41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

文字の大きさ
上 下
89 / 96
楽しい中2ライフ

梅の家

しおりを挟む
電車に乗って、2回乗り換えてようやく梅の住む家の駅に着いた。


「ったく、不便な場所だ!」

一応都心なのだが、駅の周辺は閑静な住宅街だ。


こんな所に高層マンションがあるのかよ。


確かに顔を上げると、高くそびえ立つマンションが目の前にある。

【グランメゾン 〇〇レジデンス】

これ、いわゆる億ションてヤツじゃないのか…

確か芸能人が住んでるっていう。


まるでホテルみたいな外観だ。


オレみたいなのが、こんな所にいたら場違いだろ…

エントランスは吹き抜けで、大理石の床。

しかも、赤の絨毯が敷いてある。


おいおい、いくら天界の力とは言え、こんな豪華なマンションに住めるのかよ…


梅の住む階は確か7階。


これだけ豪華だとセキリュティも厳しい。

当然、オートロックだ。


入り口で702号室をプッシュする。


【はーい】


「来たぞ」


【今開けるから待ってて】

ガチャリと施錠を解除する音がして、中へ入った。


一体、どんな部屋なんだろうか。




エレベーターに乗り込む。


はぁー、エレベーターからして、作りが違う…

もしかしたら、オレは中2に戻らなきゃこんな体験はしなかっただろうな。


あっという間に7階だ。


703…こりゃまた重厚なドアだ。


ガチャ…


えっ、呼び鈴鳴らす前に開いたの?


「いらっしゃーい、よく来たわね」


…何、その格好?


「おい…それは服なのかよ?」


まるでストIIの春麗みたいな両サイドにスリットが入ったチャイナドレス。


「えへ、いいでしょ?どう、似合ってる?」


「お前は露出狂なのか?」

他のヤツらは興奮するだろうが、何せオレはコイツの年齢も知ってるし、イジりまくった体型を見ても何とも思わない。


「変態みたいな言い方しないでよ!こういうコスプレもいいかなぁって」


「頼むから、そんな格好で外へ出るなよ」


コイツならやりかねない。


「いいから入って」


「お邪魔します」

中へ入った。


「はーっ、こりゃホテルのスィートルームだな」

だだっ広いリビングの窓から、都内の高層ビルを一望出来る。


「どう、中々良い部屋でしょ」

「言い部屋は良い部屋なんだが…とても人が住むような部屋とは思えないよ」


ホントに広い。

「ここ、家賃いくらなんだ?」


「さぁ、だってほら天界が提供してくれたし。多分、3億から4億はするんじゃないかな」


「はぁ?億ションかよ!」


こんな部屋に一人で住んでるのかよ。


「ねぇ、ところでお腹空いてない?」

ん?そういや、何かニンニクのいい匂いがする。

「この時期、おせちばかり食べるでしょ?だから、こういうのどうかな?」


「うおっ、ローストビーフじゃん!」


「他にもあるわよ~」


「ペペロンチーノだ!」


「後はカプレーゼにタコとトマトのイタリアンサラダでどうだっ!」


「スゲーっ!これ作ったのかよ?」


彩り良く、食欲をそそる物ばかりだ。


「そうよ、言ったでしょ料理は得意だって」

どんなヤツにも取り柄ってあるんだな。


それにしても、ホントに広い。

これなら、クラスの全員が来ても狭いとは感じない。


白を基調とした明るいインテリア。


まるで、一流ホテルの最上階のレストランでメシを食ってるみたいに錯覚してしまう。



「ところで、オレをここへ呼んだって事は何か用があったんだろ?」


オレはメシを喰う手を止めずに聞いた。


「え?用事が無いと呼んじゃダメだったかな?」


「いや、そういうワケじゃないけど、何かあるんじゃないかって思ったからさ」


「いや、えーっと…ほら、こうやって落ち着いて話をした事無いでしょ?だからたまにはいいかなぁと思って」


「ふーん、まぁいいか」


それよか、美味いなこの料理は!


…この際だから、聞いておきたい事もあるし、色々と話をしてみるか。


「前から思ってたんだけど、お前は人間じゃないんだよな?分類すると、何のカテゴリーに属するんだ?」


これは前から聞いてみたかった。


「いや、だから天使だって前に言わなかったっけ?」


「天使ぃ~?だって天使って言ったら、背中に羽が生えて頭に輪っか乗せてるんじゃないのか?」


そういや、前に聞いたような…


「それは、人間たちのイメージに過ぎないの。天使って言うけど、人間とそんなに変わりはないのよ」


「じゃあ次の質問…」


「ちょっと待って、そんなに天界の様子が気になるの?」


「当たり前だろ、こんな機会滅多にないんだし、色々と聞きたいんだよ」


「えー、答えられる範囲なら大丈夫だけどさ。それより、私のスリーサイズとか聞いてみたいと思わない?」


何言ってんだ、コイツ…


「イジった身体のサイズに興味はねえよ!」


「だからイジってないってば!」


いつまで言い張るんだよ。


「そんな事より、お前の住んでる所は天界だろ?で、オレたちが今住んでるのは下界なワケじゃん?」


「うん、そう呼ばれるわね」


「思ったんだけどさ、天界は日本仕様なのか?」


「ん?どういう事?」

梅は首を傾げた。


「だって、お前もそうだけど、天界の連中だったジジイや宇棚の茶坊主もそうだし、バカ犬は…あれは犬か。
アイツらだって見た目からして日本人じゃないか。天界は日本人タイプしかいないのかよ?」


これは聞きたかった。

外国人タイプの天使だっているだろう。


「あー、そういう事ね…私達の管轄は日本だから、見た目が日本人なの」


「ウソくせぇな!」


「ウソじゃないもん、天界って言うけど、色んな国の管轄があって、私は日本の管轄に配属されたからこんな外見なの」


「じゃあ、例えばアメリカの管轄になれば、見た目がアメリカ人みたいに変わるのかよ?」


異動の度に変身するのだろうか。


「さぁ、どうなんだろうね。何せ、まだ研修期間だし、異動はしないって申請はしているし」


「天界ってのは、会社組織なのかよ?」


こんな事、誰が信じるんだろうか。


「そんなもんよ。何処の世界だってそうじゃない」


「じゃあ、天界に社長っているのか?」


「社長はいないけど、トップは神様よ」

神様ねぇ…一度でいいから姿を見てみたいもんだ。

コイツは神様を見たことあるんだろうか。


「なぁ梅」


「だから、サヤカって呼んでよ!」


「うるせぇ、いつまでこだわってんだよ!まぁいい、そんな事より、お前神様って見た事あるのか?」


「まさか!だって私なんか、まだ入って間もないのよ。姿を見る事が出来るのは部長クラスじゃないと」

とんでもない、とばかりに大袈裟に首を振った。


「あのバカ犬はどういう経緯で部長になったんだよ?」


大体、犬が部長っておかしいだろ。


「あぁ、何でも聞いた話によると、元々は神様が飼ってた犬だったとか…」


「それがあのバカ犬なのかよ?」


この話を信じるのはオレだけだろうな…




その後もオレは梅に天界の事を色々と聞きまくった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

処理中です...