41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

文字の大きさ
上 下
29 / 96
謎の犬、ポメポメ夫

喋れる犬、ポメポメ夫

しおりを挟む
「ただいま~…」

犬を抱え、こっそりと玄関のドアを開けた。

誰も居なかった。よし、大丈夫だ。

部屋に入ると机に向かい、ノートで色々な名前を考えては、書き込んだ。

犬は部屋中を走り回っている。


どんな名前がいいんだよ?この犬が話せればいいんだが…

ノートに、ムサシ、
コジロー、ハヤト、ナッツ、キッド等々思い付いた名前を書き連ねていた。

犬に目をやると、部屋の隅っこで糞をしていた。

「わっ、バカ!こんなとこでウンコするな!」

急いでティッシュで糞を取り、ゴミ箱に捨てようと思ったが、糞の臭いで犬がいる事が家族にバレたらどうしよう?そう思い、スーパーの袋の中にティッシュを入れ、ガッチリと結んでゴミ箱に捨てた。

そうなんだよな…犬を飼うって事は、糞や尿のする場所を覚えさせなきゃならない。

とは言え、家族で内緒に部屋で飼うなんて無理だ!

あの茶坊主、めんどくせ~生き物をよこしやがって。


一時間程、ありとあらゆる名前を書き、犬の前で一通り名前を出してみた。

「ムサシ」

【ガゥ~…】

ダメか。じゃあ、これはどうだ?

「コジロー」

【グルルル~】

今にも襲いかかりそうな、憎たらしい顔して吠えた。

「ハヤト」

【ワンワンワンワン!】

「ヤマト」

【ガルルル~っ!】

憎たらしい顔で吠えやがる。

「ナッツ」

【グゥ~っ】

腹の底から、唸るような声を上げた。これもダメか…

「アキラ」

【…】

後ろ足で身体をぼりぼり掻いている。


「あぁ~っめんどくせ~っ!何ならいいんだよ、このバカ犬が!」

【ギャンギャン、ガルルル~っ!】

ガブッ!

急に襲いかかり、手を噛まれた。


「痛ぇ~っ!噛みつきやがった、このアホが!」

右腕に、歯形がくっきりと残っている。


この犬を見ていると、柴夫を思い出す。

あの犬もどういうワケか、オレだけには懐かなかった。


柴犬だから柴夫。
安直すぎる名前が気に入らなかったのだろうか。

よく見ると、このポメラニアンも毛がふさふさしているが、短くカットすると、柴犬に見えなくもない。となると、シバオでどうだろうか。

「よし、これならどうだ?シバオ!」

【ギャルルル~っ!】

余計、威嚇してきた。

あぁ~っ!わかんねぇよ!

オレはポスターの裏に五十音順に書いて、犬の前に出した。

「おい!お前、どんな名前なら気に入るんだ?ここに書いてあるから、その文字を指せ!」

…そんな事言っても、分からないよな。犬だし。


だが、犬は羅列している文字を見て、前足を【ぽ】と書いてある文字の上にペタンと置いた。

ぽ?何だ、ぽって?犬は考え込んでいるのか、ポスターの周りをウロウロしながら、次に【め】の所に前足を置いた。

ぽめ?更にウロウロが激しくなり、また【ぽ】と【め】に前足を置いた。

ぽめぽめ?何だ、そのマヌケな名前は?

そしてジーっと文字を見つめ、最後に【お】の所に前足を置いた。

ぽめぽめお。…これじゃ、野比のび太と変わらんじゃないか。

オレは【ぽめぽめお】を【ポメポメ夫】に変換して、犬に見せた。


「どうだ、ポメポメ夫。これなら、いいだろ?」

ノートに書いた名前を見ると、嬉しそうに走り回り、キャンキャン吠えた。

ポメポメ夫ねぇ…

【この名前が、一番しっくりくるポメ】


…何だ~っ!?喋った?今、確かに喋ったよな?

「おいっ!お前、喋れるのか?」

もう一度聞いてみた。

【喋れるポメ】

…何なんだ、この犬は?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

処理中です...