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現役メジャーリーガーを獲得する為に
代理人
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鬼束のホームランを機にネプチューンリーグの選手達は後に続けとばかりに連打で畳み掛け、ついには天海をマウンドから降ろした。
オールスターゲームでピッチャーが滅多打ちに遭ってマウンドから降りるのは珍しいケースだ。
絶対的な自信を持っていたバレットと呼ばれるストレートをスタンドに運ばれ、ショックで失投を繰り返し、毎々安打を打たれた。
その結果、試合はネプチューンリーグの一方的な猛攻で終わってみれば9-3で勝利した。
MVPは三回を無安打奪三振5という、パーフェクトピッチングでキングダムの翔田が獲得した。
鬼束は2安打2打点1ホーマーの活躍で優秀選手を、唐澤と結城は途中交代をしたが共に1安打を放った。
尚、ノックアウトされた天海はロッカールームで大暴れした挙げ句、右手を骨折して今シーズン絶望というニュースが流れた。
一方高梨はナダウ・ヤマオカこと、宇棚珍太郎と共にシアトルへ。
「それでまずは代理人に会ってみるワケだな?」
「はい。代理人のアラン・ジョンソンという人物なんですが、長年代理人をやっていてメジャーリーガーだけじゃなく、NFL(アメフト)やNBA(バスケ)の選手の代理人をしていて、かなりのやり手みたいですね…」
「アラン・ジョンソンか…」
「監督ご存じですか?」
「ほら、オレはメジャーでヘッドコーチをしていたワケだし」
「そうでしたね。これから彼の事務所へ行くんですが…上手くいけばいいんですけどね」
シアトルの名物、スペースニードルがそびえ立つダウンタウンの一角にアラン・ジョンソンの事務所がある。
「あの建物でしょうか?」
三階建ての近代的なデザインをしたビルが目の前にある。
「このビルを所有してるみたいだな」
「あぁ、そうですね。さすがやり手の代理人だ」
「ちょっと待ってくれ、その前に電話するところがあるんだ」
そう言うと、珍太郎はスマホを取り出し電話を掛けた。
「…Well, I'll ask(じゃあ、頼んだ)」
そう言うと電話を切った。
「監督、何処へ掛けてたんですか?」
「ん?あぁ知り合いの所だ。こっちに来たから空いた時間にでも会おうって話しただけだよ」
「そうですか。何かすみません、監督にこんな所まで来ていただいて」
「気にするな。オレもアメリカには行かなきゃなぁと思ってたところだし」
「では、この件を成功させて夜は美味い酒でも飲みますか!」
ジョンソンの事務所は二階にある。
ドアの前のインターフォンを鳴らす。
「Yes」
秘書らしき女性の声だ。
「えっと、監督お願いします」
「Do you have Mr Johnson?(ジョンソンさんはおりますか?)」
「May I ask your name?(どちら様でしょうか?)」
「It is Takanashi. He is a member of Japanese baseball team called sky walkers(高梨と言って日本のスカイウォーカーズという球団関係者です)」
「Please wait(お待ち下さい)」
するとドアが開いた。
「I am Johnson. I'm glad to see you.(私がジョンソンです。お目にかかれて光栄です)」
まるでプロレスラーの様な立派な体型をした初老の白人男性が出迎えてくれた。
「I'm Takanashi. Nice to meet you.(高梨です。はじめまして)」
まずは握手を交わした。
「My name is Udana, and I'm an interpreter.nice to meet you(通訳の宇棚です。よろしく)」
珍太郎が挨拶した。
「Come in, please.(中へお入りください)」
二人は事務所内へ入った。
応接室というのか、部屋には各スポーツ選手のパネルが飾られていた。
「I think it's about Jake Honda, isn't it?(確かジェイク・ホンダの件でしたね?)」
「As my contract with the Seattle Suns is about to expire this year, I'm here to ask you to come to our team.(シアトル・サンズとの契約が今年で切れると聞いて是非ともウチの球団に来て欲しくて参りました)」
ジョンソンはニヤッと笑みを浮かべた。
「That's what I mean... Yes, my contract will expire this year, but I have many offers from other teams.(なる程…確かに今年で契約が切れますが、幾つもの球団からオファーがあります)」
「But isn't he hoping to play in Japan?(しかし彼は日本でのプレーを希望しているのでは?)」
ジョンソンはハッハッハッハと高笑いした。
「On the other hand, I'd like to ask you, can Japanese teams pay his annual salary?(では、日本の球団は彼の年棒を払えるのでしょうか?)」
ジェイク・ホンダの年棒は約12億。いくらなんでもそこまでは払えない。
仮に払ったとしても、他の選手との軋轢が生じてしまつ。
「But he wants to play in Japan rather than play in the major leagues, but he cannot pay that amount in Japanese baseball.(しかし彼はメジャーリーグよりも日本でのプレーを希望しているが、日本の球団ではとてもそんな年棒は払えない)」
すると、ジョンソンは声を荒らげた。
「That's why I'm against playing in Japan!(だから私は日本でのプレーは反対なんだ!)」
代理人の報酬はスポーツの種類によって多少の違いがあり、メジャーリーグでは年俸額の5%が相場と言われる。つまり、年俸総額100億円の契約をまとめれば、5億円が代理人の懐に入る計算だ。
さすがにこのクラスの契約を結ぶ選手を顧客としている代理人の数は多くないが、大型契約をまとめ上げた実績は、さらなる大物クライアントを呼び込む材料ともなり、結果として少数の敏腕エージェントの寡占が促進される傾向にある。
この様子じゃ難航しそうだ…
オールスターゲームでピッチャーが滅多打ちに遭ってマウンドから降りるのは珍しいケースだ。
絶対的な自信を持っていたバレットと呼ばれるストレートをスタンドに運ばれ、ショックで失投を繰り返し、毎々安打を打たれた。
その結果、試合はネプチューンリーグの一方的な猛攻で終わってみれば9-3で勝利した。
MVPは三回を無安打奪三振5という、パーフェクトピッチングでキングダムの翔田が獲得した。
鬼束は2安打2打点1ホーマーの活躍で優秀選手を、唐澤と結城は途中交代をしたが共に1安打を放った。
尚、ノックアウトされた天海はロッカールームで大暴れした挙げ句、右手を骨折して今シーズン絶望というニュースが流れた。
一方高梨はナダウ・ヤマオカこと、宇棚珍太郎と共にシアトルへ。
「それでまずは代理人に会ってみるワケだな?」
「はい。代理人のアラン・ジョンソンという人物なんですが、長年代理人をやっていてメジャーリーガーだけじゃなく、NFL(アメフト)やNBA(バスケ)の選手の代理人をしていて、かなりのやり手みたいですね…」
「アラン・ジョンソンか…」
「監督ご存じですか?」
「ほら、オレはメジャーでヘッドコーチをしていたワケだし」
「そうでしたね。これから彼の事務所へ行くんですが…上手くいけばいいんですけどね」
シアトルの名物、スペースニードルがそびえ立つダウンタウンの一角にアラン・ジョンソンの事務所がある。
「あの建物でしょうか?」
三階建ての近代的なデザインをしたビルが目の前にある。
「このビルを所有してるみたいだな」
「あぁ、そうですね。さすがやり手の代理人だ」
「ちょっと待ってくれ、その前に電話するところがあるんだ」
そう言うと、珍太郎はスマホを取り出し電話を掛けた。
「…Well, I'll ask(じゃあ、頼んだ)」
そう言うと電話を切った。
「監督、何処へ掛けてたんですか?」
「ん?あぁ知り合いの所だ。こっちに来たから空いた時間にでも会おうって話しただけだよ」
「そうですか。何かすみません、監督にこんな所まで来ていただいて」
「気にするな。オレもアメリカには行かなきゃなぁと思ってたところだし」
「では、この件を成功させて夜は美味い酒でも飲みますか!」
ジョンソンの事務所は二階にある。
ドアの前のインターフォンを鳴らす。
「Yes」
秘書らしき女性の声だ。
「えっと、監督お願いします」
「Do you have Mr Johnson?(ジョンソンさんはおりますか?)」
「May I ask your name?(どちら様でしょうか?)」
「It is Takanashi. He is a member of Japanese baseball team called sky walkers(高梨と言って日本のスカイウォーカーズという球団関係者です)」
「Please wait(お待ち下さい)」
するとドアが開いた。
「I am Johnson. I'm glad to see you.(私がジョンソンです。お目にかかれて光栄です)」
まるでプロレスラーの様な立派な体型をした初老の白人男性が出迎えてくれた。
「I'm Takanashi. Nice to meet you.(高梨です。はじめまして)」
まずは握手を交わした。
「My name is Udana, and I'm an interpreter.nice to meet you(通訳の宇棚です。よろしく)」
珍太郎が挨拶した。
「Come in, please.(中へお入りください)」
二人は事務所内へ入った。
応接室というのか、部屋には各スポーツ選手のパネルが飾られていた。
「I think it's about Jake Honda, isn't it?(確かジェイク・ホンダの件でしたね?)」
「As my contract with the Seattle Suns is about to expire this year, I'm here to ask you to come to our team.(シアトル・サンズとの契約が今年で切れると聞いて是非ともウチの球団に来て欲しくて参りました)」
ジョンソンはニヤッと笑みを浮かべた。
「That's what I mean... Yes, my contract will expire this year, but I have many offers from other teams.(なる程…確かに今年で契約が切れますが、幾つもの球団からオファーがあります)」
「But isn't he hoping to play in Japan?(しかし彼は日本でのプレーを希望しているのでは?)」
ジョンソンはハッハッハッハと高笑いした。
「On the other hand, I'd like to ask you, can Japanese teams pay his annual salary?(では、日本の球団は彼の年棒を払えるのでしょうか?)」
ジェイク・ホンダの年棒は約12億。いくらなんでもそこまでは払えない。
仮に払ったとしても、他の選手との軋轢が生じてしまつ。
「But he wants to play in Japan rather than play in the major leagues, but he cannot pay that amount in Japanese baseball.(しかし彼はメジャーリーグよりも日本でのプレーを希望しているが、日本の球団ではとてもそんな年棒は払えない)」
すると、ジョンソンは声を荒らげた。
「That's why I'm against playing in Japan!(だから私は日本でのプレーは反対なんだ!)」
代理人の報酬はスポーツの種類によって多少の違いがあり、メジャーリーグでは年俸額の5%が相場と言われる。つまり、年俸総額100億円の契約をまとめれば、5億円が代理人の懐に入る計算だ。
さすがにこのクラスの契約を結ぶ選手を顧客としている代理人の数は多くないが、大型契約をまとめ上げた実績は、さらなる大物クライアントを呼び込む材料ともなり、結果として少数の敏腕エージェントの寡占が促進される傾向にある。
この様子じゃ難航しそうだ…
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