綺麗な薔薇には棘がある。

春血暫

文字の大きさ
上 下
83 / 160
scene008

17

しおりを挟む
――きっとその女が犯人。

 でも、動機は?
 うーん、と腕を組み、考えていると、皐月に言われたことを思い出した。

――男前で高収入てのがポイント――

 男前で……高収入……。

 そもそもなぜ被害者と全員面識がある?
 刑務官だからか?

 んー、と考えながら、ホワイトボードに貼った被害者の写真と名前、職業や年齢を見ていた。

「なんやろ……」

 何か引っかかる気がしている。
 というか、先日被害に遭った九人目の被害者のことを、俺は知っていた。

 見覚えがなんとなくあるな、とは思っていたが。
 あるに決まっていた。

田沢たさわ真介しんすけ……」

 数年前、詐欺罪で逮捕された男。
 こいつに騙された女がそのショックで自殺した。
 死ぬ直前に、こいつに渡された結婚指輪を飲み込んで。

「……まさか」

 いや、そんな……。

――結婚詐欺師を狙ったもんやった?

 でも、被害者の中にはアンドウサナという名前はなかったはず。
 少なくとも、田沢に関しては。
 なら、どうして?
 アンドウサナは殺した?

――訳わからんくなってきた。

 時計を見ると、夕方の五時過ぎ。

「煮詰まった」

 よし、と俺は最低限の物を持ち、石野さんの喫茶店に向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...