つとは限らないじゃん」
中田はのほほんとした表情で気にもとめない様子だ。
「今日の翔田くんは要注意ですね…
野手翔田よりも、監督翔田の方が脅威に感じますよ」
「ヒロト、何か良い作戦はないかな?」
櫻井は困惑する。
「いい案って…」
「何でもいいんだよ、例えば翔田を先にぶっ潰せばいいとか」
「そんな事出来るワケ無いじゃないですかっ!!」
「何か、イヤな予感がするんだよなぁ」
「イヤな予感?って、何?」
「んー、何つーか…」
本能的に何かを感じたのだろう。
とは言え、ボキャブラリーの足りない榊には上手く表現出来ない。
「まぁ、とにかく今日の試合は心してかからねえとな」
両チームのスターティングラインナップ。
スカイウォーカーズ
1ライト 唐澤 1
2ショート 筧 24
3センター 財前 10
4ファースト 結城 23
5サード 毒島 6
6セカンド 鬼束 5
7レフト 森高 7
8ピッチャー 真咲 32
9 キャッチャー 保坂 27
今日は遅球王の真咲が先発。
キングダム
1セカンド 湯原 4
2キャッチャー 丸藤 27
3ライト ロドリゲス 44
4センター 稲葉 9
5サード ウィリアムズ 33
6ファースト 坂上 2
7レフト 篠田 8
8ショート 倉澤 6
9ピッチャー 翔田 1
この日から4番は期待の大砲稲葉が座る。
新監督翔田は9番という打順で、バッティングよりもピッチングに専念する事らしい。
東京ボールパークに背番号1が帰ってきた。
たくさんのファンで埋め尽くされた場内は翔田の復帰を心待ちしていた。
【1回の表、スカイウォーカーズの攻撃は1番ライト唐澤。背番号1】
ビジター用のユニフォームを身にまとった唐澤がゆっくりと左打席に入った。
それを迎え撃つ、プレイングマネージャーの翔田。
(何か、今までとは違う雰囲気だな…)
唐澤は打席で違和感を感じる。
「プレイボールっ!!」
主審の手が挙がり、午後6時プレイボールとなった。
ノーワインドアップからゆったりとしたモーションで第1球を投げた。
「…何だ、この球はっ!」
唐澤は手が出ない。
ボールはバシーン!とミットに吸い込まれた。
「ストライクっ!」
初球はインコースに食い込む高速のシンカーだ。
(シンカーなんて、今まで投げた事なかったのに…)
翔田は休養期間に新球をマスターしていた。
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