41才の中学二年生(改訂版)

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梅が教師

何っ、梅が担任だと?

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さて、どうしたものか。

オレがこのまま野球に打ち込めば、真奈美や阿莉紗と会う事は無いだろう。

かと言って、野球を辞めるワケにはいかない。



歴史が変わってはいけないと言うが、オレがこの世界に戻ってきた時点で歴史は変わってるんじゃないだろうか。


うーん、こりゃどうすればいいのやら…


野球をやりつつ、将来は真奈美と出会い、結婚する。


そんなうまくいくだろうか。


「あぁーっ!考えても解らん!」


「何1人で騒いでるのっ!!」


あ…そう言えば授業中だった。


『いい加減にしろよ!』

『ったく、何がしたいんだお前は!』

『一体何が見えるんだろうか、アイツには』

『変なクスリやってんじゃないのか』


いかん、また皆に変な目で見られてる。




「山本くん、あなたは毎回毎回…うっ、…」


佐伯が苦悶の表情を浮かべ、しゃがみこんだ。


「どうした、先生?」


「おい、保健係!先生を保健室に連れていけよ!」


「先生、大丈夫?」


ザワザワザワザワ…


「保健室より、救急車呼んだ方がいいんじゃないのか?」


佐伯は動けない。


まさか、ヤバい病気にでもなったのか?


「オレ、森高先生連れてくる!」

「オレも」


龍也と泰彦は森高を呼びに保健室へ行った。




「先生、早く早く!」


息を切らせて、森高が教室に入って来た。

「佐伯先生、大丈夫?」

森高はその場で佐伯を触診した。


「うう…お腹が…」


佐伯はお腹を押さえ、顔には脂汗が。


「もしかしたら、盲腸かも」


盲腸?


「それじゃ、早く病院に連れていかないと!」


「オレ、職員室に行って救急車呼ぶように言ってくる」


オレはダッシュで職員室へ向かった。







職員室には学年主任の北川がいて、事情を話すと、すぐさま救急車の手配をした。


しばらくして、救急隊員が駆け付け、佐伯は担架で運ばれた。



「明日から誰が担任受け持つんだろうか?」

「そりゃ、学年主任がやる事になるだろ」

北川かよ!アイツうるさいからなぁ…


「担任はともかく、国語の授業は誰が代わりにやるんだよ?」


北川は社会科だから、国語は専門外だし。



「それよかさぁ、盲腸って事は下の毛剃るんだろw」


「何言ってんのよ、イヤらしい!」


「だって、ホントの事だろうが!」


まぁ、異性の身体に興味津々な年頃だから、仕方ないと言えば仕方ないんだが。




森高の予想通り、佐伯は盲腸でしばらくの間入院する事となった。




「やっぱり、お見舞いに行かなきゃなんないだろうな」

帰り道、泰彦はボソッと呟いた。

「お見舞いか…何持って行けばいいんだ?」

「花とか、果物だろうな」

「じゃあ、いつお見舞いに行く?」


「そりゃ、手術した後だろ。今はまだ、そんな時期じゃないよ」


「そうだな、山本の言う通りだ。でも、いつ手術するんだろ?」


「さぁ?」



オレたちはそんな事を話しながら、家路に着いた。




盲腸か…なった事無いからわからないけど、かなり痛いんだろうな。




そんな事より、明日から誰が国語の授業やるんだろうか?





その夜はいつも通りに素振りをして、早めに寝た。



翌日学校に行くと、教室内では誰が国語の授業をやるのかという話題をしていた。



【キーンコーン、カーンコーン】


朝のホームルームが始まった。


【ガラッ】

案の定、北川がしばらくの間担任を受け持つ事になった。


「先生、国語の授業はどの先生がやるんですか?」

チャッピーが北川に質問した。


「国語の授業は臨時で新しい先生に来てもらう事にした」


『新しい先生?』

『どんな先生だよ?』

『若いのかな』


ザワザワザワザワ…


「静かに!とにかく、今日からしばらくの間は新任の先生が国語の授業を受け持つから、お前らちゃんと授業受けろよ!」


新しい先生ねぇ…

新卒の若い先生なんだろうな、多分。


今日は国語の授業は2時限目にある。



1時限目の授業が終わり、休み時間になった。


「どんな先生なんだろうな?」

「若い女の先生がいいよな」

「そんなワケないだろう!どうせ、口うるさいヤツに決まってるよ」

オレたちは窓際の席でそんな事を言い合っていた。

【キーンコーン、カーンコーン】


さぁ、どんな先生なんだろうか?


【ガラッ】

来たっ!


「うぉっ、若い先生だ!」

「何だ、あの格好は!」


ん?…ゲッ!!あれは梅!!


アマゾネスみたいなキャリアウーマンっぽいツーピースのスーツに身を包み、これでもか、とばかりに身体のラインを強調している。


「アマゾネスよりも若いぞ!」

「あれで先生かよ」

「スタイルいいな、あの先生…」

皆、梅のスタイルに見とれている。


何で、コイツが国語の教師なんだよ!!


梅はチョークを手にすると、黒板に名前を書いた。


【綾野サヤカ】


「はぁ?」

思わず声を上げてしまった。

「はい、そこのキミ!静かにしなさい!」

お前、ウソの名前を書くなっ!!


「えー、今日から佐伯先生の代わりに国語の授業を担当する事になりました、綾野サヤカです。年は23才、ヨロシクね、ウフッ」


「ウソつけ!!」


「コラ!さっきからキミは何ですか!えーっと、確か…」

出席簿を見ている。

わざとらしいぞ、おいっ!


「山本くんか…山本くん、キミは私の美しさに見とれているのかな、ん?」


何が美しさだ!


まさか、梅が国語の臨時教師とは…
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