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第二十五話

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洞窟の入口で大きな音がした。
「殿、お待たせしました。洞窟の入口を塞いでいた木枠を破壊しました。」
経好の家臣・家来たちが加勢のため、洞窟になだれ込んできた。

経好の家臣・家来たちを見た大内は酒臭い息を吐き、捨て台詞を吐いて鞭を捨てて洞窟の奥に逃げて行った。
「覚えていろよ。いずれ必ず鶴姫を奪い取ってやる。今度は足首ではなくその白い胸元の柔肌に鞭を入れてやるからな。」

洞窟に残った女は衣服を脱ぎ捨てたかと思うと、洞窟の下に溜まっていた塩水を体に擦りつけた。
「大蛇女、観念しろ。」
経好の家来たちが長槍で女を囲む。
衣服を脱ぎ捨てた女の肌に鱗が出現してきて、口が大きく歪んだかと思うと全身が大蛇に変身した。
家来たちが一瞬怯んだが、長槍で大蛇に攻撃する。
しかし、長槍が大蛇の鱗を切りつけることができず攻撃の効果は限定的だった。

経好は鶴姫の手を取って家来の後ろに向って走っていき、大砲の近くまで二人は退避した。

大蛇が舌を出し、その鎌首が経好と鶴姫に向ってきた。
『勾玉と剣を差し出せ。』
大蛇女の心の声が直接鶴姫の耳に届く。

洞窟の入口にあった大砲から強烈な音とともに砲弾が大蛇女に向けて発射された。
大蛇女の鎌首が横に揺れたが、倒れるまでには至らない。
大砲から続けて数発が発射され、そのたびに大蛇女の鎌首が大きく横に揺れていく。
大蛇女は鱗に守られて、大砲の砲弾で蛇に傷を負わせることはできなかった。
大蛇女が口を大きく開けて大砲の後ろに退避していた経好と鶴姫に鎌首を向けて襲ってきた。
経好が赤色に輝くクラウソラスの剣を鎌首の端の大蛇女の鱗に切りつけた。
大蛇女から苦しそうな咆哮が聞こえた。
鱗から青い血が出ているのが見える。
続いて家来が大砲を発射した。砲弾が傷ついた鱗付近に命中して、大きく大蛇女が退いた。
赤色に輝く勾玉を胸元に飾っている鶴姫がスマホを大蛇女に向ける。
サンダーレーザー電磁波のアイコンを触った。
洞窟の外の空から雷が落ちてきて、スマホのレーザーの光と合わさって大蛇女に命中した。

大蛇女が大きな唸り声を上げて、体をくねらせて後退していった。
『諏訪がいる屋敷を襲ってやる。お宝は私の物。
私の子分の諏訪とともに日本中の稲荷神社を神の使い白狐から、地獄の使者である青蛇に変えてやる。』
鶴姫はスマホで、大蛇がそう言っていた声を聴いた。
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