41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

文字の大きさ
上 下
73 / 96
梅が教師

ご褒美

しおりを挟む
翌日は3時限目に国語の授業があった。

「今日のサヤカちゃんのファッションはどんなんだろうな?」

「オレ、ミニスカがいいな!」

「いや、ボディコンなんかいいんじゃないか」

「サヤカちゃんって、スタイルスゲー良いよな!」

国語の授業はアイツのファッションショーと化している。

「それと、胸もスゲーデカいよな」

「ぱいおつかいでーだよな」

「巨乳!」

あれはシリコンとか入れてるんだろうか。


そして、3時限目のチャイムが鳴った。

【キーンコーン、カーンコーン】


ガラッ

梅が教室に入ってきた。

…お前、教師という立場を理解してるのかよ…

迷彩柄のセットアップ、しかも下はショートパンツ。
おまけにニーハイブーツって…

校内でそんなもん履くなよ、何考えてんだ。

そのうち、アムラーみたく厚底ブーツなんて履いてくるんじゃないだろうな。


「うぉーっ、スゲー格好だ!」

「サヤカちゃん、カッコイイ!」

「何着ても似合うよなぁ~」

男子はやんややんやの喝采だ。

それを見て、女子はドン引きだ。


「何考えてるの、あの先生は」

「ありえない…」

「何、あのブーツは」

「他の先生は何も言わないのかなぁ…」

「PTAから苦情がくるんじゃないの?」


ある意味、ブレないというか何と言うか…

ここまで徹底すると感心してしまう。


学年主任の北川は何も言わないのだろうか。

それとも、天界の連中が能力を使って何も言わないようにしているのか。

どっちでもいいか、そんな事は。


「はい、今日も楽しく授業を始めましょうね!」


『はぁーい!』

男子が一斉に手を挙げて返事をした。


ここは幼稚園か!


反対に女子はシラケてるけど。


それにしても、梅は臨時教師をしてから表情がイキイキとしている。

あんなバカ犬の下で働くより、教師続けてた方が良かったんじゃないか。

何で教師を辞めたのか。


天界にも、複雑な人間関係いや、天使関係があったりして。

どこの世界も同じようなもんなのかなぁ。



「もうすぐ期末テストだけど、皆はいい点数取れるように頑張ってねぇ」


おっ、早速本題に入るのか。


「あぁ、イヤだなぁテストかよ」

「サヤカちゃん、簡単な問題にしてよ」

ホント、そう思う。


「牛島くんは先生の授業を真面目に受けてるし、きっといい点数取れるから大丈夫!」

「ホントに?」

コイツがもし、いい点数取ったら佐伯はどう思うんだろうな。

梅に嫉妬したりしてw


「サヤカちゃん!いい点数取ったら、ご褒美に何かちょうだい」

案の定、龍也が交換条件を要求してきた。


梅の読み通りだった。


昨日、屋上でオレに話した事をやるつもりなのか?


「ご褒美?じゃあ、金澤くんは何が欲しいのかな?」

動機は不純かもしれないが、モチベーションが無ければ、ヤル気なんて起きないもんだ。

そう思えば、梅の提案も決して間違ってるとは言えない。

「何がいいかなぁ…」

龍也は頭の中で、良からぬ事を妄想しているのだろう。



梅はニヤッと笑って、昨日言った事を皆の前で発表した。


「じゃあ、先生から提案があります!」

「提案?」

「何だ?」

一呼吸間を置いて、梅は話を続けた。

「90点以上取ったら、先生の家に招待してクリスマスパーティーをやろうと思うんだけど、どうかしら?」


ホントにやるつもりなのかよ?




             昨日の会話



「あのね、もし生徒がいい点数取ったら、私の家に呼んでクリスマスパーティーをするってのはどうかな?」


「クリスマスパーティーったって、そもそもお前、この世界で家なんてあるのかよ?」


「だって、いちいち天界から通ってたら、時間かかるでしょ?それなら、臨時の期間はこの世界で暮らせって住まいを提供してもらってるの」

「まるで、単身赴任みたいだな」

「ホント、そうよね。だから、テストでいい点数を取ったら、家に招待して手料理を食べる事が出来るって言えば、俄然ヤル気が出るでしょ?」


コイツ、料理なんて出来るのかよ…
そのネイルを見ると、家事が出来るとは思えないんだが。


「まぁ、少なくとも龍也や泰彦、それに謙司とチャッピーはヤル気になるだろうな。いや、男子全員は目の色変えて勉強し出すかも」


「でしょ?教育上よろしく無いけど、短期間で成績を良くするためには、なりふり構わずにやろうと思って」

「サヤカちゃんは男子のアイドルだしな」

「アイドルなんて…もっと言って」

図々しいヤツだ!







「マジかよ?」

「サヤカちゃんの家かよ!」

「でも、サヤカちゃんは一人暮らしじゃないんでしょ?」


梅は腰に手を当て、得意気に言った。


「残念ながら、先生は一人暮らしです。こう見えて、家事全般は得意なの」


「サヤカちゃん、一人暮らしなの?」

「おまけに、見た目とは真逆の家庭的なタイプって」

「クリスマスパーティーかぁ…ヤル気が出てきた!」

「オレ、絶対にサヤカちゃん家に行くぞ!」

「ホントに90点取ったら、サヤカちゃんの家に行ってもいいの?」

皆の目の色が変わった。

「勿論!ただし、90点以上取ったらね」


「よっしゃ!絶対に90点以上取ってやる!」

「オレもだよ!」

「オレも!」

ヤル気満々だ。

梅が皆のヤル気スイッチを押した。


「それじゃ、期末テストまで時間が無いから授業始めるわよ」


「了解!」

「さっさと授業やろう!」


こりゃ、龍也も泰彦も90点以上取れそうな予感がする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...