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生死の間の町
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部屋を出て、由一は市長に電話をかけた。
数回の呼び出し音の後、市長は『どうも~』と出る。
『珍しいじゃないか、南条氏』
「多分初めてだと思います。市長」
『……お困り事かい?』
「え、ええ。あの、川中文弘さんが来ました」
『え』
「特にここでのことは覚えていないみたいで。佐々塚優さんの事件を調べています。あの杜和泉で起きている……」
『そっか。ここで起きた事件の話をしたんだろ? 反応は?』
「ええ、一泊ほどしたい、と」
『ふむ。一応、昔川中さんが使っていた部屋は残っているけど。南条さんはどうしたい?』
「僕はまたあの事件が起きるのは嫌です。だから――」
『泊まらずに帰ってほしい?』
「………………」
『俺が君の立場なら、そう言うかな。あれは恐ろしい話だったじゃないか。まあ、その原因が少し俺だってのもあれなんだがなぁ』
「…………どうしましょう」
『俺のいない今は君が市長みたいなものさ。君が決めなさい』
市長は優しく言う。
『あと、北ヶ峰さんにはしっかり伝えた方が良いよ。君のことを理解して、付き合ってくれる良き友なんだろ?』
「あ……」
『北ヶ峰さんも君が隠していることに気づいていると思う。彼は鋭いからね』
じゃ、と市長は電話を切った。
どうも、と由一は小さく言って電話を切る。
「伝えないとな……」
と、部屋に戻ろうとすると「やっぱりな」と声がし、振り返るとそこには文弘がいた。
数回の呼び出し音の後、市長は『どうも~』と出る。
『珍しいじゃないか、南条氏』
「多分初めてだと思います。市長」
『……お困り事かい?』
「え、ええ。あの、川中文弘さんが来ました」
『え』
「特にここでのことは覚えていないみたいで。佐々塚優さんの事件を調べています。あの杜和泉で起きている……」
『そっか。ここで起きた事件の話をしたんだろ? 反応は?』
「ええ、一泊ほどしたい、と」
『ふむ。一応、昔川中さんが使っていた部屋は残っているけど。南条さんはどうしたい?』
「僕はまたあの事件が起きるのは嫌です。だから――」
『泊まらずに帰ってほしい?』
「………………」
『俺が君の立場なら、そう言うかな。あれは恐ろしい話だったじゃないか。まあ、その原因が少し俺だってのもあれなんだがなぁ』
「…………どうしましょう」
『俺のいない今は君が市長みたいなものさ。君が決めなさい』
市長は優しく言う。
『あと、北ヶ峰さんにはしっかり伝えた方が良いよ。君のことを理解して、付き合ってくれる良き友なんだろ?』
「あ……」
『北ヶ峰さんも君が隠していることに気づいていると思う。彼は鋭いからね』
じゃ、と市長は電話を切った。
どうも、と由一は小さく言って電話を切る。
「伝えないとな……」
と、部屋に戻ろうとすると「やっぱりな」と声がし、振り返るとそこには文弘がいた。
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