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――でも、せんせが無事やからええわ。
と呟いて、先生を連れて行こうとしたが「待って!」と彼女に言われた。
見ると、彼女は怒ってるような顔で僕と先生を見ていた。
「動かんといて! 今度は心臓を撃つわ」
震える手で彼女は僕に銃口を向ける。
「私はあなたのことを尊敬してる。あなたは私の憧れなの! やから、認めて! 私の殺人は美しいと!」
「きしょ」
僕の感想を、なぜか隣にいた先生が言った。
先生はいつもと変わらない表情で続ける。
「どこが美しいんよ、あんなん。汚いわ」
「あんたなんかには判らんわ! 私は――」
「最初から、皐月を殺すつもりやったんやろ? 安藤紗奈」
「!」
「皐月に兄貴殺された、その復讐やろ。ついでに、自分の親友の仇を討っていた」
彼女に言った後、先生は僕を見る。
「俺のこと気に入っとる今のこいつなら、簡単に殺せると思てたんやろ。舐められたもんやね、皐月」
「はぁ……」
何がなんだか判らない僕を放って、先生は彼女に向かって話を続ける。
「言うておくけど、あんたの兄貴は皐月がなんもせんくても病死してた」
「そんなわけない!」
私は! と話をする彼女を無視し、先生は僕に小声で言う。
「今から三数える。それ終わったら、すぐそこの路地に入れ」
そう言って先生が指したのは人一人通れるかどうかという細い路地だった。
どういうことか判らず、僕は先生に訊く。
「なんで?」
「ボクはキミを守りたい。そのために、ここに来たようなもんやから」
「……惚れるよ」
「ええよ」
先生は僕にニコッと笑った後、彼女を見る。
そして、小声で三数えた。
先生の「三」に合わせ、僕は先生が指した細い路地に向かって、右足を引きずりながら走った。
と呟いて、先生を連れて行こうとしたが「待って!」と彼女に言われた。
見ると、彼女は怒ってるような顔で僕と先生を見ていた。
「動かんといて! 今度は心臓を撃つわ」
震える手で彼女は僕に銃口を向ける。
「私はあなたのことを尊敬してる。あなたは私の憧れなの! やから、認めて! 私の殺人は美しいと!」
「きしょ」
僕の感想を、なぜか隣にいた先生が言った。
先生はいつもと変わらない表情で続ける。
「どこが美しいんよ、あんなん。汚いわ」
「あんたなんかには判らんわ! 私は――」
「最初から、皐月を殺すつもりやったんやろ? 安藤紗奈」
「!」
「皐月に兄貴殺された、その復讐やろ。ついでに、自分の親友の仇を討っていた」
彼女に言った後、先生は僕を見る。
「俺のこと気に入っとる今のこいつなら、簡単に殺せると思てたんやろ。舐められたもんやね、皐月」
「はぁ……」
何がなんだか判らない僕を放って、先生は彼女に向かって話を続ける。
「言うておくけど、あんたの兄貴は皐月がなんもせんくても病死してた」
「そんなわけない!」
私は! と話をする彼女を無視し、先生は僕に小声で言う。
「今から三数える。それ終わったら、すぐそこの路地に入れ」
そう言って先生が指したのは人一人通れるかどうかという細い路地だった。
どういうことか判らず、僕は先生に訊く。
「なんで?」
「ボクはキミを守りたい。そのために、ここに来たようなもんやから」
「……惚れるよ」
「ええよ」
先生は僕にニコッと笑った後、彼女を見る。
そして、小声で三数えた。
先生の「三」に合わせ、僕は先生が指した細い路地に向かって、右足を引きずりながら走った。
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