41才の中学二年生(改訂版)

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第2章

早く戻りたいっ!

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「あの娘、テレビに出てた頃と比べると、随分と太ったわよね」

「ノヮッ!」

いつの間にか、梅が横にいた。


「ビックリするだろ!急に横に現れるんじゃないっ!」


「あら、それは失礼。それよりも、あの娘は仕事が無いから焦ってるんじゃないかしら」


そうなのかもしれない。

子役の時に売れたせいで、イメージがいつまでも子役の頃のままというのは、本人にとって辛いのかも。


「だからといって、気の緩みなのか、あんなに太ったら、仕事なんて来ないわよ。その点、私なんか常にこのプロポーションを保ってるのよ。どう、このクビレ?」


セクシーポーズでクビレを強調している。


「そのスタイル、運動とかでキープしてるんじゃないよな?どうせ、エステとかで痩身術を施してるんだろ?」


コイツは全身をイジってるに違いない。


「な、何を言ってるの!これは節制の賜物よ!」

…ウソくせぇ!

月にかなりの金額を掛けて、メンテナンスしてるんだろうが。


「そんな事より、自主性に任せると言ったが、何を伸ばせば元の世界に戻れるんだ?」


「だから、それはあなたがよく考えて行動すればいいのよ」


「任せるって事は、何でもいいんだな?」


それなら、自分の長所を生かせばいいって事なんだろ。


「悪い事はダメだからね。人間は日々成長するの。あなたも何かを成長させなきゃね」


エラソーに…


「解ったよ。じゃあ、オレは長所を伸ばす事に決めた」

「いいけど…ところであなたの長所って、何?」


ん?オレの長所…

何だっけ?


えーっと…逃げ足が速い。

ゲームが上手い。

後は…って、長所無いじゃん!!


「ほらね~、長所なんて無いじゃない。短所だらけで、良いとこが何一つ無いじゃないの、あっはっはっはっ!」


「うるせーっ!いいか、オレはこれでも結婚して子供も出来て、マイホームを買ったんだ!良きパパとして家庭を築いたんだから、それも長所じゃないのか!」



ザワザワザワザワ…


『また、一人で喚いているよ』

『ホント、いい加減にして欲しいよ』

『定期的に何か見えるのだろうか?』

『アイツ、特殊な学校に行った方がいいんじゃね?』


いかん!つい、興奮してしまった…

梅は見えないから、オレ1人で騒いでいると思われてる。



「せいぜい、その長所とやらを伸ばして1日も早く帰らないとね。じゃなきゃ、あなたの妻や娘とは一生会えなくなるかもしれないから。それじゃ、またね~」


憎たらしいヤツだ!


あんな、全身整形じゃなく、もっとマシなヤツを寄越してくれってんだ!



しかし、オレの長所か…

ホントに何も無いな。



人を思いやる気持ちや、真面目で実直。

人を上に立って、自ら行動する統率力。

…どれもこれも、オレには当てはまらない。


あ"ぁ~、何でこうも、オレは欠点だらけなんだ!


欠点なら、いくらでもあるのに!


ん?欠点…欠点を無くせばいいのか。

欠点が即ち、長所になる。

為せば成る、成さねばならぬ、やってみよう。

難しいが、これを克服出来れば、道は拓ける。

険しい道のりだが、やるしかない。



【踏み出せば、その1歩が道となり、その1歩が道となる。迷わず行けよ、行けばわかるさ ありがとうっ!!】


そうだ、これだっ!

道を切り拓くしか無いんだ!

よし、決めた!

ならば、最後にキメの言葉を!


「行くぞ~っ!!1,2,3,ダーッ!!」


よし、決まった。


【バッチーン!!】

「痛えっ!」


「何やってんだ、授業中に!!お前は授業を妨害するのかっ!!」


え?…あ"ぁ~っ!!

また、やっちまった…

自分の世界に入りすぎて、つい授業中だって事を忘れていた。


『やっぱ、ヤバいよ!』

『段々と狂ってきたな、アイツ』

『そのうち犯罪起こしそうだな』

『何か、コワイよ!』


…また、皆から変な目で…


これも、短所だよな?

よし、先ず手始めに1人で騒ぐのを止めよう!


これなら、何とか克服出来そうだな。


しかし、思いっきりビンタ食らったな…

まだ頬が痛い!
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