綺麗な薔薇には棘がある。

春血暫

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 弾切れの合図を聞くと、銃を投げ捨て、僕の元へ来た。
 ドキドキしている僕に、先生はクスッと笑う。

「変なことせんよ」
「してもええよ」
「ボクは男に興味ないの。……まあ、キミなら話は別かも」

 よっ、と先生は僕の右足の前にしゃがみ、ポケットからハンカチを取り出して、そのハンカチを僕の右足に巻く。

「出血量はそうでもない。でも、放っといてええ量でもない」
「ありがと……、止血」
「礼はええよ。ボクが怪我させたようなもんやから」
「……せんせ、なんかキャラ変」
「ん?」

 先生は僕を見上げる。

「何?」
「いつも以上に感情込もってへん。そんなんも好きやけど」
「あ、すまん。うっかり素出てたわ」

 気ぃつける、と言って笑った先生は、いつもの先生だった。
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