赤い龍の神器で、アポフィスの悪魔を封印せよ

lavie800

文字の大きさ
上 下
24 / 39

第二十三話

しおりを挟む

アームが叫ぶ。
「リチャード様、普通のコウモリではなさそうです。
大きすぎます。魔物の一種かもしれません。
噛まれたら大変です」
私は震えながら短くなったソードを構える。
アームも左手に松明を右手に短剣をかざす。
もう一つの松明はダンジョンに地肌に置いたみたいだ。
オオコウモリの魔物の一匹が突然、気味の悪い鳴き声を上げてアームに近寄ってきた。
アームは短剣でコウモリの羽を狙う。
「リチャード様、ダメです。刃先が羽に当たってもびくともしません」
(どうすればいいのか?)
対策を考えていると、マリナは地肌にあった松明を取りオオコウモリに灯りを向ける。
「私が松明を持つわ」
ルシアはしゃがんでいる。
今度はオオコウモリがマリナに向ってきた。
「マリナ、危ないぞ」
怖がっているだけではだめだ。
足はすくんでいるが私は勇気を振り絞り、マリナに近寄り短くなったソードをオオコウモリの魔物の羽に向けた。
そうするとソードが勝手にオオコウモリの羽を貫き、ギャーという声と共にオオコウモリの魔物が蒸発して消えた。
オオコウモリが次々、アームとマリナを目掛けて飛んでくる。
「この魔物は灯りを目指して飛んでくるようだ」

(マリナをそして私に付いてきてくれるものを守れなくてどうする)
(さあ、どうする。コウモリは昔から苦手だが)

私はアームとマリナが持っている2つの松明を自分の地肌近くに引き寄せた。
アームの短剣とソードの2つを両手に持って、オオコウモリの魔物がマリナやアームやルシアではなく私を襲ってくるのを待った。
オオコウモリが発する甲高い声が近づいてきた。黒いオオコウモリの魔物が私を襲ってくる。
私が両手の剣をコウモリの羽に近づけると手と剣が勝手に動き、次々と両手の剣にオオコウモリの魔物の羽が当たり、魔物が蒸発して消えて行った。
オオコウモリの魔物を蒸発させても更に別の黒い影が襲ってきて、私は必死で両手をオオコウモリの羽に突き出した。
黒い魔物は次々と奇声を発したかと思うと剣に当たり蒸発していく。
何度も剣を魔物に突き出し振り回すうちにコウモリの鳴き声は聞こえなくなった。
どうやら、魔物は居なくなったようだ。
ぐっしょりと冷や汗をかいているようだ。

「さあ、先に行くぞ」
「リチャード様、私が短剣をコウモリの魔物の羽に突き刺したときは何も起こりませんでした」
マリナが静かに立って私の方を振り向いた。
「リチャードは剣で魔物を退治するスキルがあるようね。
それも突き刺すと魔物が蒸発して消えてしまうようなスキルが。
ただ小物の魔物は効果があるのだけれど、この前のオオダコのような大きな魔物は剣が折れて効果がなかったみたい。
だからもっと強い例えば赤い龍の紋章が刻印されたムラマサの剣が必要だと思う。
でも、立派なリーダよ」
「剣を振っても足はすくんで震えていたからな」
ルシアも声を上げる。
「頼もしいリーダですよ」
アームも頷いている。
(褒められたのか。うれしいような、守ってあげたいという気持ち。
いや、もっとそれ以上の感情が)
顔がにやけているのがわかる。

「さあ、先に進みましょう」
マリナが号令をかける。
(やはり、リーダはマリナか?)
ダンジョンをさらに進んでいくと、右と左に道が分かれている。
左の方は先が何かエメラルド色に仄かに光っている。
ヒカリゴケでもあるのだろうか。
「さて、どちらに行く?」
マリナがそう呟いて考えている。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

処理中です...