41才の中学二年生(改訂版)

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謎の犬、ポメポメ夫

龍也の将来

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翌朝、登校してきた茶坊主を捕まえ、再び校舎の裏に連れて行った。

「おい、何だあの犬は?あれが、お前の上司なのか?」

犬の下で働くお前は、一体何者だっ!

「はい(^^)ポメポメ夫統括部長です(^^)」

犬が上司って、どんな世界だよ…

オレは昨日の事を茶坊主に話した。

「ポメポメ夫統括部長は、いつもああやって人を試しているんです(^^)
どうやって名前を言い当てるかで、その人の性格や進むべき道を、判断するのです(^^)」

…ホントに胡散臭い…

「てことは、オレのお目付け役は、お前からあの犬に変わったって事になるのか?」

冗談じゃないぞ!何でオレが、犬に色々と指導されなきゃなんないんだ?

「いえ、ポメポメ夫統括部長と私の二人で山本智さんの事をアドバイスして、徳を積むよう進言します(^^)」

二人じゃなく、一人と一匹だろうが…

ちなみにポメ夫は、ウチでグーグー寝て、起きてこなかった。

茶坊主はポメ夫に関して、一つ注文をつけた。

「山本智さん。ポメポメ夫統括部長に、朝と夕方散歩する事をお願いします(^^)
ポメ夫統括部長を散歩に連れていくと、徳が増えます(^^)」

そう言うと、教室へ向かった。

散歩して徳が積めるのか、ウソくせー!

まぁ、いいや。コイツらは、なるべく相手にしないようにしよう。

もっと楽しい中2ライフを送って、飽きたら2017年に戻ればいいだけの事だ。


んー…でも、楽しい中2ライフって何だろうか?

勉強?いやいや、それは楽しいどころか、苦行に近い。

スポーツ?あっ!また、朝練サボっちまった!…こりゃ、楽しくないな。

という事は、やっぱり恋愛レボリューション21という事に行き着くのか…

それにしても、何だあのリズム感の無いダンス!

よくもまぁ、あんなリズム感で踊るもんだ。

オレの方が、キレッキレで踊れるぞ。

「超超超 いい感じ 超超超超いい感じ woo love revolution♪」

一人で踊っていたら、横で龍也がタバコをくわえながら、冷たい視線でオレを見ていた…

「のゎっ!何だ、急に!」

龍也にバッチリ見られた。

「お前、朝から元気だなぁ~。何の踊りだ、そりゃ?」

プカーっと、タバコの煙を吐きながら、呆れた表情をしている。

そうか…この時代、モー娘。はまだいないんだ。

「いやまぁ、その…軽く準備体操ってヤツで、ははっ…」

何の準備体操なんだか…

「今日は体育無いだろ!何やってんだか…
それよか、お前も吸うか?」

学ランのポケットから、マイルドセブンの箱とライターを出した。

「そう言えばお前、タバコ吸った事あるのか?」

何だと、人を子供扱いしやがって!


「おっ、サンキュー。オレ学校じゃ吸わないけど、ウチでオヤジのハイライトパクって、吸ってるんだよ」

マイルドセブンに火をつけ、プカーっと煙を吐いた。

オレと龍也はヤンキーみたいに、ウンコ座りしながら、色々な話をした。

何故か、龍也は将来の事を語り始めた。

「オレさぁ…お前と一緒で、大した高校にも入れそうにないからさ。卒業したら、自衛隊にでも入ろうかと思ってんだよ…」

ぷっw自衛隊www

お前はド底辺の工業高校に入って、一年の二学期に中退して、19でデキ婚するんだぞw

…いや、待てよ。

ここでコイツにムダだ、諦めろって言うより、背中を押すような事を言った方が、コイツの人生もガラッと変わるんじゃないか?

笑いを押し殺しながら、龍也の言葉に耳を傾けた。

「いいんじゃないか、自衛隊。あそこに入隊すりゃ、色んな資格が取得出来るっていうじゃん?やってみたらどうだよ?」

うんうん、こう言った方が、コイツの為にもなる。

龍也は下を向き、タバコの火を消しながら、ボソッと呟いた。

「尾崎豊の歌じゃねえけど、サラリーマンなんてなりたかねえしな…頭ペコペコ下げながら、満員電車に乗って会社に通うより、手に職つけて何かをやれればいいんだけどなぁ」

バカヤロー!サラリーマンをそんなに軽く見るんじゃない!

サラリーマンてのは、頭ペコペコ下げるのが仕事じゃないんだぞ!

…でもまぁ、今は反論せずに、コイツの言葉を聞いて背中を押す事にした。

「やってみなきゃわかんねぇじゃん!自衛隊入りたいなら、入るしかないだろ?もし他にやりたい事見つかれば、その時はその時に考えればいいじゃん?」

その後、二人共しんみりとして、将来の事を話し合った。

「お前はオレより大人だよ。オレなんか、まだ何にも考えてないしさぁ」

41才の今でも、オレはサラリーマンでこのまま定年を迎えるのか?その事を疑問に思っていた。

妻も娘もいて、マイホームも購入した。

今さら転職なんて出来ない。

それに比べ、龍也は自衛隊に入ろうかと、真剣に悩んでいる。

茶化すのは簡単だ。

だが、あの龍也が真面目に話しているのを、茶化す気分にはなれない。

「でも、その前にタバコ止めないとな。色々とうるせーらしいぞ。ましてや、未成年がタバコ吸ってるなんてバレたら、先輩からボコボコにされるみたいらしいから」

自衛隊って、モロ体育会系で、上下関係が厳しいっていうから。



「そうだよな。これを機に、禁煙すっかなぁ」

そう言うと、龍也はマイルドセブンの箱とライターを側にあった焼却炉に投げ入れた。

こりゃ、本気だ…

「悪かったな、変な話しに付き合わせて」

照れ臭そうに、頭をポリポリ掻いていた。

オレは龍也の肩をポンと叩き、
「とりあえず教室行こうぜ。この事は誰にも言わないから」
そう言って、教室に向かって歩いた。

「あれ、そう言えばチャッピーいないけど、どうした?」

いつもなら、チャッピーが見張り役として、龍也がタバコを吸っているのを見つからないようにしていたのに、今日は姿を見てない。

「風邪引いて休みらしいぞ。もう、アイツに見張り役をやらせるつもりは無いけどな」

オレらはチャイムが鳴り始めた校内を走り、どうにか教室に間に合った。
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