41才の中学二年生(改訂版)

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梅が教師

テスト当日

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「はい、じゃ用紙は皆に行き届いたかな?」


『はーい!』

「それじゃ、皆頑張ってね!」

「サヤカちゃん、約束忘れないでくれよ!」

「わかってるって!それじゃ、始め!」


梅の言葉でテスト用紙に目を通した。

オレは今の学力なら90点以上は取れるだろう。


楽勝、楽勝。


龍也や泰彦は大丈夫だろうか。


90点は無理だとしても、それなりにいい点数を取れるとは思う。

まぁ、今回は梅の家に呼ばれる事は無いだろうが、次頑張ればいいんだし。



テストは思ったよりも難しくなかった。

オレは早目にテストを書き終えた。

時計を見ると、まだ20分もある。


梅は一人一人の様子を見て回っている。


今日はシックな装いで、肌の露出は少ない。

と言っても、教師の服装には程遠い格好だ。

テストが終われば、またギャルみたいな服装に戻すのだろうか。


ヒマを持て余しているので、チャイムが鳴るまで色んな事を考えていた。


期末テストが終われば、2学期も終わる。

1990年も後僅かか…

思えば、これで3度目の中2だ。


そろそろ、元の世界に戻して欲しいもんだ。


真奈美や阿莉沙は今頃何をしてるんだろうか。

もう、かれこれ数ヶ月会ってない。

数ヶ月だけど、元の世界ではどのくらい時が流れているのだろう。


それに、オレは再び中2をやるようになって、どのくらい徳を積んだんだろ…

しかも、どうすりゃ徳を積めるんだ?

いや、こんな調子じゃ徳なんて積めないんじゃないのか。


はぁ~あ、もうイヤになってきた。


ふと、周りが甘い香りに包まれた。

これは、香水の匂い?


【チョンチョン】


梅が横でオレの身体を突っついた。


何だよ、こんな時に!


「ねぇ、90点以上取れそう?」

耳元で小さい声で囁いた。

「当然だ、少し前まで大学生だったんだぞオレは」

「どれどれ…」

梅はオレの答案用紙を覗き込んだ。

「おい、テスト中だぞ…」


【ダメじゃない!問3の答えは平安時代中期でしょ!】

「えっ…?」

問3の問題を読み返してみた。

「ヤバっ…」

思わず声に出してしまった。

【ダメでしょ、声なんか出したら!いい、私が心の中に話し掛けるから、その通りに答えを書いて】


梅が答えを教えてくれるのかよ…

おい、いくらなんでもそれはマズいだろ!


【いいから!私の言う通りに答えを書いて】


これって、カンニングじゃないかよ!


【いいから、私に任せて】

梅は背後に立ったままだ。


任せろったって…何だってオレに解答を教えるんだよ?


【いいのいいの!】

いや、オレだけ特別扱いってワケにはいかない。

おい、梅!オレなんかよりも、龍也達に答えを教えてやれよ!


【無理よ…だって他の生徒には私の声は届いてないのよ】


何でだよ?


【だって皆は、あなたみたいにタイムスリップしてないからよ】


タイムスリップしようがしまいが、余計な事を言うな!

オレは不正をしないで、90点を取るつもりなんだから。


【けど、このままじゃあなたはボーダーラインを越えられないのよ!】


オレは人を頼らないで、自分の力でこの問題を解くんだ。

教えてくれるのはありがたいが、それだけはしたくないんだ!


【でも…だってそれじゃ…】


他の連中を見ろよ!皆、自分で考えて問題を解いてるじゃないか!

オレだけお前に教えてもらうなんて、卑怯だろ!


【…そうね。私が悪かったわ…】


もし、クラスの皆が梅の声を聞こえる事が出来たならオレは梅に答えを教えてくれと言ったかもしれない。

でも、聞こえるのはオレだけだ。

それではフェアじゃない。

例え答えが間違っていても、自分で考えて出した答えなんだし、ダメだったら次頑張ればいい。

【キーンコーン、カーンコーン】

「はい、そこまで。では答案用紙を後ろから集めて」


「いや~、今回は絶対自信あるな!」

「オレもだぜ」

「これでサヤカちゃんに招待されるな」


さて、結果はどうなるのか。



「テストの結果は明後日に発表するから、それじゃ楽しみに待っててね!」


「明後日か」

「うわー、何かドキドキするよな」

「オレ、こんなにテストの結果が待ち遠しいなんて初めてだよ」



よし、これで期末テストが終わった!

さて、部活も休みだし、もうすぐ冬休みだ。

何しようかなぁ…

あっ、そうだ!もうすぐ有馬記念じゃん!


そう言えば、前回の時は中山競馬場まで行ったんだっけ。


ならば、今回も中山競馬場に行くとするか!

その前に軍資金はいくらか確保しなきゃ。



よし、また有馬記念で大金ゲットしようっと!
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