41才の中学二年生(改訂版)

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第2章

1990年Again

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再び1990年にタイムスリップした…

これは悪夢なのか?


はぁ~…また徳を積む日々を過ごすのかよ…


「あの…山本くん、宿題やってきた?」

「…宿題?…またかよ」

さっき、この時代に戻ってきたばかりなのに、宿題なんてやってるワケがない。


て言うか、何の授業だよ…


また、ビンタ食らうのかよ…


「ほら、これ…」

ん?数学か…


しかも、方程式。


今度は解けない問題では無い。

「あぁ、いいよデザイアー。オレこの問題解るから大丈夫」


今は休み時間、オレはせっせとノートに問題を解いた。


「あ、スゴい…こんな難しい問題なのに」


だって、ついこの前まで大学生だったんだよ、オレは。

このぐらい、簡単だ。


それより、ジジイは何処だ?宇棚は?ポメ夫は?

いないのかよ…

天界のヤツらは肝心な時に現れないで、出て来るな、って時に現れてくる。



こんな調子じゃ、徳を積めそうに無いな。


いつになったら元の世界に戻れるのやら…

半ば諦めていた。


【何言ってるの!そんな弱気じゃダメでしょ!】


「ん?…」

今の声は…女?

「え…どうしたの?」

いや、デザイアーに言ってるんじゃないんだが。


何故か女の声が聞こえた。

幻聴なのか?


【幻聴じゃないわ、あなたの心に話し掛けてるの】


「誰だ?」

教室では仲のいい連中が集まって話をしている。


まだ休み時間だから、賑やかだ。

「ちょっと、何さっきから独り言言ってるの?」

ん?

斜め後ろの席を見ると、女子がこっちを見て訝しげな顔をしている。


コイツ、誰だっけ?


えーっと…

ちょい丸顔の愛嬌のある顔…

んーっと、あぁ、ここまで出かかってるのに、思い出せない!


【キーンコーン、カーンコーン】

チャイムが鳴った。


仕方ない、思い出すのは授業が終わってからにしよう。


【ガラッ】


先生が来た。


【起立!気をつけ、礼!】


これって、毎回授業の始まりにやるけど、必要なんだろうか?


【着席!】


「はい、それじゃ昨日宿題やってきたか?」


こんなもん、さっきやってすぐに解けたよ…

「よし、じゃあ山本!黒板に書いてみろ」

「…はい」

オレは黒板に宿題の答えを書いた。


「おっ!山本、出来るじゃないか!正解だ!」

先生が驚いてら…

まぁ、何せオレはこの頃バカだったからな。

『マジで?』

『あの智が問題を解いた!』

『どうなってんだ?』


ザワつく教室内。

クラスでビリを争う程の学力のオレが、難無く問題を解いたんだから。


そんな事よりも、さっきの声だ。


あれは一体…


【前回は徳を積めば元に戻すという、ミッションだったけど、今回は特にこれと言ったミッションは無いわ】

…!

まただ!

あぁ~、誰なんだ一体!


待てよ…ここでまた声を上げたりすると、周りから変な奴扱いされる可能性大だ。


危うく引っかかるとこだった。


出来るだけ、リアクションを控えよう。

どうも前回はリアクションが大きすぎて龍也達に拘束されたからな。


さて、誰だか知らないが、今回はミッション無しってのは、どういう事なんだ?

オレの心を読めるんだから、答えてもらおうじゃないか。


【フッ、どうやら学んだみたいね。前回は色々と手違いであなたに迷惑かけたけど、安心して。今回はあの連中は出て来ないから】


出て来ない?ジジイも茶坊主もポメ夫も出て来ないってのか?


【代わりに、私がお目付け役として、あなたを監視するからヨロシクね】


今度は女かよ…

でも、前回みたいなアホの連中とは違って少しはまともなんだろうか?


【当たり前でしょ!元々天界は精鋭の集まりなのよ!あの連中は、天界でも落ちこぼれのどうしようも無い部署なの】

…精鋭の集まりなのに、落ちこぼれがいるのかよ?

ところで、お前の名前は?


【…】


何だよ、名前無いのかよ?


【…それは】


何で言わないんだよ?


【えーっと…とにかく、今回はミッション無しだけど、あなたが自分で考えて、どうやったら元の世界に戻れるか色々と試してみてね】


は?どうやったら元の世界に戻れるか考えろ、だと?


ミッションは無いと言うけど、これじゃ永遠にクリア出来ないじゃないか!


【今回は自主性を重視するの】


…はぁ~、真奈美や亜莉沙とは会えないかもなぁ…


何だか…もう、どうでもいいや。


自主性に任すなんて言うけど、体のいい放任主義じゃないか。


戻れないなら、何もする気が起きない。


こうなったら、やりたい事やってハチャメチャな中学時代を過ごそう!


よし、決めた!


【ちょっと!何言ってんのよ!そんな事すれば、元に戻らないのよ、いいの?】


うるせーっ!何をしようがオレの勝手だろうが!

オレの人生、オレのやりたいようにして、何が悪いんだ!


それに、さっきから姿を見せないで、心の中に話しかけてきやがって!

お前は何モンなんだ?


【えーっと、そうね!…ちょっと待ってて。今、姿を現すから】

何やってんだ、一体?


【ちょっと待っててって、言ってるでしょ?今支度してるの!】


何だ、そりゃ!支度?何の支度だよ!


【ほら、人前に出て来るから、化粧もしないといけないし、服だって部屋着のままってワケにもいかないでしょ?】


おい、ホントに天界は精鋭の集まりなのかよ?


…………………また、胡散臭いのが一人増えただけだろ!


「はいはーい、今現れたわよ~っ、お待たせ!」


「ゲッ!!」


コイツはホントに天界から来たのか?


思いっきり、ギャルじゃないか!


「おい、山本!どうした、急に大きい声上げて?」


ヤベっ!!また声を出してしまった。


「あー、いや…ちょっと答えが間違ってるのがあったから…ハハハッ」


また、皆から変な奴呼ばわれされるとこだったよ。


それよりも、コイツの格好…天界というより、渋谷にいると言った方が似合うんじゃないのか?


金髪に染めた巻き髪、まつ毛のエクステにアイプチ。

派手で露出の多い服。長いネイル…

ヒアルロン酸を注入してるのか、涙袋がクッキリと。

しかも、峰不二子かよ!ってぐらいの体型。

「おい…お前、全身イジってるだろ?」


小声で聞いてみた。


「…え、イジるって…一体なんの事かしら…アハハハ」


…別の意味で胡散臭い…


そう言えば、コイツの名前を聞いてない。

さっき、言いかけたんだけど、はぐらかしたんだよな、確か。


「な、名前?えー、よく言われるのはサヤカ。これからはサヤカって呼んでね、ウフッ」


「あだ名じゃなく、本名を名乗れ…」

これ以上、大きな声は出せない。

「どうしても、言わなきゃダメ?」


コイツ、もしかして、本名言うのが恥ずかしいのか?


「解ったわよ!私の名前は綾坂梅(あやさか うめ)…でも、サヤカって呼んでね」


ウメ?バーさんみたいな名前だなw

オレは笑いを堪えるのに必死だった。


何で、綾坂梅という名前なのに、サヤカで呼ばそうとしてるんだ?


「えーっと…だって、この名前キライなんだもーん!」


コイツ、ホントに天界のヤツか?
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