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第二十二話 ギフテッドの予感
しおりを挟む吉川は山口県警にも協力要請をして、川田直久と林田桜里瑛と大内義長の過去をわかる範囲で調査した。
ツインテールの女流棋士である美都留はスマホを触った後、山口に行く仕事が見つかりそうよと言って兵庫県警を去った。
川田については、本籍が下関市神田町、高校卒業後下関の不動産会社に勤務していた。
2017年にネットで韓国のアイドルグループと知り合いだからと騙して何人かの女性に近づき強制わいせつ傷害罪で実刑4年10か月の罪で逮捕されている。
林田については、山口の高校卒業後に学校の紹介で兵庫県神戸市のアパレルメーカに就職している。
林田は高校卒業まで山口市の市営賃貸アパートに住んでいた記録が残っている。
神戸のアパレルメーカの事務員に就職するも二年で退職。
林田が退職したアパレルメーカの従業員に聞き込み調査をした結果、アパレルメーカ時代は給与の大半を服に費やしていて生活が苦しくスナックに転職したようだとの情報あり。
将棋に関する情報は女流棋士で昨年デビューするまで見つけられなかった。
一方、大内は離婚後父方に引き取られている。
別れた父親の名前は大内正雄で、事業に失敗し借金を抱え自殺との記録があった。
大内が中学にいるまでは親の正雄は税金も納めており羽振りがよかったようだ。
大内は中学一年生で将棋の関西の奨励会に入会して二十六歳で奨励会を退会している。
奨励会退会後の職業は不明で住民票は山口市、その後下関に移っている。
昨年山口県から神戸市に転出して経営コンサルタントの開業届が税務署にでている。
吉川は本部長、課長に、立ち上がったばかりの川田、大内、林田殺人事件捜査本部の会議で、山口県警からの捜査情報を会議で報告した。
「山口県警から、大内の知り合いが山口市で見つかりそうだということで明日聞き取りをすると言っていました」
課長が吉川に山口県警に出張して調べたらどうかと提案した。
「三人は兵庫県で殺されているが、どうも三人の接点は山口にありそうだと思う。本部長も近々山口県警に異動されるので力になってもらえると思う。」
吉川は急遽、山口に出張することになった。
美都留にメールで送るとすぐに電話が鳴った。
美都留からだ。
スマホの受話の機能をスピーカにしていないのに物凄く大きな声が聞こえる。
「日本女流名人戦の前夜祭イベントの仕事が代理で入って明日山口に行くことになったわ。
出張を作って一緒に来て。明日神戸を出発よ」
「それなら、車で行こう。明日朝にオーハシポートホテルのロビーに迎えに行くよ」
「三人が殺されて犯人は捕まっていない。
三人を除く赤龍戦の関係者は山口で行われる日本女流名人戦に全員集まってくるの。
きっとまた何か怖いことが起きるような気がするわ」
美都留の声がスマホから聞こえた。
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