41才の中学二年生(改訂版)

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胡散臭い茶坊主

言動さえも胡散臭い…

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まさか、この茶坊主がジジイの代わりなのか?

「これ、何て読むんだ?うたな?うだな?」

苗字をどう読むのか解らなかった。

「うだな(^^)」

「うだなひろし?どっからどう見ても、茶坊主にしか見えないが、お前も仙人なのか?」

仙人にしては程遠い風貌。
寺で修行してる坊主の方がお似合いな面構えだ。

「はい。私こう見えて、東方仙人の上司です(^^)」

ジジイの上司だと?

確かに名刺に部長と記されてあるが、あのジジイより上なのか?

どう見ても、コイツの方が部下って感じだろ?
何となく、頭悪そうだし。

「私これでも、400年この職に就いてますから、どんな問題でも解決出来ます(^^)」

…次から次へと、胡散臭いヤツが現れてくるな、オレの目の前に。

「400年?400年って、お前何才だ?」

どう見ても、トッチャン坊やだろう。


「大丈夫です(^^)私に任せれば全ては上手くいきます(^^)」

自信満々で言うけど、あのジジイより胡散臭い…
しかも、400年のキャリア?

今2017年だから、400年前だと、1617年?江戸時代じゃないか?

アホらしい…こんな、いびつな頭したトッチャン坊や相手にしたら、こっちまで変な目で見られる。

っていうか、今朝から変な目で見られっぱなしだよ!

「私が最初に担当した案件は、徳川三代将軍の家光さんです(^^)
まず、徳川直臣である旗本を再編し、幕府には老中・若年寄・奉行・大目付と言う役職を設け、将軍を最高権力者「公方」と言う位置づけを確立させ、平和な世の中の組織に作り替えました(^^)
そして、参勤交代や大奥をアドバイスしたのも私です(^^)」

聞いてもいないのに、勝手に自分の経歴を話し出した。
見た目以上に胡散臭い。


更に話を続けた。

「後は五代将軍の綱吉さんに、殺生を禁止する法令「生類憐みの令」(しょうるいあわれみのれい)を進言しました(^^)

まぁそれで、歴史的に有名な将軍となってしまったのは私のお陰です(^^)
将軍とお犬様の関係ですが、
実のところ、徳川綱吉さんに跡継ぎがいないことを心配していた母・桂昌院さんが、寵愛していた僧の隆光僧正の助言を受けたものという事になっていますが、

それは私が隆光僧正になりすましました(^^)
将軍が犬年生まれなので、犬を保護させてみました(^^)

最初は、将軍が通行する道では、犬・猫を自由に放しておく程度の法律でしたが、徐々に厳しくなります。

魚や鳥を生きたまま、食用として売らない事。

犬・猫・鼠に芸を覚えさせて見世物にするのを禁止。

金魚の飼育が禁止された江戸の庶民は、藤沢の遊行寺の池に金魚を放流。

大久保・四谷の住民を強制退去させ、犬を保護する小屋が建てられました。広さは東京ドーム20個分。

犬虐待や犬殺しを密告した者には、賞金を支給。

ドジョウ・ウナギの取引禁止。
もちろん、鷹狩りも禁止されていました。

最終的には「殺生はダメ」と言う考え方に至るまで、24年間の間に合計135回も追加・改正され、貝類・虫類まで保護されました。

なお、動物に対してだけと言う事ではなく、捨て子を禁じたなど良い面もあり、捨て子や病人の保護は、生類憐みの令が廃止されたあとも続けられました(^^)

徳川綱吉さんは動物愛護の精神にのっとれば、人間の生活においても忠孝に励み、召使(使用人)に対しても情けを掛け、親・兄弟や親戚が皆仲良く暮らせる世の中になると考えたかも知れませんが、少し暴走し過ぎました(^^)

犬を飼っても、簡単に捨てる人も多かった為、まずは身近な「犬」と言えども、大切に接しようと訴え、庶民の感情を変えようと試みた結果、あのような行き過ぎな法令を出してしまったのです(^^)」

随分と話が長い…
ニンマリと笑みを見せながら話すのはいいが、全てが胡散臭くて、誰も信じないぞ!


「それと、暴れん坊将軍で有名な八代将軍の吉宗さんは…」

「ちょっと待て!」

「はい、なんですか?」

コイツは、新興宗教の勧誘者か何かか?

「オレは神を信じないぞ!イエス・キリストも、仏陀も一切信じないからな!」

オレは宗教なんかに、全く興味がない。

「私、宗教の勧誘ではないです(^^)でも、神様はいます。
天界のトップに君臨しています(^^)」

益々怪しい…

「もう、さっきのジジイで大抵の事には驚かないが、お前は結局、何が言いたいワケ?」

コイツとは、話が噛み合わない。

「私の経歴を話してるだけです(^^)」

こっちは聞くつもりはないんだが…


「で、話を元に戻しますね(^^)吉宗さんは目安箱を設置して庶民の意見を聞きました(^^)

大岡越前守(大岡忠相)などを採用して、司法制度を改革したり、
小石川養生所を創設して医療制度の向上につとめ、
一部の洋書の輸入を解禁して、蘭学発展の基盤を築いたのも、私の進言によるものです(^^)」

コイツの話、外資系の保険会社のCMの内容とほぼ同じだろ!

しかも、Wikipediaで調べていたんじゃないのか、ジジイみたいに?

「私、Wikipediaはよく知りません(^^)」

…何で分かるんだ?もしや、オレの心を読んだのか?

頭の形がいびつなトッチャン坊やが、読心術をマスターしてるとは。

こりゃ、ホントにあのジジイより上なのかも知れない。

宇棚はトイレを出る前、何かを思い出したように、こちらを向くと、思いもよらない事を言った。

「あ、そうだ。言い忘れました。
私明日から転校生として山本智さんのクラスに入るので、ヨロシクお願いします(^^)」


なに~っ!転校生だぁ?

ジジイの時はオレにしか見えなかったが…

コイツは、姿を現すのか?

「てことは何か?お前がジジイの代わりに、オレのお目付け役となるってワケか?」


「んだな(^^)」

何故、返事が訛るんだ?
…何か力が抜ける。こんなトッチャン坊やで、頭悪そうなヤツがお目付け役?

「おい…まさか、ジジイの時みたいに変な杖持って、オレの頭に輪っかを被せるのか?」

こんなマヌケ面がジジイの代わりとは…中2ライフは薔薇色だと思ってたのに。

て事は?…冗談じゃない!またあの輪っかで、頭をギリギリと締め付けられるのはイヤだ~っ!

「私そんな事しません(^^)人を縛り付けるつもりはありません(^^)
これが私のポルシーです(^^)」

ポルシー?…

「何だその、ポルシーってのは?」

業界用語か何かの言葉か?

「方針です。その人に自由にやらせて、何が必要なのか見極めて、進言するのが私のポルシーです(^^)」

…ポリシーの事だろ…

「ポリシーだろ!フツーは間違えねえぞ、こんな単語を!こんなのが、オレのお目付け役なのかよ?」


「すみません、私横文字苦手です(^^)」

あぁ…どうなっていくんだ、オレの中2ライフは…?





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