月が赤くなると血に染まる殺人事件に巻き込まれた

lavie800

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第三話

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船長が現場にやってきた。
「加藤だ。海上保安庁と警視庁には連絡した。全力で東京の竹芝ふ頭に戻る。船内は一時的に船長に権限があるが、警視庁の刑事が乗船していると聞いたので、海上保安庁も警視庁も協力要請してかまわないということだった。ふ頭に戻るまでは協力をしてくれ」

「加藤船長、わかりました」
何故か私ではなく、池田菊花が返事をした。

「現場は動かさないほうがいいのか?簡易的な冷凍室が船内に備えられている」
私が池田菊花の前に出て、「ふ頭までは何時間くらいですか?」
「通常の計画航行なら明日の早朝に着く様にゆっくりと走らせる予定だったが。
少し天候が微妙だが、全速前進させる4時間もあれば着くのではないかと思う」

「加藤船長、それならば、犯人の証拠が現場にあると思われますので、できれば現場保全のまま、ふ頭に行ってほしいのですが。
現場保全のため、乗員のどなたかにこの前で監視していただけると助かります。
また、犯行時間にもよりますが、マスコミが下船したあとの時間であれば、乗員乗客が容疑者になります。船をふ頭に横付けしても、下船されないよう乗客に指示お願いします。」

「わかった。君たち二人に極力沿うように配慮しよう」

再び、池田菊花私の前に出る。
「加藤船長、さっそくですが、乗員の安否確認と状況確認をしたいで、館内放送を流してください。
船内で事件が起きたので、九条という刑事と池田が客室を尋ねると」


「わかった。そのように海上保安庁と警視庁に連絡する」
いや、私の隣の女性は刑事ではなく女流棋士なのだが。

船長が指示した乗員が2名現場に到着し、船長から細かな指示を受けている。

「船員に聞くと少し風が出てきたようだ。少し海が荒れるかもしれない」

「何かあれば城の建物の前にある操舵室に来てくれたまえ。私はそこにいる。
それと船内の管轄は便宜上船長にあるので何か分ったら、逐次報告してほしい」

「はい、わかりました」
何故か池田菊花が返事をした。
船長が去ると、「さあ、捜査するわよ。聞き込みよ。着いてきて」
「いや、君は自分の客室でおとなしくしてくれると助かるのだが」
「何を言っているのよ。
殺人犯が船内に潜んでいるのよ。
危ないじゃない。
あなたは私の守り神。私についてきなさい。聞き込みよ。
それにあの時だって、私のおかげで事件を解決できたのでしょう」

死体の有る客室の反対側の窓を眺めると、大きく赤い月が浮かんでいた。
ふと、数週間前に池田菊花に聞いた夢を思い出した。
夢か、池田菊花の夢の話だったよな。
今日の現場と同じような赤い月の夜、将棋指しの血みどろの死体があるというのが事件の始まりだった。
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