狂気醜行

春血暫

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狂気醜行

008

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 パタン、と扉が閉まり、優は何もない天井を見上げる。
「醜行、ね……」
 はあ、とため息を吐き出した後。
 優は近くにいる刑務官に声をかける。
「明日も、明後日も、彼はここに毎日来るからよろしく」
「わかりました。教祖様」
「……ねえ。僕はただ彼と同じことを彼にしているだけなのに。それで、彼に僕のことをまた好きになってもらおうとしているだけなのに。あんなふうに言われてしまったよ」
「…………」
「こんなことなら、最初に僕たちのことを覚えているまま、時を戻せば良かったなあ」
「今でもできるのでは?」
「それをすると、これまでやってきた努力が無駄になる。たまには、こうしてゼロからスタートってので、振り向いてもらおうって思っただけなのに」
 あーあ、と優は言う。
「こんなことすら、醜行と言われるとはな」
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