夏休みの山奥に洋館でタイムスリップしたら、死体が転がってた。

lavie800

文字の大きさ
上 下
7 / 9

第七話

しおりを挟む

美鶴が、吉川から顧問の手紙を奪い取ると、改めて要約した内容を口にした。
「令和から二十年前のこの洋館で、校長が不思議な状況で息絶えた。校長は何故かそうなることを知っていたから、今は私たち将棋部の顧問の弟に、事件の解決手段を伝えた。事件は私たちが解決できると」

美鶴は手紙を凝視すると吉川に尋ねた。
「手紙はこれだけ?」
「顧問に吊り橋で渡されたのはこれだけだよ」
手紙の裏が何か変よ。凸凹している感じ」

美鶴は手紙を上にして透かしたり、横から眺めたり、匂いを嗅いでいる。
美鶴は吉川の顔を見て、
「この手紙、レモンの匂いがするわ。ねえ、シャワー室にドライヤーがあったよね」

吉川が言われた通りシャワー室の隣の洗面台にあったドライヤーを美鶴に渡した。

「あぶり出しよ」
美鶴は紙の裏にドライヤーの先を当てて熱い風を送った。
「やっぱり、何か出てきた。地図のような絵と文字よ」

薄茶色にあぶり出された絵と文字を美鶴は吉川、田口、大内に見せた。
美鶴が文字を読む。

『我はサマエルの悪魔を山頂に封印。封印した金の箱が発掘されたら我は殺され地獄の終末が訪れる。
封印時に隠した3つの紋章を持つクイーンが救世主として我に代わり蘇る』

吉川と美鶴は顔を見合わせた。
吉川が絵を見ると、この洋館らしき場所とその裏の山奥の地図のようだ。印が3つある。

滝がやってきた。
「駄目じゃ。さっき落雷で停電しているせいか警察と電話もインターネットも繋がらないのじゃ。照明や最低限の電気は自家発電があるが通信は断線しているのか繋がらないのじゃ」

美鶴が滝に言った。
「試す価値があるかも知れない事があります。その前にこの洋館にいる人たちを簡単に教えてほしいのです。校長を殺めた人がいるかも知れないから」

滝が話し始めた。
「君たちは中学生だからおとなしくここで待っていたほうがいい。外部とのアイデアがあるといってもこの雨だ。洋館の下にいるおとなにまかせなさい。

洋館で首と胸に傷を受けて息絶えたのは私の兄で中学生の校長をしている。名前は、滝 音太郎。弟の私は滝 音二郎だ」

田口が名前を反復した。「タキオン タロウとタキオン ジロウ。光速を超える物質って確かタキオンだよね~」

「タキオンではなく、苗字が滝。確かに校長の兄は大学院で物理学を専攻していて博士号も取っている。校長になる前は大学で世界的権威もある不思議な研究をしていた。私は高校で、物理の教師をしていて兄ほど成績は良くない。将棋部の顧問をしていたが今年で部員が居なくなり有名無実の顧問をしている。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビジョンゲーム

戸笠耕一
ミステリー
高校2年生の香西沙良は両親を死に追いやった真犯人JBの正体を掴むため、立てこもり事件を引き起こす。沙良は半年前に父義行と母雪絵をデパートからの帰り道で突っ込んできたトラックに巻き込まれて失っていた。沙良も背中に大きな火傷を負い復讐を決意した。見えない敵JBの正体を掴むため大切な友人を巻き込みながら、犠牲や後悔を背負いながら少女は備わっていた先を見通す力「ビジョン」を武器にJBに迫る。記憶と現実が織り交ざる頭脳ミステリーの行方は! SSシリーズ第一弾!

俺が咲良で咲良が俺で

廣瀬純一
ミステリー
高校生の田中健太と隣の席の山本咲良の体が入れ替わる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

聖女の如く、永遠に囚われて

white love it
ミステリー
旧貴族、秦野家の令嬢だった幸子は、すでに百歳という年齢だったが、その外見は若き日に絶世の美女と謳われた頃と、少しも変わっていなかった。 彼女はその不老の美しさから、地元の人間達から今も魔女として恐れられながら、同時に敬われてもいた。 ある日、彼女の世話をする少年、遠山和人のもとに、同級生の島津良子が来る。 良子の実家で、不可解な事件が起こり、その真相を幸子に探ってほしいとのことだった。 実は幸子はその不老の美しさのみならず、もう一つの点で地元の人々から恐れられ、敬われていた。 ━━彼女はまぎれもなく、名探偵だった。 登場人物 遠山和人…中学三年生。ミステリー小説が好き。 遠山ゆき…中学一年生。和人の妹。 島津良子…中学三年生。和人の同級生。痩せぎみの美少女。 工藤健… 中学三年生。和人の友人にして、作家志望。 伊藤一正…フリーのプログラマー。ある事件の犯人と疑われている。 島津守… 良子の父親。 島津佐奈…良子の母親。 島津孝之…良子の祖父。守の父親。 島津香菜…良子の祖母。守の母親。 進藤凛… 家を改装した喫茶店の女店主。 桂恵…  整形外科医。伊藤一正の同級生だった。 秦野幸子…絶世の美女にして名探偵。百歳だが、ほとんど老化しておらず、今も若い頃の美しさを保っている。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

尖閣~防人の末裔たち

篠塚飛樹
ミステリー
 元大手新聞社の防衛担当記者だった古川は、ある団体から同行取材の依頼を受ける。行き先は尖閣諸島沖。。。  緊迫の海で彼は何を見るのか。。。 ※この作品は、フィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。 ※無断転載を禁じます。

処理中です...