綺麗な薔薇には棘がある。

春血暫

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 面白いな、如月梟帥。
 ずっと無表情で淡々としている。
 僕に怯える様子なんて一切ない。
 僕に対して、何も思っていないようだ。
 事件の話も淡々とするし。

――気に入ったわ、ほんま。

 僕は笑い、如月梟帥に言う。

「僕の狙いは殺人やない、気に入った人の心臓、それだけやったから。ああ、あとは骨を少々。その狙いのための手段としての殺人」
「ふむ」
「きっかけなんて、よぅ覚えとらん。僕は元々おかしかったから」
「そう」
「……他にもっとリアクションとかないん?」

 俯きメモを取る如月梟帥に、僕は言う。

「キモいとか、そんな言わへんの?」
「キモい?」

 如月梟帥はペンを持つ手を止め、顔を上げ、僕に言う。

「どこがや」
「…………」
「狙いがあって、そのための手段がそれしかないんやったら、それをするしかないやろ? それのどこがキモいねん」

 当たり前のように話す彼を見て、僕は瞠目した。
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