狂気醜行

春血暫

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写鏡の記憶

003

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 目を覚まし、文弘は呟くように言う。
「そうか……。少しずつ思い出してきた…………」
 忘れてはいけないことだった。
 忘れるはずがないと思っていたことだった。
「こんなこと忘れるなんてどういうことだよ……!」
 文弘は時計を確認する。
 時間は午前四時。
 電車は動いていない。
 だが、もしかしたら。
 もしかしたら、繋がるかもしれない。
「行かないといけない」
 文弘は言い、支度をする。
「あと少し、忘れていることがある。それさえ思い出せれば……!」
 そう言って、文弘は最低限の物だけを持ち、外へ出た。
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