狂気醜行

狂気醜行

003

　さ、と優は言う。
「時間も時間だからね。ほら、逮捕しなよ。そして刑務所に入れな。すぐに君は僕を牢屋から出して、一緒にいてくれると思うけど」
「どういうこと」
「それは後でのお楽しみだよ。ほら、早く手錠をしなよ。逃げるよ？」
「俺は刑事じゃねえから持ってないんだよ。今から刑事が来て、あんたを逮捕する」
「なあんだ。君がしてくれるのかと思った」
　優がそう言うと、物陰から理緒が「確保！」と言う。
　その声で数人の刑事が優を捕らえる。
「午後八時四十七分。逮捕だ、佐々塚！」
「はいはい。僕は逃げたりしないから」
　優は数人の刑事に連行されながら文弘に言う。
「杜和泉にある教会があるだろ？　あそこ、そろそろ人の血が多く流れるよ」
「は？　それもあんたんとこの信者のせい？」
「信者？　ああ、あの掲示板にいる人たちのことか。彼らは関係ない。というか、あれはただのボランティアのようなものだよ。人助けというか」
「どこがだ。あんなもん、ただの新興宗教だよ」
「ふはは。そう見ればそうかもね」
「そうとしか見えん」
「ふはは。まあ、僕が逮捕されても、あの掲示板にいる人たちの気持ちは変わらない。それをよく見ておくと良い」
　優は笑って数人の刑事と共に車に乗った。