41才の中学二年生(改訂版)

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梅が教師

著しい学力アップ

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今日はテストの結果が解る日だ。


「オレ、今回は自信あるんだ」

「何言ってんだよ、オレだって自信あるよ」

「早く結果知りたいな」


男子連中は色めき立っている。


90点というボーダーラインを越えれば、梅の家に招待されるというご褒美が待っている。


「何かドキドキする~っ!」


そりゃ、結構な事で…


オレはというと、テストの結果よりも、来週の日曜日に開催される有馬記念の事で頭がいっぱいだ。

前回は全財産15000円を全て突っ込んだ結果、10万を越える額を手にした。

となると、今回は更に上をいく金額をゲットするために全財産25000円を突っ込む予定だ。

レースの結果も配当金も解っている。

となると、賭ける金額が大きければ大きい程、返ってくる額もハンパない。

オレは親にバットとグラブが古くなったから、新しいのが必要になったとウソをつき、30000円を貰った。


30000円のうち、5000円は中山競馬場に行く電車賃等で手元に残しておく。

あ~、早く日曜日にならないかなぁ…


【キーンコーン、カーンコーン】


「さて、いよいよ結果発表だ」


いいなぁ、お前らの結果発表が今日で。

オレは日曜日まで待たなきゃならん。


ガラッ…


「あれ、また元の格好に戻ってる」

「おぉ、またミニスカだ!」

「いつ見ても脚が長くてキレイだなぁ」


テストが終わったせいか、梅の服装が再びギャル系ファッションに戻っている。

て言うか…黒のミニスカにニーハイブーツって…

年相応の服装にしろよ!


「はぁーい、皆!今日は待ちに待ったテストの結果発表の日です!」

梅は満面の笑みだ。て事は、過半数がボーダーラインを越えたのか?

「早く答案用紙をちょうだい!」

「サヤカちゃん、何でまた服装を元に戻したの?」

「似合ってるよ、サヤカちゃん!」



「ありがとっ!今日のテーマは小悪魔系でーす!どう、似合ってる?」

梅はクルリと回ってポーズを決めた。

「小悪魔系?」

「何それ?」

「よくわからないけど、似合ってるから良いと思う」

この年代に小悪魔系ファッションなんて無いだろ!

しかも、相手は中2だぞ!

浮かれてやがる。

「ねぇ、ちょっとスカート短すぎじゃない?」

「あれじゃ見えちゃうじゃんねぇ?」

「もしかして、ワザと見えるようにしてるのかな?」

「うわー、媚び売ってるみたいで気持ち悪い」


女子からは相変わらず嫌われていやがる。


「はい、それじゃ順番にテストの用紙を渡すから、呼ばれたら前へ来てね」


『はーい!』


「では、青木くん!」

「はいっ」

「青木くん、スゴい!100点よ!約束通り、先生の家に招待します、おめでとう!」


「何っ、100点だと!」

「初っ端から満点かよ!」


青木智晴(あおきともはる)

コイツとはあまり会話をした事は無かったんだが、控え目な性格で中性的な顔立ちをしている。

コイツは卒業してから同窓会には1度も出席しなかったけど、元気でやってるのだろうか?

「あの、先生…ホントにクリスマスパーティーをやるの?」青木は恐る恐る聞いた。


「えっ、青木くんは来ないの?もしかして、クリスマスの日は用事があるのかな?」

「い、いえ…大丈夫です、行きます」

そりゃ、ホントにやるのか?って念押しするよな、フツーは。


「じゃあ、先生と一緒にクリスマスパーティーをやりましょうね!はい、じゃあ次は石田くん!」

「はいっ」

石田正晴(いしだまさはる)

コイツはクラスで1番のデブだw

柔道部所属で、成績も優秀。

青木と同じで性格は大人しい。

コイツともあんまり話した事は無かったな。


「石田くん、惜しい!88点よ…」

「えっ…」

「ウソっ、マサ(石田のアダ名)が88点かよ!」

「マジかよ、マサが90点取れなかったって、もしかしてオレたちヤバいかも」

ザワザワザワザワ…

「はい、静かに!石田くんは残念だったけど、88点なんだから、よく出来ました!」

そうだよ、何も落ち込む事は無いんだ。
88点なんて、中々取れる点数じゃないぞ。

そして、次々と名前を呼ばれ、答案用紙を受け取った。

しかも、今のところ90点以上がほとんどだ…

スゲー効果だ。

「はい、次は加藤くん!」

「は、はい」

「チャッピー、何キンチョーしてんだよ!」

チャッピーは挙動不審になってるw

「加藤くん、おめでとう!青木くんに続いて100点満点よ!」


「なにィっ!」

「チャッピーまでもが100点かよ!」

「お前、どうやってカンニングしたんだよ!」


「してねぇよ!」

チャッピーは信じられないといった表情だ。

ちょっと待てよ、今呼ばれたヤツらで80点を下回ったヤツは1人もいないぞ。

これって、スゴい事なんじゃないか?

サヤカちゃん、恐るべしだな。


「はい、次は金澤くん」

「ういっす!」

龍也は自信満々で席を立った。

まさか、コイツも90点越えなのか?


梅はジーッと答案用紙を見て、しばし無言だ。


「あの、サヤカちゃん…もしかしてオレ、ダメだったとか?」

龍也の表情が不安気だ。


「金澤くん…」

ダメだったか…

「よく出来ましたっ!90点っ!!」

「えっ?」

マジで…あの龍也が90点?

「スゲーっ!龍也90点だって!」

「おぉ、こりゃ奇跡だ!」


「…何だよ、ビックリするじゃん!オレ、ダメだったのかと思ったよ!」

そりゃ、あんなリアクションされたら不安になるっつーの!

「金澤くん、スゴい!おめでとう~!これで約束通りクリスマスは先生と一緒にパーティしましょう!」

「…やった~っ!バンザーイ!」

狂喜乱舞とはこの事を言うのだろうか。

スゴいはしゃぎっぷりだ。



「あっ、ゴメン!牛島くんの順番飛ばしてた!」

「ギャハハハハハ!泰彦呼ばれてないから、青い顔してるよ!」


「オ、オレてっきり酷い点数だから、後で職員室に呼ばれるのかと思ってたよ…」


『ワハハハハハ』

「ゴメンね、牛島くん…」

「で、オレの点数は…」

梅は笑みを浮かべた。

「牛島くん、98点!」

「ウソっ!」

「惜しいっ、牛島くん!間違ってたの1問だけよ!これが合ってたら100点だったのに!」

泰彦も呆然としている。

今までこんな点数取った事無いから、どうリアクションしていいのか戸惑ってる。


「オレ…98点?ホントに?」

「ホント、ホント!牛島くん、やれば出来るじゃないの!先生嬉しい!」

「ハハッ…オレが満点に近いって…よっしゃー!やったぞーっ!」

喜び勇んで席に着いた。


オレは何点なんだろ?


「ねぇ、皆スゴいじゃないの!こんなに優秀だなんて、先生嬉しいなぁ…」

あまりの高得点連発に梅は驚いていた。

その後、呼ばれた連中も高得点でほとんどがボーダーラインを越えていた。

次はオレの番だ。

「はい、次は山本くん」

オレか…

すると、梅は険しい顔をした。

どうせ、また龍也の時みたいにワザとそういう顔してるんだろう。

「山本くん…88点。惜しかった、残念!」

「ウソっ!」

我ながら素っ頓狂な声を上げてしまった。

「智、ダメかよ!」

「あぁ~あ、智やっちゃったなぁ」

「ざーんねん!」


「山本くん、漢字の問題が出来てたら90点越えてたのに、ホント残念だったなぁ…というワケでクリスマスパーティーはお預けです」


「ウソだろ、オレ88点?」

答案用紙を見た。

アチャー、漢字の問題が間違ってた!

あぁー、クソっ!!


…マジか、仲間うちでオレだけが90点以下かよ…


いや、次は謙司だ。

コイツは何点だろうか?

「はい、それじゃ吉田くん」

「は、はい」

謙司が呼ばれ、緊張した面持ちで立ち上がった。


「吉田くんは95点でした!おめでとう!」

「アハッ、良かったぁ~!」

謙司は95点かよ…


そして、男子全員に答案用紙が返された。

「残念だった人もいるけど、男子の平均点数は84点!これは皆が真面目に勉強した成果です!授業をちゃんと聞いてくれて先生はホントに嬉しいです、皆ありがとうね」

梅は涙ぐんでいた。

「泣くなよ、サヤカちゃん!」

「サヤカちゃん、佐伯が戻ってきても学校に残ってくれよ!」

「そうだよ、サヤカちゃんこれからも国語の授業やってくれよ!」


「うゎーん、皆ありがとう…」

梅は号泣しているせいで、つけまつ毛が取れ、メイクが落ちている。

「ちょっと、つけまつ毛って…」

「何、あれ?メイク落ちてるし」

「メイク濃すぎ!」

オイオイ、泣くのはいいけど、次は女子の番だぞ。



「はい、では次は女子の番です」


しかし、何つー顔してるんだ?

泣いたから、パンダみたいな目になってるぞ?






そして、クラス全員に答案用紙を渡し終えた。


42人中、90点を越えたのは36人…

しかも、最低点数が82点。

最低が82点って、短期間でこんなに学力がアップするとは…

これで梅は佐伯が戻ってきても、この学校に残って国語の授業を続ける事が出来る。

とりあえず一安心した。


でも、オレは梅の家に招待されないんだよな…


まぁいい、オレには来週の有馬記念がある!


早く日曜日にならないもんかなぁ…
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